年取らない年下のお姉ちゃんとの擬似姉妹百合！ 特撮みたいなアクションする巨大ロボ！ なんか意味深な感じの世界の謎！！
製作者の好きなものをこってり特濃全部乗せで走りだした"ご注文はダイナミックロボですかシムーンEdition"、その開幕でした。
説明は全部かっ飛ばしてイベント進行で進むため、ぶっちゃけ話はぜ～んぜん分かりませんが、『俺はこういうのが好きで、こういうのをやりたいんだよっ！！』ってのはよく伝わってきた。
そしてこのアニメでやりたいこと、俺キライじゃないぜ……。（頬を赤らめ視線をそらしつつ、ツンツンワイルドボーイが告白するときの感じ）
作品に盛り込みたい要素を全部ぶっ込んだ第1話でして、出だしからして『音圧が凄い、世界規模の爆破事件』から『超すごいロボのコア少女と、ふんわり王女様の仲良し描写』までぶっ飛ばす、グッピーなら死んでるくらいの温度差。
事情を知っていそうな銀髪組も『何かが起こる、世界を巻き込んだ超凄い級の何かが起きるが！ それが何かは今後のフックなので言えない。それはさておき、私達も仲良し姉妹だからヨロシク。年を取らないちっちゃいお姉ちゃん最高！！』というオーラだけだして帰ってしまったので、具体的に何が起こるかはわっかんねぇ。
個人的にはこういう説明しないスタートは嫌いじゃないので、お話のムードを受け取れるだけ受け取って、次回に備えようと思いました。
レガリアの社会的な扱いどころか、主人公が社会的にどういう立場にいるかすらラストのヒキで判明するという攻めた構成でしたが、『とにかくレガリアはドスゲェ力で、放っておいたらろくでもない事が起きる！』ということは、濃い顔のオジサンが大暴れして教えてくれた。
お姉ちゃんの人外トラウマを的確に刺激しつつ、人死に出さずに周辺被害を出しまくるオジサンのわかり易さは、かっちょいいアクションの受け役になったこと含めていい仕事だった。
黒いマフラーたなびかせての特撮チックなアクションはなかなかの格好良さで、とにかく主役がスペシャルなんだという感じはよく伝わってきた。
『この国はあなたを許しません！』たぁ主人公大きく出たなと思ったけど、国権の代表たる女王ならそのくらい言うわな。
ロボパートと同じくらい尺使って描かれていたゆるふわ姉妹デイズだけども、二人が仲良しだということはまぁ分かった。
ぶっ飛ばしているように見えて思いの外色々説明した（個人的な『説明一切ぶっ飛ばす』の基準はTEXHNOLYZE第1話）回なので、叙情性に徹しきれてない感じは少し受けるけど……なにしろ二人は自我のあるスーパーロボットとそのパイロットなわけで、関係は否応なく深くなるだろう。
レガリアの力が世界の命運を左右するってのは既に暗示されているので、それに立ち向かう二人のつながりの強さを、どれだけ定形描写に頼らずフレッシュに描けるかってのは、ロボ戦の切れ味と同じくらい大事だと思う。
お姉ちゃんLOVEと王女という立場の板挟みになる描写とかあると、なかなか美味しい気がするね。
とにかく主人公周りを描写することに重点してたので、『エリニュス三女神の残りの二柱がどういう奴らなのか』とか、『レガリアが社会的にどういう扱いを受けているのか』とか、『12年前の事件の具体的な被害と対応はどうなのか』とかは、次回以降ってところでしょうか。
『今どうなのか』っていう現在地点はよく見えたけど、『これからどうなるのか』っていう未来の行き先を示す情報を意図的にカットしてあるので、全体像が掴みにくい部分はあるね。
それを決めていくには王女としての責任を主人公がどう受け止めているか示す必要があるので、大ネタとして隠し続けてラストに公開した第一話の作りだと、なかなか説明しきれないか。
世界のおおまかな形と現在地点だけが示されていても、視聴者（ていうか僕）は迷ってしまうので、早い段階で今後の道行はクリアにして欲しいところです。
全体的に文脈をしっかり抑えているというか、ともすれば『百合ってこんな感じだろ！』『ロボってこんな感じだろ！』『世界の興亡を巡る運命の戦いってこんな感じだろ！！』という『感じ』に甘えてしまえるお話だな、とも思いました。
ジャンルとして先鋭化した要素を大量にぶち込んである分、個別の表現を研ぎ澄まして、この差く品にしかない新鮮な切れ味を見せられるかどうかってのは、この話を好きになれるかどうかの大事なポイントになると思います。
好きなもの全部乗せの情熱を巧く制御して、ジャンルの定形を飛び越えたシャープな表現にたどり着けるかどうかは、今後物語がたどる軌跡次第でしょう。
少なくとも、『俺はこれが好きで、これがやりたいんだッ！』という熱は感じるオープニングでした。
ともかく物語は始まり、女王は玉璽を手に入れ、神にも悪魔にもなれる力が主人公の手に収まりました。
その巨大なパワーと濃厚な絆で何を目指し、何を手に入れるのか。
状況が先に進んでモチベーションが見えてこない状況なので、まずは『何がしたいか』を二話以降でしっかり見せてくれると嬉しいかな。
ともあれ僕好みの脂っこいアニメであるのは間違いなく、来週も楽しみですね。
