イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

くまみこ:第9話『コマーシャル』感想

くまとみこが出てきてカルマの沼にズブズブ沈んでいくアニメ、今週はくまとみこはあんま出番ありませんっ!
コマーシャルをネタに熊手村自体が主役になるアニメオリジナルの回でして、原作をベースにしたお話とは結構テイストの異なる展開でした。
こうやって世界を広げてみると、いかにくまとみこのクローズな関係が巨大な足場になっているのか、良く分かるね。

アニオリとはいえ、これまで培った田舎のヤダ味は全開でして、すでに結論出てるのに会議っていう体裁を整えるためだけに開催される会議とか、独占状態なのでたっぷり溜め込んでいるクソみたいな時計屋とか、CMの役割果たしてないのに薄っぺらい自己顕示欲が満たされれば満足しちゃうクソ住人とか、いい塩梅にイヤでした。
ホントなー、あの状況から(世間的には20店だけど村的には)80点のCMを捻り出す辺り、よしおの実務能力は高い。
今回のよしおは人間関係の機微とか、自分の行動が他人に与える影響とかを感じ取れるフツーの兄ちゃんになってて、そういう部分の塩梅も描く人によって大きく変わるもんだねと思った。

今回ナツはカメラ取ってるだけ、まちはスク水着て卑猥なオーラ出してるだけで、あんま目立ちませんでした。
せっかくオリジナルななんだから原作のベーシックなアングルから少し変えたお話をやろうってことなのか、はたまたナツまちの腐れきって可愛い不思議な関係を捏造するのは難しかったのか、どういう理由で主役を話しの真ん中から外したかは、良く分かりません。
しかしこの話が『くまみこ』である以上あの二人のキャラが一番立ってて、魅力的で、回される尺と掘り下げの深さが大きいってのは事実であり、その代理をするには熊手村の面々はちと役者不足かなぁと正直思った。

良くも悪くも悪くも、この話はクマと巫女の歪んで可愛い関係を笑い飛ばし楽しむために作られてて、熊手村それ自体はそれを盛り上げるための舞台装置に過ぎないというか。
まぁ熊手村自体を主役に据えると、衰退と閉鎖性が話しのど真ん中に来て"屍鬼"みたいなヤダ味が出てくるわけで、端っこに置く選択肢は正しいと思うわけだけど。
湿り気のある題材をシニカルかつ知的に蹴っ飛ばすくまみこのスタイルに僕は惹かれているけど、今回の話は割と普通のドタバタをつなげる感じで、皮肉と距離をおいた冷たさが足らない感じはした。
その差異が『いつもとは違うけど、それはそれで!』という魅力に変わっていなかった(ように僕には思えた)のは、惜しいなぁと感じるし難しい所でもあるね。