イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

美男高校地球防衛部LOVE!LOVE!:第1話『愛、ふたたび』感想

オトメの夏に核弾頭着弾ッ!! 高松監督がお送りする美少年変身ヒロインゆるふわ日常BL百合アニメ、元気な第一話開始ッ!! て感じ。
一期は見ておらずなんとなーくで視聴しましたが、頭の弱いおバカな空気と、動画の気持ちよさ重点なイカすパロディと、肌色満点なサービス意識と、男子高校生のなんかいい感じの雰囲気が強引に撹拌された、パワーの有るお話でした。
『男の裸で視聴者が喜ぶなら、オスたちのたまり場をお風呂にすればいいじゃなーい』つうのは、マジで天才の発想すぎる……つうかAパートほとんど風呂場でダラダラ喋ってるだけだったな。
それで初見である俺に大体のキャラが見えてくんだから、ベテランのお話捌きってのは流石としか言いようがねぇ。

お話としては男プリキュアといいますか男セラムンといいますか、フリフリの可愛い衣装とピンキーなアイテムで武装した美少年が、石田声のトンチキモンスターをボッコにしつつ高校生するという展開。
戦闘美少女をガワそのまま美少年に置き換えるという、根性ひん曲がったパロディなんだけど、変身バンクも必殺技バンクも東映スタイルを徹底的に研究・解析して、動画としての気持ちよさ全開で仕上げていました。
ここがヘロヘロな出来では笑いは取れないわけで、ちょっとサンライズっぽさも足しつつ、タメと動きの快楽をこれでもかと強調した、単品で見ても見てて楽しい動画だったのは非常にグッドでした。
本気でやりきってるからこそ、気持ち良く笑えるのだ。

ただプリキュアっぽく仕上げるのではなく、オトコノコのセクシーな誘惑を随所に仕込み、あざとくアレンジしているのも良かったです。
僕はピンクの蔵王くんが、足スラっとしてて気に入ったな……目立つ外見的記号であるヘアバンドが、変身するとメイドのホワイトブリムっぽく見えるのが、なんか危うい色気出てて好き。
属性の異なるキャラをズラッと並べて、どんな好みでもどっかに引っかかる品揃えにできるから、戦隊物のキャラクター造形って強いよね。

その上でセクシーさを過剰に演出するのではなく、あくまでギャグとサービスの一貫としてサラッと見せる乾いた感じも、軽やかで嬉しい。
お風呂シーンは『これ風呂入ってる意味ある?』というシュールな感じが良く出てて、肌色とヴィーナスえくぼに興奮しつつも、『なんかこれ、ベタベタセックスのこと考えるアニメじゃねぇわ』と距離を取れる。
同時に思わず『むむっ!』となってしまう不思議な引力がちゃんとあって、視聴者の心をいい意味で落ち着かせない、上質のエンターテイメント気質を感じます。
興奮と冷静の間で揺さぶることで、不思議と楽しい気分にさせるという創作の魔法だね。


メタネタとセクシーなアピール、ドタバタとしたアクション。
色んなモノが乗っかって騒がしいアニメなんですけど、根本的には少年たちのピュアな真心といいますか、人間味の部分が土台になってるのは凄く良いなと思いました。
僕は一期を見てないわけだけど、ゆるーいお風呂場の会話を見ているだけでキャラクターがどういう関係だったのか、一期でどういう物語を経て今どこにいるかは、なんとなく体感できる。
目線や表情、身体的距離が生み出す情報量の圧縮が非常に巧いので、表面上は何も起きていないように見えて、実はキャラクターの情報がしっかり伝わってくる映像になってるっつうね。

草津くんと鬼怒川くんのピュアピュアな友情加減と、それを見守ってやる優しい友人たちの姿がギャグの合間にしっかり挟まることで、彼らがただギャーギャー騒いでセクシーアピールするだけの二次元芸者ではない、なんか柔らかい部分を持った存在だというのが、良く伝わってくる。
こういう真面目さはコメディを壊しかねないので、扱いが難しいところなのですが、むしろ笑いを日常のブースターとして楽しく使いこなすことで、『あ、なんかこいつら良い奴らで、面白い奴らだ』と受け入れる素地を作っていました。
なんの知識もなくザッと二期をぶち込まれても、『だいたいそんな感じ』ってのがしっかりつかめる見せ方は、凄いの一言だね。
……これ確実に一期見たほうが楽しいな……どっかで機会作ろうそうしよう。

二期の出だしということで、過去の因縁を整理し(ついでに金のかかる大人気声優を海外に飛ばし)新キャラは顔見世だけ、という構成でした。
閉じた関係性を思う存分発揮しそうなあの双子が、どういう敵役っぷりを発揮してくれるか楽しみであります。
転校生らしいので、学生モードの時のダラダラした部活トークでも活躍してくれるだろうしな……少ハリでもそうだったんだけど、俺男子高校生のダラーッとした部室ダイアログをアニメで見るの、相当好みらしいな。


というわけで、視聴者を楽しませる要素を貪欲に盛り込みつつ、キャラクターがどういう人間なのかスッキリ伝わってきて、お話もゴロゴロと転がり出すという、猛烈に技ありな第一話でした。
随所にテクニックと高い意識が存在してんだけど、それがバレると笑いが冷えるから隠しまくってるストイックさが、まさにプロフェッショナル・コメディアンの仕事だなって感じがする。
僕はプリキュアシリーズが好きなんで、『斜に構えた、愛情のないパロディだと嫌だなぁ』と身構えていたんですが、きっちり元ネタを研究し労力をかけてやり切った出来になってて、安心満足ありがとうって感じです。

ボーイズたちも元気で可愛く、賑やかで元気なお話をたっぷり楽しめました。
今後彼らの防衛部活動がどう転がっていくのか、期待を高めて待ちたいと思います。
そして一期をちゃんと見たほうが絶対面白いアニメだと思ったので、どっかでまとめてみるつもりであります。
良いアニメだな、これ。(超絶今更マン爆誕)