イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない:第1話『空条承太郎! 東方仗助に会う』感想

能力バトル漫画の金字塔、今度はシティ・アドベンチャーだッ!!
というわけで、ジョジョ四部のアニメが遂に始まりました。
パキっと大胆に置かれた色彩、穏やかな杜王町の日常、そこに迫る黒い影と、乱暴なれどぶっとい『スジ』を感じるキャラクター。
三部までの激しさとはまた違うジョジョ・ワールドの魅力を掘り下げた原作を、非常に良い感じにアニメにしてくれていて、ズギャンと期待が高まる良い出だしでございます。

お話の方は二人のジョジョが出会い、なんてことない日常に迫る影に仗助が気づく辺りで終わっておりますが、なかなか良い出だし。
見知った承太郎を案内役に、プッツン小僧ながら誇り高い血脈を感じさせる仗助の人となりを、巧く表現していました。
康一くんも一般人の驚き役というだけではなく、仗助が手に入れたかけがえのない日常の一部として、素早く仲良くなっていい雰囲気を醸しだしており、この空気が良いッ! って感じだ。
おおまかに話全体の構図を説明しつつ、承太郎と仗助、仗助と康一くんという『気持ちの良い男たち』が運命の出会いを果たす小さなドラマをしっかり演出していたのは、お話が単機能で単調にならなくて良い所でしたね。
ほっこりにしろ不気味にしろ、色んな感情が全体的なお話の中に濃厚に乗っていることが、ジョジョの面白いところなので。

ジョセフの申し出を断っていることからもわかるように、仗助は鐘や冒険よりも家族や日常を大事にする結構大人しく、地に足の着いたキャラクター。
第四部自体がその土着性と日常性を魅力に変えているわけで、康一くんとの出会いを描くことで、仗助が大事にしたいものを舞台紹介・キャラ紹介と並行してやっているのが上手いところだ。
杜王町を脅かす黒い影もまた今の仗助には関係ない非日常……のはずなんだけど、スタンドという異能力を持っていたり、速くもクソサイコのアンジェロに目をつけられたりで、否応なく話に巻き込まれる準備をしっかり整えている感じよね。
この『俺は普通の高校生だし、日常大事で関係ェねェぜ』スタンスがあればこそ、それを脅かす悪(ってばっかりでもないんだけど)のスタンド使い軍団が罪のない人にその力を使った時、仗助が立ち上がるドラマが際立つし、『日常に溶け込むスタンド』という第三部では描けなかった魅力もたっぷり描けるしね。

そういう意味で、出だしからエグい手首ブチ込んで『何か……何かがヤバいッ!!』という感情をしっかりかき立ててきたのは、ナイス改変だった。
何かと舞台が揺れ動き激動の運命に翻弄されてきたこれまでのジョジョに比べると、杜王町というホームタウンをしっかりと据えて、物理的な動きが少ない第四部。
しかしだからこそ、『異常な能力を持った存在は、どうやって社会の中で生きていくのか』『日常の中に隠れた悪を、唯一打ち倒せる能力者はどう振る舞うべきか』という独特のテーマを掘り下げることが出来ます。
それを『手首と一緒に、爽やかに朝飯を食う異常殺人鬼』という、吸血鬼やスタンド使いとはまた違った、少しだけ身近な脅威と重ねあわせて話を作ったところが、第四部の上手いところだと思うわけです。
ラジオとさわやかな朝食と血の滴る手首という、デペンズマンの効いたアバンの作り方は、非常に
作品が切り取るべきものを理解したオリジナルシーンで、作品全体への期待を強く煽られた感じです。

仗助がモチベーションとする『日常』の暖かさと、それを脅かす脅威たちの『非日常』のドラマとのバランスが非常に良くて、押し合いへし合いしていく内に身近に危機が迫って……というお話の持って行き方も、退屈せずに楽しめました。
一色を大胆に配置するくすみのない色彩が凄く印象的な今作ですが、事件が起きて日常が脅かされるとそれが一気に濁って、事態のヤバさを視覚で伝えてくれるのも、良い演出だなぁ。
構図も大胆に攻めた面白い絵が多くて、日本が舞台の親近感を維持しつつ、ワクワクを煽る新規性もしっかり合って、冒険的な美術と演出がうまく噛み合っている印象を受けました。

声優さんたちの演技も非常にグッドで、欲しいところにズバッと欲しいものが来た、強い満足感を感じる第一話でした。
この後仗助は事件に巻き込まれ、まさに自分こそが杜王町を脅かす影に立ち向かわなければならない『主人公である理由』を手に入れるわけですが、このカタルシスをどう伝えてくるのか。
来週がすでに超楽しみであります。
いやーおもしれえな四部やっぱよー。