イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

12歳。:第4話『トライアングル』感想

ハイパージェットみたいな恋が超音速で飛び込んでくるアニメ、今週はド田舎に帝王降臨。
無自覚小悪魔・花日ちゃんの優しさが、カッキー声のオラオラ系・堤くんのオラついた心をジワジワ溶かし、自覚しない初恋地獄に引き釣りこむ話でした。
12歳にしてイケメン道ブラックベルトな高尾先生のスーパーイケメンムーブも惜しげなく乱舞(ラッシュ)され、俺の心臓(ハート)は停止(フラットライン)寸前。
迷いも照れもなく、超王道を真っ直ぐ走ることの強さを思い知らされるアニメですな。

今週はW主人公の片割れ、純粋ちびっ子花日ちゃんメインのお話でして、あんまりにも高尾先生の安定度が高いんでライバルをぶつけて少しは揺らそうぜ!! というエピソード(前編)。
やや荒んだ王子様にピュアな心で接近し、あっという間に『アイツの事気にしてなかったはずなのに……なんで……』状態まで追い込む、花日ちゃんの前向きパワーが眩しすぎる。
文化の違う所に転向してきて巧く馴染めない堤にイラつきつつ、なんだかんだと面倒を見てくれる花日のピュアネスがじわじわ実を結んでいくところは、人間関係構築物語のコンパクトな楽しさがあり、それを『プロフ』というフェティッシュに集約している所も良い。
ただただピュアなだけでなく『自分な大事なものを踏みにじられたくない』という、ちょっと打算的な理由を行動理念に据えてるところが、主人公に好感を持たせつつファンタジーに行かせすぎない、上手い塩梅です。

彼氏とド直球にラブラブキュンキュンしつつ、クールなシャイガイにも優しさ振りまく花日ちゃんの残忍さが目立ってましたけど、最終的に『真心から出たものでも、男が勘違いするような餌のやり方は危うい』と学ぶ話なのかねぇ。
花日の立ち回りには『コミュ力高くてエスパー級に私のこと分かってくれて、私だけが好きなマイ・ボーイが欲しいッ!』『でも別のタイプの素敵ボーイにも求められたいッ!!』『そしてそこに私の責任能力はなく、あくまで無自覚の優しさが招いた混乱ってことにして欲しいッ!!』という、年齢関係なく迸る欲望が感じられ、それを素直に充足していくこのアニメの強みが見えた。
僕は欲望充足は創作メディアの重要な仕事だと思っているので、視聴者のニーズにアンテナを高く伸ばし、それに応えようとする姿勢は好きなのだ。
それ一本で走ろうとして、なんか大事なものを逃している感じも薄いしね、このアニメ。


今回はマイナスだった印象がドンドコプラスに変わっていく話なので、花日ちゃんも皇帝堤も胸キュンシーン満載で、オッサンの心臓は三回停止しました。
恋のことを抜いても誰かの真心が誰かに通じて、関係が良いものになるのを見るのは嬉しいものだし、素直になれないシャイボーイが初恋超特急に轢かれる姿を直球の演出で見るのは、なかなか楽しいものだ。
高尾先生は心の揺れとかあんま見せないので、クール装いつつもグラッグラに揺さぶられている皇帝の姿を見ると、『エエもん見たわぁ』って気持ちになって肌ツヤツヤなるしな。
やっぱ完成度の高いベーシックスタイルの男ツンデレはエエわぁ……。

先週の予告段階では高尾先生がもうちょっと弱るかと思ってたんですが、ライバル登場に少し揺らぎつつ、人間関係の高地優位を手放さないスタイルは健在。
開始三分ですんごいイケメン爆弾(ボム)を投下され、その後もスローモーションとムーディーなBGMを味方につけて全力で殴りに来てました。
素敵に状況をリードする優位性を維持したまま、ちょっとした嫉妬を見せ人間味を匂わせる塩梅は、高尾先生が一応血の通った小学六年生であることを思い出せてくれて、いい感じであった。
個人的な感覚ではまだ強すぎるので、もうちょっとグラグラ来てるシーン欲しいけど……そういうのは皇帝と桧山の仕事ってことかねぇ。


メインはそんな感じでしたが、モブ男子は相変わらずバカでゲスで人の心の痛みがわからなすぎ、心愛ちゃんは嫌なやつ力をフル回転させて圧力かけてきた。
キャラクターの配置が分かりやすいというか、『主役は主役、脇役は脇役』という割り切りが徹底していることが、このアニメのシンプルな強さを作っていると思うので、早々簡単にキャラの分厚さは出せないんだと思う。
メインキャラクターで展開可能なエピソードを掘り下げきってからじゃないと、カメラのピントを『主役たちの誠実さを強調するために、無自覚に悪いことをしてくれる脇役』に移すのは無理だろうなぁ。
個人的にはそういう目配せも欲しくはあるが、1クール中にそこまで横幅が出るかは未知数である。

今回もまた演出方針はド直球のまっすぐ勝負を徹底しており、スロモもポワポワもキラキラも90年台のトレンディードラマみてーなエモいBGMも、使える手段は全て使って感情を盛り上げてきた。
『王道は”効く”からこそ王道』という真実を高く掲げ、演出のラインを振らすことなく一定のムードを維持し続けていることは、見ている側の感情を誘導する上で、すごいパワーになっていると思う。
ストーリーラインにしてもキャラの配置にしてもベタなんだが、下手に『これ古くねぇかなぁ?』と迷うことなく最初から最後までインベタで走り切ることこそが、このアニメの真っ直ぐな表現力に繋がっているわけで。
なんだかんだ、イケメンがイケメンムーブしたら画面はスローモーションになり、ソフトなフォーカスで表情がアップになり、エモいBGMがかかって欲しいのだ私は。

あまりにも有効なので使い古された種々の方法論がここまで刺さるのは、個別の表現を研ぎ澄ませて刺さるように演出しているのもあるし、使い方に照れを感じないのもあるだろう。
良いタイミングでモブ男子が茶化したり、心愛ちゃんが現実のヤダ味を持ってきたりすることで、うまーく場の空気が抜けているのも、ベタな作りが機能している理由か……流石にあの空気一本槍だと、油っこすぎてシンドイもんな。
『はいはい、こういう使い方面白いでしょ? 昔流行ったよねぇ』というヒネた感じを受け取ることなく、『この磁束160キロのストレートがワイの決め球やッ! ストライク量産するでぇ!!』という本気の投げ込みを感じられるのは、とても良いと思う。(製作者が本当にそう思っているか否かは、インサイダーでもエスパーでもない僕には不可知の領域であるが、『そう感じられるならそうである』という無邪気な印象主義は、感想の迷宮に堕ちないためには大事だと思う)


つーわけで、花日ちゃんの無邪気な優しさがボーイ達を惑わせる、罪作りなお話でした。
ツンツンしてた皇帝がジワジワと心理障壁を崩され、初恋に陥落していく様子がじっくり描かれていたのは、心の栄養補給にありがたかったなぁ……肌ツヤッツヤなるわマジ。
来週は皇帝大暴走&高尾先生の防衛戦って感じなんでしょうが、ここらで一発余裕のないイケメンが食べたいなぁ……あとナイスサポートを延々続けるまりんちゃんに、少しご褒美上げて欲しい(口うるさいキュンキュングルメ爆誕)
基本的な欲求をしっかり満たしてくれるので、色々と欲張りなことも言いたくなる、良いアニメですねコレ。