イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

プリパラ:第102話『変幻自在! ジュエルチェンジぽよ♡』感想

堅牢な構成と明確なテーマ性を持つストロングな女児アニ、今週は全てのブレーキを取っ払ったギャグ回。
ラブライブ監督……否、プリリズAD副監督の京極尚彦をコンテ演出に迎え、ドタバタ忙しいノリと油っぽいパロディ、勢いで押し切るパワー勝負がたっぷり詰まった、DMFっぽい回でした。
まぁここ最近カッチリした話が続いてたしね、スタッフもガス抜きしないとね……。
ガスを抜きすぎてヒンデンブルグ号並の大事故になりかけてましたが、細かいところをコントロールする手管も冴えて、楽しい回となりました。


今回はとにかく勢いのある回で、『なんでそうなるのか』の出だしの部分だけポンコツ監督に担当させて、細かい所は一切足を止めずに駆け抜けてしまいます。
正気になる前に勢いで話が進んでいくのでテンポが良いし、無茶苦茶なフリでもそれを出す監督は狂ったロボットなので気にしなくて良いし、とにかく歯切れよく展開させる脚本でした。
一切立ち止まらずに進むテンポに、ネタのクドさと狂気が程よく絡んで、なんだかよく解らない熱がいい具合に盛り上がっていたと思います。
とにかくボケれる状況を作るべく、状況を投げ続けるポンコツ監督を見ていると、『勢いだけ』を成立させるためには、色々準備が必要なんだなぁと思った。

このテンポの良さ、脈絡の無さは登場できるキャラクターの多さにも繋がっています。
今回は久々にメイン級が一同に介し、それなりに見せ場を貰って絡む、賑やかで楽しい回でした。
ヴァラエティ豊かなキャラクターがぶつかり合う魅力が十二分に出ていたわけですが、それには今回の脈絡の無さとテンポの速さが必要だったわけで。
ストーリーを受け止めて膨らますのではなく、シチュエーションを豪快に使い潰して次に移る工程を高速で繰り返しているからこそ、急にキャラが出てきてもあんま気にならないのです。
話の出だしからして、急にまほちゃんから電話かかってくる導入だしな……。

プリパラは今回みたいなクレイジーな要素を活かしつつ、結構しっかり作ってる話です。
堅牢な構造は物語の序破急をしっかり展開させることで生まれるので、どうしても諸要素をしっかり描写し、それぞれの繋がりを見せるシーンに時間が掛かる。
ストーリーを展開させるにはそれなりに時間がかかるわけで、メインのお話を展開させている間は、出番のないキャラも出てくる。
今回の賑やかな魅力は、『シリーズ全体が乗っかる大きな構成から外れた、比較的自由なカオス回』という立場を最大限に活かした、冷静な狂気の産物なんじゃないかな、と思います。
まぁ言うたかて、普段から切り落とす所はざっくり切り落とすけどねプリパラ……ステージノルマに繋げる所とか。


構成としては狂言回しになるポンコツ監督に振り回されるAパートと、人格&衣装交換ネタでシオンを追い込むBパートという造り、
ラブライブ二期第六話といい、こういうネタ京極監督好きだねぇ……。
話の潮目が変わる人格交換をガァルマゲドンの登場と同時に展開させ、Bパートからは混乱の元がポンコツ監督からジュエル交換に変化して中ダレを防いでいる辺りにも、福田さんの冷静な狂気が見える気がします。
一話全部引っ張るにしては、ポンコツ監督の狂気はワンパターンなんだよな……燃料切れする前に人格交換にメインに出してして、自分はサブ狂気に引っ込む構成は、テンションを維持するのに上手い手だと思いました。
……サブ狂気ってなんだ。(唐突な正気に苦しむマン)

人格交換ネタも長く付き合ったキャラの意外な顔が見れて、とても魅力的なイジりでした。
『クールなハンサムガールを、どうにか可愛い神輿に載せたい祭り』実行委員長としては、今週のシオンは二兆点だった……ソイヤソイヤソレソレソイヤって感じだった。
どうしても捨てきれない羞恥心を捨て去る決め手が、自分の利益ではなく『ジュルルのピンチ』なのが、凄く良い。
元凶であるひびきにあじみ爆弾を送り込む因果応報エンドといい、クレイジーさに拍車をかけつつ、『なんかいい話』と思える大事な所はきっちり抑えるところも、隠された手管でしたね。

ブリッ子しつつも結局『鉄くず』呼ばわりなドロシーとか、普段の自分に戻っただけっぽいポップそふぃとか、ひっそり展開するそふぃレオ&あろみかとか、キャラに愛着があればこそ刺さる良いネタが、惜しげもなく投入されてました。
ジュエル交換によって表現に差は出ても、結局根っこの部分はおんなじって見せ方は良かったな……あと間接的にのんちゃんの凄さもよく分かった。

爆発するテンションを支える大量のパロディも今回の見所で、自分が気づいたところだと"ドリフ"に"ラブライブ"、"エヴァ"に"魁!クロマティ高校"に"欽ちゃんの仮装大賞"ってところでしょうか。
そもそも"からふるシオン"自体が、"マジカルみおん"のセルフパロディだろうしな……つくづくDMFっぽいな今回。
普段のプリリズではパロディはスパイス程度に抑えられているわけですが、今回はとにかく山盛りてんこ盛りの物量作戦で、この量がある種の『リミッター』を切った感覚を視聴者に与え、テンションがバカ上がりする一因になってた気もします。


というわけで、怒涛のボケっぱなし展開をしっかり制御して、野放図な狂気を楽しく飲み込ませてくれる回でした。
クレイジーさは的確に制御されないと色んなモノを壊すので、限界ギリギリまで暴走させつつしっかり収める手腕は流石の一言。
ケイオスが迸るギャグ回としても、大量のキャラクターを登場・活躍させるファンサービスとしても、非常にクオリティの高いエピソードだったと思います。
やっぱこういうパワー勝負の回がしっかり楽しいからこそ、プリパラはプリパラなんだなぁ……。