イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

機動戦士ガンダムUC RE:0096:第1話『96年目の出発』感想

すでに名作の評価を確たるものにしているガンダム正伝の再編集版、まさかの朝七時に放送開始であります。
自分は実はUC,ほぼ一切触っていなくて今回始めてみましたが、マジわけわかんねー!
開幕主人公の親父がいきなり死んでガンダムが起動するわ、時代が遡ってUC0年の大規模テロが何故か流れるわ、意味深なセリフを吐きながら色んな勢力が登場して意味深に戦うわ、主人公は空から降ってきたヒロインに腕を固められるわ、全てがジェットコースターのように流る第一話だった。
しかし面白い……面白いぞこのアニメッ!!(今更)って感じであり、来週も絶対見ようと思いました。(小学五年生の気持ちでガンダム楽しむマン)
以下、ほぼ初見のオッサンによるうろ覚えろガンダムユニコーン、現状の理解と将来の予測とかを書いていきます。


混乱した頭なりに状況をまとめると、時代はUC0096,シャアの反乱がすでに歴史の授業になってしまっている、ジオニズム遠くなりし頃合い。
ここら辺の説明と、主人公の立場解説を同時並列でやる授業パートはなかなかスマートだったと思います。
ニュータイプの片鱗を見せつつ平凡な学生生活を送っている主人公は、アナハイムのコロニーでグダグダやってたら空から降ってきた多分ジオンのお姫様を直感的に行動して助け、即座に腕を決められると。
実は主人公とヒロイン周りで起こっているのはこれだけで、兎にも角にも運命的な出会いを果たし、とんでもない事件に巻き込まれてしまったという、オーソドックスで力強い導入を引き受けたわけだ。

主人公たるバナージくんは一見ナイーブで無気力に見えつつ、人命救助のためにはプチモビル略奪も器物損壊も辞さないプッツン小僧であり、なかなか頼もしい。
アバンで『うす、主人公はガンダム乗ります。親父も死にます。尺の都合上収まんないんで、頭に回します』と説明もされたので、気になるのはその間の出来事なんだが、ここに多分姫さんが絡むんだろう。
姫様も無重力アスレチックにファンブルして死にかけたり、命の恩人の腕を即座に極めたり、なかなかに頭のネジが外れた小娘っぽいな……。
判らないことだらけだが、他人のために何かしようとするキャラは僕は好きだし、こいつらのトンチキポテンシャルが面白いことを引っ張ってきそうなオーラは良く出ているので、『何かが起こる……今は格とは言えんが、ともかく何かが起こる出会いなのだ!!』という、正体の見えないハッタリはよく効いていたと思う。

姫様の『戦争を止める』という寝言の裏に何があるのかってのはさっぱり判らんが、多分クイン・マンサっぽいのを出していたジオン残党っぽい集団と関係があるのだろう。
これに加えて超すげえ新鋭機っぽいMS(多分これがユニコーン)を秘密裏に開発してたオッサンが絡んで色々ややこしくなると思うのだが、この勢力とすげージェガンを出してた連中とは別なのかな。
とすれば、主人公&姫様、ジオン残党っぽいの、ガンダム開発した所、ジェガンを出してきた所と、現状四勢力がすでに動き出していることになる。
歴史の授業で言っていた『戦争は遠くなりし』時代でも、秘密裏に武力は行使されているし、ジオンと連邦を巡る因縁は完全には収まっていないわけだ。
ここら辺の物語的遠近法の作り方は、結構さり気なく今後の展開を示唆してくれていて、期待が高まるポイントである。


一方冒頭のUC01年の大規模テロに関しては、マジでさっぱり意味がわからないが、兎にも角にも今後の展開に関わる伏線なのであろう。
世界初の地球連邦政府首班は、夢の超国家政治主体が機能する前にテロリズム(多分。背景説明とかなかったけど、事故ではなく事件だと感じた)によって死亡してしまったわけだが、ここら辺は後のUC血みどろ地獄と呼応しあう、理想と現実の残忍な対比といえる。
首班が夢と理想を込めて祈った、個人的・集団的エゴイズムを超越した新時代は100年近くたっても全く実現しなかった。
人類の革新を夢見てニュータイプ主義なりジオニズムなり掲げて戦った結果が、人類半殺しの一年戦争であるとするなら、あの爆発は正しく戦争と人類規模のテロルとエゴイズムの世紀、宇宙世紀の産声として相応しいのだろう。

アムロやシャアや、その他英雄たちの血をたっぷり吸った戦記がもはや過去になってしまっているこのアニメで、わざわざ宇宙世紀のゼロアワーを挿入するからには、それは何らかの意味を持っているはずだ。
それが一体何なのか、今の段階ではまーったく判らんが、ともあれ何らかの意味を持つ伏線ではあるのだろうし、このアニメが『空から女の子が降ってきて、同居生活でラッキースケベ』というアニメではなく、『譲れない主義主張が、爆発と流血を呼びこむ物語』なのだと見せる仕事はしている。(ガンダム正伝なんだから当然といえば当然だけど、それを物語的説得力を込めてちゃんと暗示できているか否かとは別の話である)
説明をかっ飛ばし状況をどんどん進めていくスタイルはおそらく意図的だろうし、ということは今後状況は整理され、ある程度安定してくるはずだが、その中であの映像がどんな意味を持つのか。
楽しみに覚えておくことにする。

お話的にはだいたいこんな感じで、色んな勢力が各々のエゴイズムと大義を持ち、衝突寸前の緊張状態にある中で、少年と少女が出会い運命は動き始めたわけだ。
この『何かが起こる』感は六年前の作品であると感じさせない、ナウくてイカす映像の数々でバッチリ下支えされていて、期待をこれでもかと煽ってくる。
細やかにAMBACするMS、ファンネル使いに一歩も引かず立ち向かう顔のないエース、凄まじく繊細なダメージ表現と爆発、強い臨場感のある全周天モニタとARの表現。
ここら辺のガジェットへの拘りと表現力は、なにかとんでもなく特別なものを見ているというプレミア感を視聴者に叩きつけ、『意味が判らんが、なんかドキドキするので見よう! 凄いものを見てる気もするし!!!!』という興奮を生み出している。
映像表現における、リッチさの非常に正しい振り回し方だと思う。

一種偏執狂的な細やかさの未来表現を見ているだけでも楽しいし、説明されずに流れる運命の激浪がどこに辿り着くのか、想像力を巡らせるのも面白い。
グイグイと視聴者を引っ張っていくこの流れが少し落ち着いた時、一体どんな気持ちになるのか。
そういう期待を煽るのに十分な、最高にワケが分からなく最高に面白そうな、UC初体験であった。
いや面白い、このアニメ面白いよ多分!!(六光年分周回遅れマン)