イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ふらいんぐうぃっち:第7話『喫茶コンクルシオ』感想

常春のエリュシオンでゆったり時間を融かすスロー・ウィッチ・ライフ・テイル、今週は山菜採りと喫茶店。
夫婦とも兄妹とも付かない、三人組のダラーッとした少し不思議な日常をスケッチする、僕好みのお話でした。
いつにもまして美麗な背景と微細な動き、時々迸るフェティシズムが気持ち良くて、俺やっぱこのアニメ好きだわッて感じだね。

今週もお話しの起伏は弱めで、その分たっぷり取れた尺で過ぎていく時間をじっくり見せる展開。
特に構えることなく、肩の力を抜いて日々の素敵な物事を楽しんでいくスタイルはなんだかリッチで、あくせくしないテンポとしっくり来てます。
毎回そんな感じのお話だけど、今回は特に行動の起こりから終わりまでじっくり見せる時間の使い方をしてて、真琴達の豊かな時間の使い方を追体験できるアニメであった。

そこを下支えしてるのが動きのリアリティと背景の解析度だと思うんですが、今回は両方共リキ入ってました。
冒頭のチトを撫でるシーンの皮余り感、バスの中で後部座席に移るチトの気持ち良い動き、真琴が魔法陣を設置する一連の流れ。
がっちりカメラを据えて動きの最初から最後までを捕まえる描き方は、ふわっとした話に奇妙な現実感を足してて、中々奇矯で愉快な味わいになってました。

背景はリアルなだけではなく、そこを半歩飛び越えた浮遊感がしっかりあって、一応魔法とか幽霊とか出てくる現代ファンタジーでもあるこのアニメに必要な雰囲気を出してました。
ギョウジャニンニクの取れる森も、幽霊がウェイトレスやってる隠れ家喫茶店も、同じように少しだけスペシャルな日常として仕上げる無差別感覚は、俺好きだなぁ。
暖かい春の日差しの中にこそしみじみとした特別さは潜んでいて、毎日毎日、それを見つけてはゆったりと楽しむ余裕があるからこそ、真琴たちの日々は楽しそうに輝いているのだろう。
作品全体のスタンスと実際の映像、キャラクターたちの態度が穏やかな、しかし靭やかでもある演出プランでまとめ上げられているのは、やっぱ強いなと思う。

今回上品だと感じたのは、イベントの結果をあえて飛ばして見せる演出。
カエルにビックリしたなおの表情を映さないで、案外近くまで来ていたクマのリアクションにパスする繋ぎとか、いい具合にテンポ作りつつやわらかい印象を生んでいて、とても良かった。
じっくり見せるだけだとシーンが粘り気を出し始めるので、こういう形で空気を逃してテンポをコントロールしてくれるのは、中々気づかないけどありがたい気配りよな。
優れた『日常系』創作物って、こういう配慮の積み重ねで成立してんだろうなぁ多分……。

と言うわけで、今週もまた特に何をしたってわけでもない、穏やかな弘前の一日でした。
焦ることのない日常感と、魔法や山菜といったちょっとだけの特別を巧く混ぜあわせていて、このアニメらしい魅力がしっかり演出されていたと思います。
24分間少し異郷に遊んで、しみじみいいなぁと感じられるこのアニメ、俺やっぱ好きだなぁ。(本日何度目かの感慨)