イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ジョーカー・ゲーム:第11話『棺』 感想

爆発寸前のきな臭い世界を巡るスパイ良い旅夢気分、今週の舞台はドイツ。
隻眼のスパイマスターが偶発的事故の裏に、かつての因縁の匂いを感じ取り……という塩梅のお話でして、D機関がなぜ『スパイは死ぬな』と口を酸っぱくして言い続けたのか、その理由がわかる回でもあります。
事件の裏に潜む真相に油断なく近づいていく物語展開は、ヴォルフを探偵としたミステリのようであり、彼の執念と隙の無さ、非情さが好敵手としての魅力に変わる、良いお話でした。

今回の事件はなにかプラスの陰謀を積み上げるというよりは、積み上げたプラスをダメにしかねないアクシデントに、結城中佐はどう立ち向かったのかというお話です。
彼の過去に迫るエピソードが公開される所含めて、前回プライスが演じた物語の印画のような味わいがあって、中々に面白い。
部下にすら『異常だ』と指摘されるヴォルフの妄念をもってしても、スーパースパイ結城の回収工作を止めることは能わず、見事な後始末をつけるわけですが、しかし始末は始末。
お話をここまで話数を積み上げてきて、『D機関ですら、失点することがあるのだ』と視聴者が驚ける素地ができたからこそ、面白く刺さる展開なのかもしれません。

D機関への理解があればこそ、というのはヴォルフの優秀さの見せ方もそうです。
彼はまるで視聴者と同じ視点に立ち、D機関が常軌を逸した手際で情報を握りこみ、当然滅多にミスなどしないという前提で調査を進めていきますが、それは凡人の目線からすれば妄想以外の何物でもない。
結果的にヴォルフの過剰な警戒は最善手であり、すんでのところで結城中佐に手が届く、というところまで奮戦しながら、彼は華麗に身を翻して事件を制圧する。
銀河万丈さんの激渋演技もよく刺さって、執念の男が全力を尽くし、それでも追い込みきれない紙一重の差が気持ち良く感じられました。
ライバルとはいえ同業者の見事な手際に感じ入り、死してなおスパイの任務を完遂した三好を讃えて終わる締め方も、潔くて好印象でした。
やっぱ僕は、キャラクターの優秀さを見せるときは愚かさではなく、賢さやひたむきさを鏡に確認したほうが好みだな。