イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

B-PROJECT 鼓動*アンビシャス:第2話『BAD ENDも悪くない』感想

『お前らの仕事は本気の本気、全身全霊で媚を売りつくすことだッ!!』とかマネジが言い出したりはしない、ファンタジー系アイドルお仕事アニメの第2話。
第1話で紹介したキタコレに続き、第二のユニット・THRIVEの三人にフューチャーしたシナリオでした。
時々ぶつかることもあるけど、三人の個性がいい具合に咬み合って個性が出ているユニットとして、関係性の魅力が上手く出たお話だったと思います。

キャラ紹介エピソードってことで、お話のメインはTHRIVEの三人。
アーティスト志望のオレ様理想主義者・金城くんが青春ダッシュで飛び出し、青くてクールな現実主義者・愛染くんが覚めた意見で場を引き締め、そんな二人の間をピンクの軟体生物・阿修くんが取り持つ。
役割分担がはっきりした三角形がユニットの中に既に用意されていて、お話が転がる素地が出来上がっているのが良いですよね。

金城くんはもっと自分勝手な子なのかなーとか思ってましたが、こだわりがあるからこそ周囲とぶつかる、熱くて真っ直ぐなボーイでした。
もちろん夜叉丸さんや社長、撮影現場のスタッフさんといった『大人』が大目に見てくれてるから貫けてる幼さではあるんだけど、その一本気な気持ちは嫌いじゃない。
彼の強い気持ちが今回のエピソードを引っ張っていたのは間違いないし、悪気はない不器用な男なのだということもしっかり見せてくれたので、自分的に結構好感度が上がりました。
戯れができないところといい、強がってる分脆そうなところといい、歌にこだわるところといい、金城くん性転換した千早だな……アイマスの。

金城くんがエンジンだとしたら、冷静ににまともな意見を切り出す愛染くんはハンドル、柔らかい姿勢で状況を軟着陸させてくれる阿修くんはブレーキ、といったところでしょうか。
ユニットとしてまとめて描写されている以上、各キャラクターが人間関係での定位置を持っていて、お互いの機能を果たすことで関係がうまく行っているのは、見てて気持ちがいいね。
というか、あらゆる状況で笑顔を絶やさず、周囲をよく見て壊れそうなところを修復しに走り回る阿修くんの人間力、マジやべぇ。
『人当たりが柔らかいように見えて芯が強く、ホスピタリティに優れたピンク』という意味では、やっぱレオナ・ウェストの系譜だと思うこの子。(色んなアイドルアニメが頭をよぎるマン)

お仕事論として考えると、自分の理想だけを見て他者を拒絶した金城くんと同じくらい、情熱入れずにクールに仕事だけしようとした愛染くんも、正しくはない。
色々ぶつかり合ってかき回した後、クソみたいな状況にも頭から飛び込んで楽しみ、みんなが幸せになれる結果を出そうと頑張る阿修くんの道に戻ってくる辺り、THRIVEの人間関係が見えて面白かったです。
両極端な意見を衝突の中ですりあわせて、よりバランスの取れた結論を出すっていう物語の基本が、しっかり踏襲される話だったと思う。

『バランスの悪い所から、バランスの良い所へ』って描き方はTHRIVE自体にも徹底されていました。
理想と現実で金城と愛染がぶつかる出だしから、金城の暴走とそのケアーを経て、『三人でTHRIVE!』と言い切れる段階に落ち着く流れは、非常に安定感があった。
やっぱ『お互い個性がバラバラだからケンカもするけど、そんな三人だからこそ一緒にいて楽しい!』という描き方は、最高に盛り上がるからこそ定番になっているのだな。
……調整役の仕事は本来主人公がやるべきなんだけど、阿修くんの人間力が高すぎるせいでほとんど見てるだけだったってのは、シリーズ全体としてみるとあんま良くないかもしれないな。


第1話に引き続き、お仕事アニメとしての芯はしっかり大事にされていまして。
アイドルという仕事につきまとうナメた外野の視線とか、子供を輝かせるために走り回る大人の頑張りと優しさとか、なかなかまとまった見せ方でした。
古臭い成功体験にしがみつく編集長と、人間としてのアイドルをしっかり見て活き活きした仕事してる現場との温度差とか、とっても良かったな。
つーか、若者が暴走する間編集長をつなぎ続けた現場のスタッフさんたちは、どんだけTHRIVEに惚れ込んでいたんだろうか……単純に仕事をしっかりする大人ってだけかな……天使かよ。

枕営業のヤダ味を盛り込んで生々しさを出しつつ、『ニャンニャン一択よ!』というパワーワードでギャグの塗膜で包み込む手腕は、すげー上手いなって思った。
望まないセックスを持ち出せば仕事のリアリティが出るわけではないんですが、『芸能界』をファンタジー以外の角度から切り込む以上、そういう色眼鏡が視聴者についてくるのも道理なんで、ここで触りつつネタとして流したのは巧妙よね。
金城くんの大暴走が受け入れられる辺り、このアニメはリアル寄りのファンタジーなわけで、生々しいセックスビジネスに切り込んでいっても、お話が迷うだけだしなぁ。

編集長は『アイドルなんて下らない』『客に媚びていればそれでいい』と圧力をかけることで、THRIVEの本気を引き出す、いい仕事をしていました。
壁が壁の仕事をしっかりして、それに反発することでキャラクターの価値観が見えてくる物語展開は、基本故に強いねやっぱ。
『キラ☆キライケメンとドキ☆ドキお仕事体験』っつーファンタジー要素を詰め込みつつ、妙に地面に足がついた安定感があるのは、物語構築の基礎を徹底的に仕上げてあるからな気がするな、このアニメ。

まぁ編集長のキャラクターがわかりやすい悪役すぎるってのと、大黒社長が空から降ってきたゴッドジゴロとして全てを解決して去っていくオチは、ちょっとどうかと思うけども。
現場の人達は最初からTHRIVEに好意的なわけで、編集長っていう障害をTHRIVEの力で乗り越えられなかったのは、ちっと弱い気もした。
今後編集長が再登場して、今度は勝つ! という展開の前フリかもしれんので、あんま強いことは言えんけども。
あとまぁ、『ニャンニャンポーズ一択よ!』のパワーワードっぷりが本当に凄いので、書割りで終わらない存在感がしっかりあったのも良かったな。


というわけで、ネタとリアリティのバランスを上手く取りつつ、お仕事アニメっぽさとキャラのアピールをたっぷり詰め込んだ、技ありの第2話でした。
メインエピソードを進めつつ、事務所関係の事情を説明したり、B-PROJECTにメンバーが抱くわだかまりを描写しておいたり、手際の良さが目立つ。
今回ボヤかれてた『B-PROJECTに参加する意味わかんねー』ってのは、キャラクター全員が乗り越えていく障害として今後生きてくるんだろうね。

THRIVEという集団の魅力、それを構成する個人のキャラクターもしっかり伝わってくる話で、非常に良かったです。
是国くんといい金城くんといい、余裕のないキャラが俺好きなんだな……今ん所一番好感度高いのは、圧倒的人間力を誇る阿修くんだけど。
ユニット単位でキャラを掘り下げていく構成は非常に上手く行っているので、今後来るだろうMOONSエピソードも非常に楽しみです。
……増田声の眼鏡からなんか鬼畜オーラが漂ってんだよなぁ……俺の気のせいかな。(オトコノコが束で出てきたら、一人は意地悪王子がいるだろう理論の暴走)