イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

くまみこ:第1話『クマと少女 お別れの時』感想

可愛い巫女さんと喋るくまのほんわかスローライフ……を装いつつ、田舎のジットリとした湿り気と、生々しい恨み節と、抑えこんでも迸る作者の変態性がKAWAIIの合間に埋め込まれたトンチキ漫画、遂にアニメ化です。
OPのあまりのKAWAII推しに『オイオイオイ、そーいう漫画じゃねーだろコレ』とか一瞬思ったが、原作のエグみをしっかり残したまま、ポップで元気なアニメーションにしっかり仕上がっていて、とっても楽しかったです。
作品のテイストを程よく残しつつ、アニメーションにする意味があるアニメ化は、原作好きとしては有り難い限りだなぁ。

あらすじとしては性格が程よくヒネくれた巫女と、性格が程よくヒネくれたペドで異種姦な喋るクマと、一見良い保護者に見えて他人との距離分かんないくっそウザいお兄さんを軸に、裏日本海の曇り空の中でダラダラ愚痴りつつ生きていくスローライフ・ストーリー。
『癒やし』だとか『日常の中のキラキラ』とか、ジャンルに求められそうな要素は『うっせー!! そういうのはおんなじ女性作家である天野こずえ先生にやらせりゃいいだろ!! 熱海でも火星でも行ってろよ東北の山奥じゃなくてよ~!!』とばかりに蹴っ飛ばして、地味でじっとりした怨念と生臭い恨み言をたっぷり詰め込んである、かなりの局地戦仕様です。
って言いたいところなんだけど、可愛かったり素敵だったりするキャッチーな部分はとてもしっかりしていて、可愛い一本勝負でも十分戦えるポテンシャルがあるのが面白いところ。
そっちの地盤をしっかり固めていればこそ、ヒネた作風が悪意の上滑りではなく、作品独特のテイストになっているのが強みといいますか。

アニメの方もポップなセンスで可愛さをブーストしつつ、原作に漂う曇り空の気配はしっかり入れ込み、良いバランスでアニメ化していました。
声と動きのついたまちは非常に可愛らしくて、色々ひどい目に合わされ、自分自身もいい性格している彼女を見ているだけで、なんだか楽しい。
中学三年生のアイドルとか起用してスーパーポップに見せたOPも、あながち詐欺ばっかりじゃないぞ! って内容でしたね。
いやまぁ一話からしてクソ村とか、異種姦とか、セクハラとか、OPでは触られてない要素全開だったけどね!!


原作の密度を上げているのはエグみと甘みのバランスだけではなく、吉本先生が時折(?)暴走させるフェティシズムの温度でもありまして。
『うるせぇ……俺は何も知らずに天使のように健やかな少女を描いて性癖を満足させた後、その子が思春期に差し掛かりいろいろ拗らせつつも生来の純真さを残している姿が描きてぇんだ』と、コマ全部で主張しているド変態っぷりは、アニメでも健在であり安心。
所持即逮捕クラスのペドさを誇る回想シーンとか、妙に枚数使った艶めかしい動きのJC土下座とか、『中々切れ味鋭い変態がアニメスタッフにもいやがるか……』と唸る出来でした。
制作が"ばらかもん"のキネマシトラスだからな……ペド野郎のバロックな熱意(褒め言葉)が暴走するのも、まぁしょうがねぇ。
ただ可愛いだけではない、毒があるだけでもない、湿って捻れたエロスと情熱こそがくまみこをくまみこ足らしめている重大なポイントだと思うので、力入れてアニメにしてくれたのはとてもありがたいですね。

ストーリーの方は特に大きなピンチもなく、クマと巫女とクソ村の住人たちがダラダラ過ごす日常コメディでございまして、こちらも緩さと可愛さの合間に毒とフェティシズムを差し込んでくる毒針仕様。
第1話からしてセクハラと獣姦が豪速球で飛び交い、『あ、フツーのユルい漫画ではないのだね』と強制的に納得させられる、良い出だしでした。
ヒネクレつつも『ゆるさ』や『可愛さ』自体には敵意を向けず、むしろマウント取って使いこなすくまみこの真髄がよく出てたな。
ウザい通り越して少しサイコ入ってるよしお君の片鱗とかも欠かさず描写されていて、今後が楽しみになるのう。

と言うわけで、原作既読者としては大満足な第一話となりました。
原作の強みをしっかり解析、把握し、愛情を持ってアニメに落とし込んでくれる料理の仕方で、非常に有りがたかったです。
この仕上がりで僕の好きなあの話やらあのシーンやらが動いて喋るかと思うと、すでに期待度五億点ッて感じであり、来週が待てねぇぜオイ。
希望の4月に相応しい、グッドナイスなアニメーションの始まりだぜ!! ッて感じですな。