イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない:第7話『間田敏和 サーフィス』感想

超犯罪都市仙台の実像に迫るヴァイオレンス・ドキュメンタリー、七話目の今回はVS憎みきれないろくでなし。
学校に潜む悪……とも言い切れない小悪党を相手に、仗助&康一くんコンビが息のあったところを見せるお話でした。
エコーズのトリッキーな力が状況解決のために役に立っていたり、1エピソード使って能力に覚醒したことで、庇護されるべきヒロインから頼れる相棒にクラスチェンジした感じがモリモリ出てて、良いエピソードだった。
それにしたって、路上ですれ違った人をボコにする案件が多すぎる……杜王町マジ治安悪い……。


こうして見返してみると、対象の自由を奪いつつなりすませる間田の能力はまさに恐るべしであり、まともに敵対していたら非常に厄介な相手。
しかし彼はアンジェロのような超IQの連続殺人鬼でも、玉美のような職業犯罪者でもない、フツーに鬱屈した高校生です。
『サーフィス』という超常の能力を手に入れても、彼がやったのは友人への復讐と、承太郎を排除して身近な平穏を維持しようという、身の回り五メートルの小さな事件。
『サーフィス』がコピー元の人格もコピーしてしまい、彼の思い通りにならない事引っくるめて、彼は自信がない高校生なわけです。

なので、行動も行き当たりばったりで衝動的で、ムカついたから殴った相手を利用されて敗北するという結末も、彼の小物っぷりをよく表しています。
彼がもし『覚悟』のある男で、『承太郎を殺す』という目的のためには全てを押さえ込める人格的強さを持っていたのなら、『サーフィス』の強さを活かして第四部完ッ!! となっていたかもしれない。
しかし彼は自分のエゴを目的のために抑えこむ『覚悟』があるわけではない、超常の力を手に入れてちょっと調子に乗ってしまった高校生であり、エゴを抑えきれずに自滅するのもある意味当然なわけです。
そこで即座に、『バカにされたから学友の眼球抉るッ!!』『チョロチョロ嗅ぎまわってうぜー承太郎を殺すッ!!』ってなる所は、『ああ……杜王町の住人だね』って感じですけどね。

第四部はそれまでのような明確な敵がまだ顔を見せず、杜王町という『日常』に潜むスタンドという『非日常』が引き起こす事件に、主人公が飛び込む構造になっています。
立場も人格も様々なキャラクターにスタンドの力を与えると、一体どのように用いどんな事件を起こすのか。
四部には『日常』を舞台にしていればこそ成立する、一種の思考実験のような楽しさがあって、鬱屈した普通の高校生である間田の事件にはその醍醐味を感じます。
あまりの大暴走に眉をしかめつつも、『自分が同じような状況に置かれたら、もしかしたら……』と考えてしまう身近さは、やっぱ四部の面白いところだなぁ。
そんな小人が相手でも、『サーフィス』の能力を強めに設定することで、『油断できない厄介な相手』として描写を成立させ、冒険に緊張感を維持させているのがグッドだな。


今回は小物スタンド使い間田を向こうに回して、仲良しコンビ仗助&康一のお披露目をする回でもあります。
無能力でも勇気を武器に立ち向かってた康一くんも輝いてたけど、やっぱ直接事件にコミットできる実力を手に入れ、対等な立場で仗助を支える康一くんは、一等かっこいい。
クールな判断力と圧倒的パワーを誇る『クレイジー・ダイヤモンド』と、悪にひるまない勇気とトリッキーな絡め手を誇る『エコーズ』の相性はバッチリであり、お互いの能力を活かした見せ場もたっぷり用意されていました。
仗助&康一コンビは身長差がかなりあって、それが見た目の凸凹加減と中身の相棒っぷりを強調しているのが、凄く好きです。
お互いに不得手な分野を補いつつ、コンビで状況を解決していく気持ちよさってのは、やっぱり良いわね。

踏切を利用した心理的トラップで相手の裏を描くシーンは、どんだけ『クレイジー・ダイヤモンド』が強力でも達成できない、『エコーズ』だけの見せ場であり、康一くん好きな立場としては嬉しいシーンだった。
ハイタッチで場面転換する演出も良かったなぁ……四部アニメは原作の勘所を抑えつつ、アニメであることを活かした演出多めで見てて楽しいですね。
最後の決め手になるのがスタンド能力ではなく、第三者を自在に操る仗助の知略ってところも、スパイスが効いてて好きです。

そんなわけで、『日常』の象徴たる学園にもスタンド使いはいるッ!! というお話でした。
『ラブ・デラックス』の伏線を挟んだり、『レッド・ホット・チリ・ペッパー』を最後に登場させたり、原作のエッセンスを活かしつつシリーズを再構築する切れ味も、なかなか鋭かった。
来週は『早すぎたヤンデレ』山岸由花子のエピソード。
彼女の愛が持つ『凄み』がどう映像されるのか、今から楽しみです。