イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

B-PROJECT 鼓動*アンビシャス:第1話『BOYS MEET GIRL』感想

16年の夏はオトメの夏!! 男性アイドルアニメっぽいのが大量にひしめくシーズン一番乗りは、イケメンいっぱい夢いっぱいな音楽業界アニメでした。
Aパートでごっそりイケメン定食てんこ盛りでお待ち!! ッて感じで一気に導入し、Bパートでキタコレの二人とA&Rという職業にフォーカスを合わせて描写する構成は、なかなかこなれていたと思います。
思っていたよりリアル寄りで、お仕事アニメとしての楽しさもしっかりあるのは非常にグッドでした。
川村敏江デザインの男の子たちもなかなかセクシー&スウィートで、今回目立たなかった子たちのエピソードも早く見たくなるね。

お話の構図はオーソドックスなオトメ系という感じで、色んな属性を背負ったイケメンどもを清潔で可愛い女の子がお世話するという、多対一の構図。
レコード会社にプロダクションという『話の入れ物』と、そこに入る男の子たちをとりあえず顔見世するAパートから、メインっぽい二人をまずピックアップしていい話を共有するBパートにつなぐ流れは、なかなか手際が良かったです。
ココらへんサンシャインとほぼ同じ構成で、多人数捌く手腕は男の子でも女の子でも当然変わらないなぁと思ったり。

メインを貰ってたキタコレの二人は、物腰柔らか王子様系の北門さんと、ツンチョロ純情系のメッシュボーイ是国くん。
主人公ちゃんはイケメンにも音楽の仕事にもまだ慣れていないので、アタリが強くない二人が初めての攻略対象で良かったなぁと思います。
是国くんは一応小悪魔系なんだろうけど、難しい専門用語は説明してくれるし、褒められたら喜んでくれるし、すげーチョロい匂いしかしない……目の前で繰り広げられたKISSにドギマギしてたし。
メッシュが可愛くていいよね、是国くん。

お話の方は超ゴージャスなお城とか、無茶苦茶ブッこく多重人格者とかは(まだ)出てこない、ややリアリティ高めのラインを引いています。
このやや薄味のテイストが、新米社会人の主人公ちゃんが仕事を覚えていく地道な描写と巧くマッチしていて、お仕事アニメとしても丁寧な作りと感じました。
『クソ素人の秘められた才能が、プロが突破できない難事をクリアする』という定番描写も気持ちよくて、こういうオーソドックスな足場があるのもなかなか良いなと感じました。
地味目の味付けをしっかりやっていればこそ、ラストのKISSっていう越境行為がショッキングに刺さり、『あ、この人たちただの仕事仲間じゃなくて、恋愛攻略対象だったそう言えば』と思い出せるのはあるよね。
……でも北門さん、睡眠中の女性に性的接触するの、わりと最低の部類のセクハラですよね?

『沢山のアイドルとお仕事したり恋愛したり』って角度では、やっぱド定番にして王者である『うたの☆プリンスさまっ♪』を思い出しちゃうけど、リアリティのラインを変えることで上手く差別化したな、という印象を受けました。
ここら辺の生っぽさは、シリーズ構成がプロ歌手兼任作詞家として、音楽業界に食い込んでいることと関係してんのかなぁ……総合プロデューサーも西川の兄貴だしな。
ロボアニメにも『ガンダム』もあれば『グランゾード』もあり『ボトムズ』もあるように、乙女ゲーにも血腥い幕末悲劇あり、トンチキ神様と異世界で恋愛する話しあり、フワッフワのスーパーファンタジーアイドルとキャイキャイする話あり、そしてリアルお仕事路線で攻めるこのアニメあり。
色々な切り口があるわけだね。


音楽という主観的なモティーフをどう描くか、音楽を聞いて感じる高揚感をどう映像化するかってのはなかなか難しいところだと思いますが、このアニメではトンチキなイマジナリー戦闘で表現していました。
なまじっかリアル路線なだけに、突然はじまる空想バトルは妙なテイストがあって、とても面白かったです。
女児向けアイドルアニメでも、『演者の凄み』ってのは基本不可思議なアピールとオーラで表現されているわけで、その流れに乗っかった、とも言える。
まぁいかにリアル路線とはいえ、時々ぶっ飛んだ描写入れて派手さを出さないとフックが弱いわけで、一石二鳥の描き方とも言えるかな。

センス一本で見知らぬ仕事に飛び込んでいく主人公の描写は、社会人成長物語としてもなかなか堅牢な滑りだしで、今後の発展に期待したくなります。
タコレ筆頭に現場の人達みんないい人で、『なーに寝言言ってんだクソアマ! 素人は五線譜の読み方から始めろよ!!』とかは言わない辺り、優しい世界だ……。
今後性格の悪い半キチ(半分キチガイの略)とか、オラオラが過ぎてただの暴力野郎になってる褐色とか出てくるなら、また変わってくるんだろうけどね。
でもいろんな性格・いろんな個性の人と仕事をこなして、経験値を積んでいく描写になるならそれも面白いかな?

Aパートでドンドコ紹介されたキタコレ以外のイケメンたちは、ぶっちゃけ覚えられませんでした。
とりあえず仏(特に天部と明王多め)が名前の由来になってることだけは覚えた……あと成長して性転換したウェスト姉妹みたいのがいた。
今回キタコレさんたちと仕事をし、心を通わせる事でキャラが見えたように、他のボーイズもまた段々と仲良くなってくんでしょう。
段階を踏み丁寧に描写された仕事描写が結構好ましかったので、今後もこの路線でイケメンたちを開拓していって欲しいもんですね。


と言うわけで、つかみはオッケー差別化オッケーな、グッドナイスな第一話でした。
スーパーファンタジーで夢いっぱいなイケメン掴み取りも好きだけど、こういう淡旨な味付けで、地味で丁寧な足場からはじまるお話も面白いね。(結局面白ければ何でもOKマン)
しばらくは切っても切ってもニョキニョキ生えてくる、墓参りの時のスギナのようなイケメンたちの紹介で時間を使うと思うけど、分かりやすい記号をしっかり見せてフックしつつ、体温が感じられる描写があると良いな。
それを生み出す上で、このアニメの地味さは良い武器になると思うんだよね。