イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アクティヴレイド -機動強襲室第八係- 2nd:第3話『天使と破壊神』感想

愉快で楽しい鋼鉄の治安維持ストーリー、今週はバカがウェアでやって来る。
第1シーズンで見事な成長を果たしたあさみちゃんが、ダイハチの危機にカンバック!! という話かと思ってたんですが、フタを開けてみたら頭から尻尾までヒドさが詰め込まれたヒドい回でした。
黒騎さんのガサツさと瀬名くんの頭の硬さを完璧に受け継ぎ、顔はいいけど無能な部下五人と、多分優秀なんだけど安全圏から出てこない協会様。
すげーダメになってたあさみちゃんが大暴れすることで、逆に無茶苦茶に見えるダイハチが結構まともなことが判るというお話でした。

『前回二つほど真面目な話やったから、今回はネジ外しちゃおうかな!』とばかりにぶっ込まれた、気楽でおバカなコメディ回。
ダイハチが壊滅する理由もしょうもなければ、犯人の動機もマジろくでもなくて、一期序盤の空気を思い出しました。
そういえば、一期も三話は天夢ちゃんメインで船坂さんが歌う話だったなぁ。

まぁ一番ろくでもなかったのは、西日本のウェア規制のトップに立ったあさみちゃんだったわけですが。
一期のポンコツエリートっぷりも相当なもんだったけど、ダイハチの悪い部分だけ根こそぎ煮込んだような暴走独善警官っぷりはあまりにもあんまりで、『関西に住んでいないで良かった……』と心の底から思いました。
まだまだ若いんだから、トップに据えるのではなく誰かがケツ持つ立場においてやるのが良いんだろうけど、ウェア行政の拡大に人材が追いついていないんだろうなぁ……カタチ上はフィンガーズもエリートだしな。

唯一現場に残った船坂さんを押し切り、やり過ぎなくらいにやりきったあさみちゃんは、アクの強さという意味ではダイハチメンバーに負けないくらい成長しました。
しかしそれは、『私が正義、正義が私』というトートロジーに支配されたエゴの拡大でしかなくて、主張の強い自我で何を為すのかという社会的視座が、スポンと抜け落ちている。
『警察組織はなんのために存在するのか』『有用な正義とは何か』という疑問を置き去りにして、強烈すぎる自我と能力を暴走させる姿は、実はダイハチよりもロゴスの犯罪者達に近いんじゃねぇかなぁと、見ながら思いました。
うう……あれだけの経験をしておいてこんなになっちゃって……何が悪かったんだろう。(多分あさみちゃん自身)

ダイハチは色んな横紙破りをしつつも、『正義の味方ではなく警察官』という自己規定がはっきりしていて、それ故超えてはいけない一線を明確に意識している組織なわけですが、ダイクはあさみちゃんのエゴが拡大しすぎて、法と治安と安全の維持よりも、あさみちゃんが気持ちよくなること優先の組織。
彼女のコードネームが『ブレイン』なのも、彼女の価値観が組織の価値観になってしまっているダイクの歪みを、如実に表しています。
第1シーズンであさみちゃんがそうであったように、先輩の志を学んで部下が成長すればお互い良い影響を与え合い、組織も健全化していくわけですが、何しろ脳味噌なしの『フィンガーズ』だからなぁ部下たち……声優も二人しかいないし。
『ブレイン』に従うだけか、仮に考えたとしても何の解決にもならないネタしか出してこない部下はあさみちゃんのストッパーには成り得ず、無論ぶつかり合い成長しあう仲間には成り得ず、ダイクはあんな感じになってしまったと。
いい声してる協会様は唯一あさみちゃんとやり合えそうなんだけど、あんま踏み込まずに自分の仕事だけやりきってるしな。

ただまー、高機動型量産機でフォーメーションを組み、縦横無尽に幻惑するアクションは凄く良かった。
得意分野が各々あって、凸凹を巧く噛みあわせるダイクのアクションも良いんだけど、無能ゆえに統制が取れているマスコンバットには、独特の気持ちよさがあったなぁ。
局地戦で勝ってても、『治安と安全の維持』って大目的を完全に無視した解決策取ってる以上、何の意味もないがな!


ダイクと比べることで、ダイハチの破天荒の裏にある堅牢さやプロ意識、自分勝手さゆえのチームワークなんかが見えたのは、なかなか面白いところです。
彼らが無茶苦茶をやるのは、警察組織の縄張り争いにとらわれていては『治安と安全の維持』という大目的が達成できないからであって、自分のエゴを満たすためではない。
だから被害は想定できる最小限に抑える努力をするし、極力人死の出ない解決策を選ぶ。
ドッタンバッタン派手にやるのは結果であって、目的ではないってことですね。

そこら辺をしっかり各メンバーが認識し、お互い自制しあうからこそ、ダイクは『私が正義、正義が私』という独善には落ちないわけです。
特にボスがどんだけ政治・組織管理能力に長け、彼女の存在がクセの強い特能集団を成り立たせているのかってのが、管理職なのに管理しないあさみちゃんを見ていて、よーく分かりました。
各々勝手にやりつつも意思疎通はいい具合に維持し、キメるべき所をしっかりするってのは、当然といえば当然だけどとても難しいのだな。
あとスーパー汚れ役のあさみちゃんが出てくることで、エミリアの超正統派健気系ヒロイン力が良く見えたのは、『掃き溜めに鶴』というかなんというか。

ロゴス事件を解決したことで、第1シーズンでは警察組織に押し込められていたダイハチイズムがスタンダードとして認められ、組織の方を改革したってのが今の状況です。
『ウェア技術を背景にした新しい犯罪には、新しい警察組織で対応』って流れが波及してダイクが生まれてるんだけど、そこに明確な目的意識と健全な組織運営がない場合、能力主義はこうなるよ、というのをコメディティックに見せる回だったのかもしれません。
……こういう目線で見ると、あさみちゃんはダイハチを引き立てるための道化でしかなくて、ちょっと悲しいな。
まぁヒドい系コメディとしては徹底的にやりきっていたので、大笑いして済ませられる範囲ではあるんですがね。


と言うわけで、小澤亜李さんが仕事をしすぎる回でした。
『あさみちゃん……寂しいからカムバーック!』というファンの声に答えつつ、実際帰ってきたらどうなるのか教えてくれるエピソードであり、ひとしきり大笑いした後『あ、今のダイハチでいいです。今のダイハチが良いです』という気持ちになった。
さらばあさみちゃん……キミの物語的立場はエミリアが代わりに、立派に努めてくれるだろう……。
今回底抜けのコメディをやったことで、一期と同じくイロイロやっていく方向だってのも見えてきましたが、さてはて来週はどんな話をやるんでしょうね。
とても楽しみです。