イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

プリパラ:第106話『神アイドルグランプリ終了です』感想

子供の遊びに親が出るー! 赤子に優しい夢のデジタルステージ物語、今週はトリコロールの抑圧。
ジュルルの存在がバレてシステムが全てを根こそぎにしに来たけども、強敵(とも)の友情とシステムを超えた神の意志でお咎め無しな状況に持っていく話でした。
久々にシステム方面の話だったけども、いやー、やっぱクソ以下のクソやなプリパラ運営。

今回の話、結構パワーで押し切る展開というか、『結局、神たるジュルルの意志が全部なんじゃん!!!』って言いたくなる、デウス・エクス・マキナ的オチのように見えました。
パラ宿全体を神ステージに引っ張り上げる圧倒的介入能力を見ると、ジュルルは実際の話し電脳神であり、小賢しいシステムAI風情が何を吠えようが、彼女の決定が全てになるっていう説得力はあります。
しかしあんまり力技だと他のキャラクターが介在する余地が無いというか、結局家族の檻に閉じこもっていくのかという疑問に帰還するというか、どうもプリパラの『みんなトモダチ、みんなアイドル』の『みんな』の部分に違和感を覚えるわけです。

しかしよく見てみると、今回ジュルルが介入したのはかつて神コーデを与えなかったガァルマゲドンであり、『家族』の枠を超えてその権能を及ぼす段階に、人格が成長した結果こうなったのかなぁ、とも感じる。
しかしその印象はあくまで推測でしかなく、ジュリーの内面はここに至ってもよく判りません。
友のために迷いなくシステムに反抗し、ペナルティも恐れず『ガァルマゲドン』であることを貫いた三人の誇り高い姿は非常に良かったわけですが、ジュリーが彼女たちの危機を特権的に救う理由は、常に不透明なままです。

現状ジュリーは内面が一切存在しない『ただの力』『神コーデをくれるシステム』でして、一体どういうつもりで神コーデを与え、その基準が何なのかは不明なままです。
赤ん坊であるジュルルも、神であるジュリーも、自分を語る『言葉』を持たないわけですが、真心に真心でレスポンスしてくれる分、赤ん坊のほうが手応えがあるという不思議な状況になっています。
ジュリーに与えられた圧倒的な権能とは真逆に、ジュリーが持つ価値観や意志が見えない(もしくは、人間的なそれが存在しているかすら分からない)ことが、神コーデにまつわる違和感の原因な気がします。

ジュルルとジュリーの謎が解けるなり、ジュリーの行動理念が見えてくるなりすれば、行動原理と結果がつながらない違和感の隙間が埋まって、色々納得できるとは思います。
ジュリーが自分の内面を語らないので、今回ガァルマゲドンに手を差し伸べたのがシステムとしての自動的な反応なのか、人間的な意志が介在した選択の結果なのか、全然分からんのよね。
ここら辺は意図的に開けられた隙間でありシリーズ展開を引っ張る謎として用意されているので、直接的な答えはなかなか出ないと思うけれども、例えばジュリーが『家族』でも『友達』でもないアイドルに神コーデを上げる展開があったりすると、彼女の価値基準も透けて見えるとは思うが。
そういう意味で、今回のエピソードは単品では判断しきれない、今後を見なきゃいけない話だなぁと思いました。


女神ジュリーが恩寵をもたらす理由が、赤ん坊ジュルルと繋がっているのであれば、確かに『なぜジュリーは赤ん坊になったのか』を探るのは非常に大事です。
そこを探るのはジュルルがどんな存在であろうと愛してしまう『母』には難しい訳で、『家族』から距離を取りつつアイドルを愛するパラ宿めが兄が今回の主役だったのは、結構納得がいく所。
凶悪なナルシストで質の悪い変態だけど、一応大人でもあるめが兄がジュリーの謎を探る探偵役を買って出るために必要な圧力として、今回のクソシステムのクソ決定があったのかなぁ、とか思いました。

意志を持ってシステムに反逆するパンクなAIとして、三期のめが兄はなかなか面白い立ち位置になってきた気がします。
思い返してみればプリパラ運営は、お気楽仲良しな仮面をかぶりつつもマジで融通聞かないクソシステムであり、AIアバターとして運営側に立ちつつ地下ステージを用意してくれためが兄は、インサイダー・パンクとして独特の存在感を持ってきました。
『自分がジュルルの謎を解く』という条件を出して、今回プリパリめが兄を納得させ話を一旦収める形となったわけですが、この謎を解くことはジュルルと神コーデグランプリに感じる違和感を解消することにもつながるので、頑張って欲しいところです。
まー怪盗ジーニアス絡みでは、警察としても探偵としても一切頼りにならないクソっぷりを見せているので、どうなるかは全ッ然わからんけどね……でも地下パラではカッコ良かっただろ!!(自分で不安要素を顕在化させておいて逆ギレマン)


そんなわけで、『ジュリーバレたらいろいろ介入してくんじゃね?』という視聴者の疑問を拾いつつ、ジュリーの謎をパラ宿めが兄に一本化させるお話でした。
メインはガァルマゲドン覚悟のステージだったのかもしれんが、どーもジュリーへの違和感のほうが先に立って、それを解消する探偵役を引き受けたタフガイのほうに目が行ってしまったなぁ。
何も分からん赤ん坊から着実に成長してきてるジュルルと、最高位の特権的システムにしか見えないジュリーの間に何があるのか。
これが見えてくると神アイドルグランプリの物語的存在意義もクリアになってくるので、今後の展開に注目したいところです。