イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

マクロスΔ:第2話『覚悟のオーディション』感想

『♪君は誰と恋をする? 私それとも、あの子♪』とかヌルいこと言ってたら、ヒロインがグーパンで顔面殴ってきたでござる系アニメーション、第2話。
二人の主役がそれぞれ、お互いの夢の舞台に飛び上がる回でした。
尺の方は主にアイドル重点でして、パイロットの方はすげーフンワリした夢論を展開してノリで加入……しようとしたところで、グーパン女が文句言いに来た。
来週ドッグファイトみたいだし、主人公の方の覚悟はそっちで見せる感じかねぇ。

前回イイカンジに引いた暴動と襲撃は結構素直に収まり、今回はふわふわした若者二人をスタートラインに乗せる展開。
最初のオーディション落ちるのはお約束として、『兎にも角にもアイドルになる!』という目的がはっきりしているフレイヤは、状況を整えるお膳立ても具体的で分かりやすい。
たとえ故郷に帰れなくなっても、怪物に襲われ大ピンチの状況でも、歌って、踊って、夢をかなえる!
可能であれば隙を見て、美雲さんとキャイキャイする!!(これは僕の願望)
一歩ずつ着実に自分の道を歩いて行くフレイヤは、謎の宇宙青森弁も相まって素朴で力強くて、応援したくなる魅力があります。

夢の道の見せ方も非常に具体的かつ効果的で、速いテンポでオーディションを切り替え、歌とダンスの実力を見せる演出とかとても良かった。
ダンスそれ自体はやや遅れ気味なんだけど、わざわざ電車ドッキリ仕掛けてまで確かめたということは、キチレコ状態を癒せる歌の力は結構貴重な能力なのだろう。
まだまだ未熟な青いリンゴを美雲さんがどう熟させていくか含めて、フレイヤの今後にはとても期待が持てるし、面白そうだ。
無論、僕が銃ではなく歌で自分を証明し、敵を消すことではなく味方を増やし、心を治すことに力を尽くすお話のほうが好みだってのはあるけどね。


一方男の子主人公であるインメルマンくんは、空飛びたいのか飛びたくないのか、メカが好きなのか好きじゃないのか、いまいち判んないふわふわ問答を続けてました。
そこで計算された自殺未遂をぶっこむことで何を見せたいのか、主人公の覚悟なのか才能なのか、ちょっとポエジー溢れすぎてて僕には良く分からなかった。
半分くらいはふわっとした会話を全部拾ってふわっと返す隊長が悪い気もするけど、それにしたってキャラクターが何が嫌いで何が大事なのか、その価値観が見えてこない。
その空疎さがおそらくインメルマン君のキャラであり、それを埋めていく何かを見つけるのが、彼のこれからの物語なのだろう……が、それアルトでやって(僕の判断基準からすると)巧く行かなかったよね?

今後もこの人情紙風船っぷりを続けていくと、分かりやすい困難とその克服を繰り返してゆめいろロードを着実に歩くフレイヤと、夢を具体化するわかり易さ(それはつまり視聴者からの共感に繋がる)に差が出てくると思う。
そこを埋めてくれるのがグーパン女ミラージュさんなのではないかと、僕は推測しています。
夢がトントン拍子で叶う物語も良いけど、そこには都合の良さや嘘くささがどうしても生まれるわけで、色々都合の悪いことをギャーギャーがなり立ててくる障害や不都合が、適度かつスマートな見せ方で存在していたほうが、個人的には好み。
いわゆる『現実』を突きつける『口うるさいカーチャン役』を、ミラージュさんが担当してくれるとなれば、インメルマン君のふわふわ時間(タイム)も少しは落ち着くと思うのね。
いや、あんま突っかかると『うっせーなこのアマ、エストロゲン不足深刻なんじゃないの? 大豆食べる?』と言いたくもなるかもしれんが、『俺は風になる……好きにやらしてもらう』とか寝言吐いてるボーイをこっちに引き寄せるためには、ミラージュさんに色々やってもらうしかないってマジ。

インメルマン君が見つけた『風』たるヴァルキリーパイロットがどういう厳しさを持っていて、それを乗り越えた時どういう景色が見えるのか。
今週フレイヤの『風』たるアイドルに対しやっていたショウアップが、次回ちゃんと出来るかどうかでインメルマン君の夢へのスタートダッシュの勢いが決まる気がするなぁ。
既に僕の中では結構距離が空いてしまっているダブル主人公ですが、ミラージュさんのトス上げを活かして一発印象的なシーンを作れば、まだまだ追いつける……つうか追いついて欲しいのよ僕は! 
主人公である以上、否が応にもインメルマン君は長い時間画面に映るわけで、彼が何が大事で何をしたいのか、どういう存在なのか納得出来ないまま見つめてるのは、正直言ってストレスなのだ。
ふわふわした夢色チェイサーに現実を叩き込み、俺のの共感を押し付ける足場を作っておくれよミラージュさん!! って感じだね。


そんな主人公二人のスタートダッシュ前夜の脇で、色々描写もされていました。
メイン敵である『空中騎士団』については、直接本拠地での描写もあったんだけど、同人種であるフレイヤに面接するシーンでサラッと状況を描写していたのが良かった。
彼らは人類の規範から独立したチョウチンアンコウ人間であり、文化的にも地球圏から離脱・閉鎖された異分子だってことを、ちょっと距離の離れた所でさり気なく説明してくれたのは、なかなか気が効いてました。
見ている側とすれば、敵達が何を大事にし何をしたいのかもちゃんと判りたいわけで、それを敵側のシーンではなくフレイヤという味方側の、一番戦場から遠い『アイドルオーディション』の場所で言わせたのは、世界に奥行きが出来て好きなシーンだったなぁ。

後はおそらく今後主人公の拠点となるだろう『デルタのマクロス』が顔見世したり、ワルキューレの皆さんがちらほら目立ったり……緑髪で猫口の受付ちゃんが可愛かったですね
舞台が宇宙ドバイから宇宙バリ島に移り変わってたけど、今後もワルキューレのツアーに従って舞台を動かしていく展開になるのか、それとも今回の宇宙バリ島をメイン拠点にして進んでいくのか。
どっちにしてもロマン・トマさんの世界観デザインはΔ最強の武器の一つだと思うので、今後もさり気なく、しかし強烈に世界を押し付けてきて欲しいものだ。
インジケーター周りのデザインとか好みだなぁ……歌力が柱状の立体で表現されてるやつね。

と言うわけで、戦闘を少しお休みしてお話を安定させる回でした。
『ど根性宇宙芸能物語』という安定したレールにしっかり乗ったフレイヤに対し、相当にふわふわとイメージを追いかけるインメルマン君。
来週のドッグファイトと、ミラージュさんとのぶつかり合いで一体何を掴むのか、期待して待ちたいと思います。