イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

影鰐 -KAGEWANI- 承:第2話『追行』感想

人間社会の闇に蠢く奇獣、その暗躍を追いかけるアニメーション、今週は俺達の番場大復活。
護送列車がお化けサザエに襲撃され、なし崩し的に護送の刑事と協力するという、バディアクション超大作でした。
「まずい、ここで”力”を使うわけには……」とか言いながら顔の傷を押さえる番場先生は、もう立派な伝奇村の住人……なんだけど、結局気絶させられて猿楽に回収される辺り、ダークヒーローになりきれない俺達の番場だった。
大満足ですハイ。

前回は『見えそうで見えない』演出が冴えたサスペンス・ホラーだったわけですが、今回は最初っから怪物の姿も能力も見えるクリーチャー・アクション。
ショートアニメで各話完結という形式を最大限生かし、毎回別ジャンルの装いをしっかり仕上げて満足させてくれる横幅の広さは、影鰐最大の武器といえます。
まー前作からの視聴者としては、番場先生が日常を捨ててどんなスタイルを手に入れたのか見たいところではあるし、一話目を人間サイドでヒッソリと、二話目を影鰐人間サイドでド派手に行くのは正しい棲み分けだと思う。

クリーチャーアクションとして見ると、『強力な溶解液』というお化けサザエの能力を早い段階でショッキングに視聴者に示して、これをどう攻略していくのかという軸の見せ方が巧かったです。
暴走列車というシチュエーションで心拍数をどんどん上げていく展開といい、最初は番号で呼んでいた刑事が激闘を共にして『番場宗介』という人間の尊厳を認める流れといい、コンパクトながら勘所を押さえた展開で、とても楽しかった。
八分間という短い時間が、逆に展開の無駄を切り捨てるダイエットを成功させていて、凄く充実感のある視聴体験になってるのよね。

番場先生は影鰐の力を持ちながら抑えこみ、あくまで人間として『誰か』を守るために頑張る、ダークヒーローの仕事をちゃんとやってました。
前作は『人間』番場宗介の過去と因縁がお話の一つの軸であり、それを完走してしまった承ではどういう展開してくるのかなぁと思っていたわけですが、しっかり『悩める超人物語』という、ストーリー展開を踏まえた足場を用意してくれてました。
無邪気な目撃者であり犠牲者だった立場から、一歩間違えば人間を食う怪物となってしまう当事者となった番場先生の次なる物語として、オーソドックスながら力強い『怪物であり英雄でもある』という矛盾を背負わせたのはベストチョイス。
乗客を気に欠けたり、おそらく殺戮を生む影鰐力の行使をためらったり、『番場宗介』という呼び名に拘ったり、短い時間の中に番場先生の人間の証明がみっしり詰まっていたのも、今回のお話の非常にグッドなポイントでした。

そして最高にかっこいいEDを背負って降りてくる猿楽と、『まぁ当然……』と『生きとったんかいワレ!!』という感想が同居する黒幕木村再登場。
まあお前たちが帰ってきてくれないとお話が成り立たないわけで、主人公の説明と同時に悪役の説明もしっかりやってくれるのはとても有難い。
あれゼッテーメカ木村だよ……番場先生とのラストバトルで腕ドリルとか胸レーザーとかロケットパンチとか、科学の粋を尽くしたオモシロ兵器出してくるよ……"幕末義人伝浪漫"のペリー提督みてぇなもんだよ……。(アツく浪漫を語れるロマ友、今でも募集中です)

そんなわけで、『これが影鰐!』というオーソドックスを出した第1話に続き、メインキャラクターが背負う現在をしっかり描写した第2話となりました。
影鰐の力を使わずとも奇獣を撃退したことで、第1期の物語が番場先生にタフさと覚悟をしっかり与えていたのを確認できて、ファンとしては嬉しかったな。
もう『守護れない番場』の汚名は返上だな!! とか思いましたが、自分自身は守護れずに姫キャラのように拉致されていった辺り、やっぱ番場先生は可愛いキャラだと思います。
一期開始時に比べて跳ね上がった期待値を真摯な創作態度で乗り越え、更に盛り上がる影鰐セカンドシーズン。
いやはや、マジおもしれぇぜ。