イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

プリパラ:第94話『カモンカモン・かのん!』感想

子育てとアイドル稼業と学業を両立させていく欲張りアニメ、今週はジュルルのカムアウトと三人目のトライアングル。
一エピソードの中で複数の仕事をこなすのが三年目のトレンドのようですが、今週もジュルルを主人公グループで受け入れるための手続きあり、トライアングル最後の刺客の腹黒っぷりの確認あり、結構忙しかったですね。
細かい部分の描写が冴えていて、キャラの表情がよく見える回になったのは、とても良かったです。

と言うわけで、最初はらぁらが抱えていた重荷をアイドルたちと共有するターン。
前回既に色々限界だったので、このタイミングでジュルルの養育がらぁらだけのクローゼットでなくなるのは、見ている側としてもありがたい動き。
同時に『ジュルル=ジュリィ』という情報も早めに出してましたが、あくまで扱いとしては赤ん坊ジュルル重点ッて感じですね。

ジュルルの受け入れ方には各キャラクターの個性が出ていて、『神アイドルへの近道になるッ!』とばかりに大急ぎで点数稼ごうとするドロシーとか、赤ちゃんを自慢したがるガァルルとか、らぁらを軸に据えつつ共同体で育児するシステムを手早く構築するみれいとか、バラエティ豊かでした。
沢山いる女の子たちの中で一番ソフトかつ的確にジュルルを受け止めてたのが、性別的には男子たるレオナなのは、性差に敏感でありながら悪目立ちさせない、このアニメらしい表現だと思います。

生きた存在としてのジュルルの『臭い』にレオナが言及しているのも、赤ん坊の赤ん坊らしさを閉じ込めないこのアニメらしくて好きだなぁ。
ジュルルはパクトに閉じ込めておけるデジタルで便利な存在なんだけど、アイドルたちは可能な限りジュルルを現実化して育て、飯を食わせて排泄の処理をする。
それは生まれたてのワガママな生き物としてのジュルルを受け入れると同時に、そうして生まれ育ってきた自分自身の過去をも責任をもって受け止める姿に見えて、なんというか善因善果の喜ばしさがあるのだ。
それが感じられればこそ、今回ラストのらぁらとジュルルの寝床には、なんとも言えない幸福感が漂う。
親が望む瞬間だけ子供らしさを発揮する便利な存在として赤ん坊を描くのは、商品として赤ん坊を宣伝するには便利かもしれないけど、作品の中に赤ん坊を置く意味合いと正面から向かい合っているとは、やっぱり僕には思えないのだ。

『臭い』と重たさがあって、ワガママに泣きわめき弱々しいジュルルの勝手気ままさは、それと向かい合うキャラクターの成長に説得力を持たせるとも思うしね。
三年目を迎えて所々に構造披露と燃料不足がかいま見えるプリパラだからこそ、らぁらがジュルルを育てる中で見せた別の顔は必要になるし、今回カムアウトしたことでジュルルによる試練はアイドルみんなのものにもなった。
来週早速南委員長の子育てタイムみたいだけど、彼女のキャラクターとジュルルがどう科学反応し、どんな成長を見せるかが既に楽しみです。


もう一つの試金石となるだろうトライアングルは、最後の一人かのんが登場。
超超うるせぇスーパーぶりっ子アイドルだが、のんちゃんの腹黒さが透けて見える野心むき出しキャラでもあった。
アクシデントに見せかけて13点の答案を暴露する手腕に、姉が好きすぎてどんどん追い詰めていく妹のヤバさを痛いほど感じました。
同時に『ソラミ・ドレシが超好き』ってのも、全く嘘ではないんだろうな。
三人とも髪にらぁらの髪色が差し込まれてるところから見ても、のんちゃん姉好き過ぎだからな……素晴らしい。

トライアングルはミーハードルヲタであるのんちゃんらしく、ソラミとドレシと自分自身を要素に分解し、サンプリングして生まれたキャラクターです。(小学生でこれだけ人格を客観化出来るのは、凄いとしか言いようが無いけど)
眼の色とか髪の色とかいろいろ組み合わさってはいるものの、実は新しいモノはそこまでない。
のんちゃん自身の個性である、圧倒的な分析力と知識量、加えて腹黒い野心がスパイスとして加わっているものの、ナチュラルな目新しさはあんまりないし、経験値も足らない。

ここら辺を"Make It!"を聞いたアイドルたちがかなり情け容赦なく指摘しているのは、なかなか面白いところでした。
いかにアイドルテーマパーク内での遊びとはいえ、二年間観客のためにステージに立ち続けてきた彼女たちには、表現者として自分の気持を他者に届け、共有の何かを生み出してきた経験と矜持がある。
天才とはいえ現場での経験を踏んでいないのんちゃんには、『自分が可愛い』以上のメッセージを歌に乗せなければ観客に届かない、相手のいるリアルなアイドルステージはイメージしにくいものだったのでしょう。

しかしかのんは指摘を素直に受け入れ、直後のステージでしっかり観客に届くステージングをしてみせる。
ここら辺は初舞台一発目で強い気持ちをプリズムボイスに載せ、がっちり観客の魂を掴んだ姉と似ている部分でしょう。
むせ返るような野心と同時に、アイドルそのものへの猛烈なリスペクトを持っているのんちゃんは、現場での経験をどんどん吸収して成長していく、手強いライバルになり得る。
今後の展開を支えるロジックがしっかり描写されていて、今後が楽しみになりました。

トライアングルの強さと同時に危うさもしっかり描写されていて、複垢使いの忙しない出入りとか、取ってつけたキャラの運用とか、見ててハラハラする要素もチラホラ。
らぁらが既に三人同時に存在しないことに疑念を抱いているので、誰か中の人を雇って窮地を乗り切る展開とか、今後あるんでしょうかね。
とりあえず三人揃ったステージは、田中美海さんの実力を今以上に堪能できそうなので楽しみです……いや、今でも十分以上にスゲェけどさ。


と言うわけで、らぁら一人が背負っていたジュルルの重荷をみんなに分散し、かのんのキャラクターを見せる回でした。
他の二人に比べて『真中のん』という人格が色濃く反映されているからか、かのんは見ていて面白いキャラクターだな……明確な弱さとその克服がかかれたのが、応援したくなる理由かもしれん。
来週は南委員長VSジュルルのようですが、赤ん坊ほど計算を飛び出す存在もいないわけで、今からどんだけ引っ掻き回さされるか、今から楽しみです。
次回予告でジュルルが『むおー!!』ッて感じで力強く拒絶の意思を示してたけど、俺赤ん坊の妙にパワフルな仕草すげー好きなのよね……アニメでちゃんとそういう瞬間切り取ってくれるの、とっても有り難いね。