イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

影鰐 -KAGEWANI- 承:第4話『試練』感想

日常の闇の中に潜む怪物を狩るべく怪物になった男の英雄譚、今週は影鰐人間VS人造チュパカブラ(セカンドラウンドもあるよ!)
第一期最終回で闇の力を取り込んだ番場先生ですが、これまであんまスーパーパワーを振るう話がない所に、超美味しいシチュエーションと失神寸前のかっこいい演出がズバンと刺さり、番場ファンは大満足であります。
話の流れでダークヒーローになってしまった主人公に合わせて、話の力点をしっかりズラし、見せ場を見せ場として機能させる演出が最高でしたね。
ホント影鰐は色んなジャンルに果敢に挑戦し、しっかり成功させて面白くて最高だなぁ……。

今回のお話しは多重に盛り上がりが用意してあって、『逆襲のメカ木村→人間・番場宗介の博士救出ミッション→奇獣・番場宗介の殺戮タイム→しっかり伏線を撒いておいた奇獣狩りの登場』と、八分間の間に体温上がりまくる仕掛けが山盛り。
一回一回の見せ場がしっかり盛り上がるよう仕上がっているので、それが連続でやってきた時の相乗効果もスゴイことになっています。
一期の頃からBGMの使い方が上手いアニメでしたが、『影鰐人間番場宗介、フルスペックで大暴れ』という、一期から待ち望まれてきた状況でメインEDがかかり、その後ライバル登場に合わせて新曲披露という畳み掛けは、最高に体温上がった。

一期の展開を経て、番場先生は『人間側代表』から『倒すべき怪物と同種』に変化してしまった、なかなか難しいキャラです。
奇獣の奇妙な生態と、人智を超えた虐殺を楽しむというホラー的な演出は、既に超人的な能力を手に入れてしまった番場先生が画面にいる時は、なかなか使えない。
『未知』こそが恐怖を増幅するのであれば、恐怖と同一化し操ることも出来るようになった番場先生は、『未知』からはかなり遠い存在だからです。
そこでホラーという形式を思い切って捨て去り、闇の英雄となった番場先生と奇獣のせめぎ合いをメインに据えて、しっかりダークヒーローアクションとして盛り上げてくる見切りは、中々に見事だと思います。
影鰐の力を開放した時の異形の変身、平面に展開される殺戮の獣。
俺が一期最終回からずーっと見たいと思っていたシーンが、最高の演出で展開されており、マジ素晴らしかったです。


番場先生をここまで好きになれるのは、彼が奇獣と人間の間にある危ういバランスを苦労して取っているからです。
木村の依頼にもニヒルな態度をとっていましたが、なんだかんだお人好しなので人命がかかると現場に出ていくし、博士がいる間は巻き込むかもしれないから影鰐の力は開放しない。
顔の痣が大きくなり、かなり奇獣に寄った存在になりつつも、番場先生は未だ人間であろうと努力しているわけです。
スカッと楽しめるチュパカブラ殺しをかっこ良く演出しつつも、そういう人間性をかけた戦いもしっかり切り取っている所に、影鰐制作陣の目の良さが感じられます。

動く度に起動音ウィンウィン言わせてた木村もまた、人間と機械の間に位置する存在であり、その象徴が『顔』という番場先生と同じ位置にあることも含めて、いい具合に主人公のシャドウをやっています。
メカメカしい肉体に変えられつつも、ギリギリの所で人間側に踏みとどまった番場先生をしっかり評価している所とか、番場宗介好き好き秒過ぎて良かった。
これで木村が死んでいると、『人と獣の間で悩むダークヒーロー』という二期影鰐の構図自体が破綻するわけで、メカって復活は良い選択だと思います。
今回のチュパカブラ暴走はどうやら猿楽内部の対立っぽいけど、木村はどういう考えで動いてんのかなぁ。

今回はもう一人、ヒトと獣の真ん中に立つ存在が顔を出してきまして、一期でも存在感があった奇獣狩りの一族が、かっこいい専用テーマソングを背負ってバッチリ登場でした。
VSダルマ様において、音叉をしっかり印象づけておいたのがよく効いた顔見せだったなぁ。
怪物の力を用いて怪物を殺す番場先生に対し、奇獣狩りの女は完全人間サイドなので、番場先生に混じった影鰐を先生の本質と見ている。
ここでも『番場宗介は人間なのか、奇獣なのか』というバランスが問われており、二期の番場先生は本当にダークヒーローなのだなぁと感じますな。


というわけで、ダークヒーロー番場宗介、待ちに待った檜舞台でした。
超かっこよくチュパカブラぶっ殺しておいて、二分後には地面に伏せてるところも含めて、ホント番場先生は愛せるキャラクターだ。
生き死にのピンチに追い込まれてしまった番場先生は、一体どうなるのか。
猿楽に蠢く怪しい陰謀の正体とは。
最高に盛り上げ、その勢いをしっかり次回に繋げる、見事なエピソードだったと思います。
いやー、ホントキレッキレだな影鰐。