イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

プリパラ:第91話『ママアイドル始めちゃいました!?』感想

親方~、空から光り輝く赤ん坊がー!! って言う訳で、三年目のプリパラの一つの軸、ゴッドベイベー・ジュルルちゃんの顔見世回。
ニチアサのデジタル赤ん坊のように物分りがよくないジュルルに振り回されつつも、アイドルの仲間はなぜかジュルルを認識できず、どんどん追い込まれるらぁら。
唯一の理解者として手際よく赤ん坊の世話をする出来た妹・のんが良く目立ってましたが、色々怪しい動きもあり。
ジュルル紹介回であると同時に、これまでバックステージに引っ込んでたのんを表舞台にあげる話でもあったと思う。

いかにプリパラがノリ重視のお気楽世界とはいえ、セレクションも合わせれば二年間主役を貼っていたらぁらには色々実績がくっついています。
それは成長の証であって、なればこそ主人公であり、神アイドルグランプリがパラ宿に誘致される理由としての説得力もある。
それはつまり、少女として人間としてキャラクターとして成長する余地が少ないということでもあり、この燃料不足はなかなか深刻です。
しかし何も知らずにプリパラに入った小学五年生は、気づけば神アイドルに一番近い『強者』になっているわけで、これまでのように頂点を目指し続ける『弱者』としての描き方はなかなか難しい。

というわけで、三年目の新要素として投入されたジュルルが、飯は食うわションベンはするわ泣くわ垂らすわいなくなるは、一人で世話するのは難しいリアル寄りの赤ん坊なのは、そんならぁらに試練を与えるためってのが大きいでしょう。
トモダチが死んだり、気に喰わないやつトモダチになったり、世界を救ったり、これまでの二年間で様々な試練を乗り越え成長してきたらぁらが今年立ち向かう課題の一つとして、ジュルルは生身の赤ん坊がそうであるように、ややこしい事を色々ふっかけなければいけない。
自分では何にもできない赤ん坊に振り回されつつ、色んな事を学んでいくっていうのは、『強者』の立場では忘れがちな『優しさという強さ』を確認するには良い試練だと思います。
現実世界でも余裕で実体化する辺り、『神アイドル候補』ではない『等身大の小学六年生』もしっかり鍛える腹づもりが感じられて、なかなか良い。

あとまぁ、こっちの都合お構い無しで大暴れする身勝手さがあってこそ、赤ん坊は赤ん坊としての生々しさを獲得できるわけで、そこんとこ一切妥協がないのは俺の好みに合ってる感じ。
訳のわからない状況に放り込まれても、『私知らない』と投げ出さず、自分に出来る範囲で悪戦苦闘してベイビーと幸せになろうとするらぁらは、正しく主人公であった。
この前向きさは三期になっても、プリパラの強みだと思うんよね。

衣食住+シモの世話+非言語コミュニケーション。
やること沢山有る上に、頼れる仲間はみんなベイビーに気づいていないけど、頑張れらぁら負けるならぁらって感じですね。
現状アイドルたちがジュルルに気づいていないのは、その状況から出会い、赤ん坊の世話という苦労を共有していくドラマを作るための『あえての白紙』なのかなーって感じもするしね。


んで、そのドラマを一番最初に担当したのは南委員長……だと思ってたんだけど、なんと二期はあまり目立たなかったのんでした。
まぁみれいに『小学六年生のママ』とかいう劇物与えたら興奮でヤバい事にはなると思うけど、正直意外な人選でした。
もともとのんは『姉より出来る妹』として描写されてたんだけど、それにしては手際が良すぎるし、『アイドルがママなんてスキャンダルになっちゃうからダメ!』と誘導する流れがスムーズすぎる。

らぁらがライブに行った後連絡をつけるカット含めて、ここら辺の『なんかあんじゃねぇの?』という感じは、狙って出されている印象です。
ここら辺はベイビーと並んで三年目の軸になるだろう、『神アイドルグランプリ』と絡めた描写なのかなぁ……。
次回予告を見るだに、『突如現れた三人の超新星アイドルが、ライバルとして立ち上がってきて!!』つーのがアイドル方面の試練だと思うんだけど、その三人軒並み『○○のん』だしなぁ……。
のんはキャラが立っている割にこれまでサイドキックとしてしか使われなかった=成長や変化というドラマの余地を大きく残しているキャラなので、ここで使いに来るのは正しい判断だと思います。
つーかぶっちゃけ、他に使える要素が殆ど残ってない。

ここら辺が物語としてどう結実していくかは今後次第ですが、今回のんが目立っていたのは意図的かなぁ、と感じました。
まぁ目配せするだけしておいて、後半のダッシュで処理が追いつかずにざっくり切られるっていうのも、長期戦である女児アニでは良くある話だけどさ。
そこら辺引っくるめて、今後の展開へと種を撒く、いい出だしだったように思います。

育児の描き方も『ドタバタしつつ大変で、でも楽しい!』といういいバランスを保っていましたが、孤立した状況が続くと大変そうなので、早めに一人くらいはアイドルからサポーターが欲しいね。
個人的な好みとしては、1ON1で秘密を公開して、その受け取り方やジュルルの扱いなんかをじわっと描いて、キャラを掘り下げる足場にしてくれると良いなぁ……一気に全員に公開するのは、ちょっともったいないネタだと思う。
そんな個人的嗜好が叶うかどうかはさておき、『空から降ってきたベビー』と『神アイドルグランプリ』のツインエンジンで走りだした三年目のプリパラ。
ベビーエンジンの方は結構いい感じに始動したと思わせる、良いエピソードでした。