イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アイカツスターズ!:第12話『はばたくガールフレンド♪』感想

弱さも強さも受け入れた華やかなる人間曼荼羅絵巻、今週はツバサ先輩アゲイン。
出だしにステージノルマをとっととこなし、『厳しすぎるアイドル』の素顔をじっくり追いかけるお話でした。
先週のひめエピといい、第10話でぶっとい背骨を打ち立てたことで、S4のキャラを掘り下げる脇エピソードを展開できる余裕が出てる感じだなぁ。

そんなわけで如月ツバサの素顔に迫るお話なんですが、生徒会長として後輩の面倒を見つつ、弱い自分を覆い隠してツッパるという、強さと弱さを兼ね備えたキャラクターでした。
モノ言わぬ動物に頼ってしまう内面的なシャイさもそうなんですが、それを隠すべく着込んだ『厳しすぎるアイドル』というペルソナに引っ張られて、苛烈な判断を下してしまうところとかも、まだまだ未熟な感じ。
しかし己の弱さや未熟を素直に認め、それを改める心根の正しさも持っていて、精神的な完璧さと身体的弱さがセットになっていたひめに比べると、成長途中の先輩キャラという感じでした。

弱さを隠すために強さを演じてしまうツバサの弱さは、S4の仲間たちには筒抜けでして、色々頑張る『厳しすぎるアイドル』にどうにか体重を預けて欲しいと、色々ちょっかいをかけてきます。
誰かに頼る弱さが同時に強さでもあるという描写は、『アイドルの天井』を四分割したスターズらしいテーマの拾い方で、なかなか良かったです。
ほーちゃんに依存する悪しき弱さを知っていればこそ、ツバサは亀に依存しかかっていた一年生に厳しく接したわけだし、そこから離れて強くなろうと頑張っていればこそ、支えてくれる仲間も彼女を助けようと思う。
ツバサを巡る強さと弱さの描写は結構複雑で、これを描くことでツバサがどういう人間なのかよく見える、良い窓になっていました。
ゆめの挫いた足を手当するシーン見ても、騎士っぽい内面に反して癒やしや受容といった女性的側面に才能のある人なのね、ツバサ先輩。

『厳しすぎるアイドル』とはいうものの、ツバサパイセンは生徒一人一人の顔をしっかり見て、自分を押し付けるだけではない指導をしています。
S4の残りはおっとりお姫様が二人と道化師タイプなので、ツバサが締めないと共同生活が成り立たない感じなのかね。
そこら辺の空気を敏感に察して『厳しすぎるアイドル』を演じているんだろうけど、彼女の人格の根っこはシャイで優しい人なわけで、実は秩序を維持する顔は無理して維持してる部分が強い。
本来の自分と異なる人格でも、他者が望み己がプライドを持てばこそ無理があっても維持できるというのは、前回ひめが語っていた生き方でもあります。
『他人が見上げる憧れの視線がプライドを下支えし、S4に必要とされる超人的スペックが可能になる』っていう描写は、結構徹底してる気がするな。
ここら辺は今後あるだろう夜空エピ、ゆずエピでどう変奏されるか、楽しみなところです。


今回のお話しはだいたいツバサ先輩に捧げられていましたが、ゆめ&ローラが地道に実績を積み重ねる描写や、準レギュラーとして存在感を出してきたチュートリアル先輩、ちょっとタフさに欠ける小春ちゃんの描写なんかも、コンパクトに差し込まれていました。
色んなキャラクターが賑やかに楽しいヴァラエティ感はアイカツ最大の強みだと思うので、色んなキャラの出番があるのはいいことですね……アコちゃん最近見ねーな……。
思い切ってツバサに重点を置いたおかげで、S4の日常がじっくり見れたのも良かったですね。
ゆずの戯けた仕草を見ていると、『S4はひめ=プリンセス、ツバサ=騎士、夜空=女王であり魔女、ゆず=道化師と、ロマンスのアーキタイプをそれぞれ担当しているのでは?』という妄想が加速していく。
生徒が暮らす俗世から離れ、わざわざお城で暮らしているのも、トップアイドルというロマンスを維持するために、役割(ロール)を演じている意味合いが強いのかねぇ。

序盤でパパッと片付けられたステージノルマですが、新曲"みつばちのキス"を引っさげてのデュエットでした。
これまでのものに比べると目線や体重移動の表現にバリエーションが生まれ、カメラワークも攻めたアングルが増えたように思います。
当然ちゃ当然だけど、経験値が溜まってくると動きはスムーズになるし、演出の手数も増えるねぇ。

というわけで、弱くて強い、厳しくて優しい複雑なハンサムガール、如月ツバサの個別エピソードでした。
孤独故に強さを手に入れる強さと、仲間に頼れる強さを両方扱ったので、EDの"Episode solo"の歌詞が非常に刺さる展開でしたね。
S4話が続いてきましたが、来週はアイカツ名物クソドラマ回……予告の段階でまったヒドそうだな……。
楽しみです。