イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アイカツスターズ!:第17話『本気のスイッチ!』感想

夢を追う綺羅星たちが作る星座の瞬き、今週はようやっと回ってきたあこちゃん個別エピソード。
小春と吉良先輩、Wメガネのアシストを受けて、すばるの方だけ向いた恋愛脳から脱却して一アイドルとして立ち上がるお話でした。
一足飛びにファンやステージを見ずに、まず『自分』にたどり着くところがスターズらしい展開ですね。

ローラが速攻ゆめキチと化し、真昼がお姉ちゃん好き好き病に罹患した今、あこはメインキャラクターへの反発を維持できる唯一のキャラクターです。
なので、三角関係の足場でありキャラの根っこであるすばるへの慕情は崩さないまま、自分の過ちに気づいて姿勢を正すお話となりました。
仕事への真摯な態度を『台本』というフェティッシュに集約して、コンパクトにゆめの成長を見せる流れが良かったですね。
ファン目線でアイドルやってるって意味では、初期ゆめと同じ立場にあるわけだね、あこは。

今回あこは小春と吉良の徹底したアシストを受けて、ようやくすばる以外の存在に目をやり空回りを止めます。
しかし吉良が投げかけた『なんでアイドルやっているのか』という問いへの答えは帰っていないし、ゆめが第10話で見つけたような『自分』の先にあるファンの姿も見えていない。
あこの成長物語(それはつまり、ゆめとの友情物語になるとおもいますが)はまだまだ乗り越えるべき困難を意図的に残して、中途で足を止めている状態です。

とは言うものの、今回あこが果たした成長は手応えのあるもので、オーソドックスながらいい仕上がりのスタートだったと思います。
ただただ反発するだけだった初期状態から、先にスタートを切ったファンToアイドルの先輩としてある程度ゆめを認め、しかしすばるをめぐるライバルとして反発もする立場を、今後どう生かしていくのか。
名前呼びまでは今回一気に進んだので、今後印象的なイベントを共有して、一緒にアイドル活動の意味を見つけていけると面白いかな、と思います。


あこはエゴイズムで暴走するキャラなので、適度に暴れさせつつ筋道を引いてやるキャラクターが専属で必要になります。
今回は女の子サイドから小春、男の子サイドから吉良が出て、しっかりしたアシストを果たしていました。
確実に他人のキャラシート読まないまま目の前三センチのロールに必死になってるPC1あこに対し、過剰なくらいガンッガン登場してボール上げまくるWメガネの巧さは、TRPGゲーマーとしては参考にしたい。

小春の受け方はとにかく巧くて、プライドが高いあこの起源を損ねないように『わたしが悪かったね、ごめんね』から入って、料理を一緒に作った経験を足場に名前呼びまでたどり着き、ある程度関係を作ったら場面から退場して『台本』にラインを引くという、完璧な立ち回りでした。
ここであこが素直に謝り、ツンツンキャラが崩れてしまうと今後の物語展開に支障が出るわけで、あこのキャラを活かしつつ必要な展開に引っ張りこむ小春のトス上げ力は、やっぱあらゆる局面で戦える万能支援機といえる。
非常に良い仕事をしていただけに、あこソロステージになったのは残念無念という感じですが……3Dモデルをめぐる経済戦争は、アイドル女児アニには必ず付きまとうからな……でもそのうち絶対、小春ステージやってくださいよマジ……。
ステージ自体はヴィヴィキスの遺伝子を受け継いだサマー&セクシーで、楽曲も松田聖子テイストをビンビンに感じる、いい仕上がりでした。


いまいち影の薄かった吉良パイセンも、『正論で道を正すイヤメガネ』というキャラを立てつつ、すばる戦争の敗北が約束されているあこの相手役として存在感を出す立ち回りでした。
耳に痛い小言を垂れ流しにしつつ常時あこにちょっかいかけ続ける吉良が、恋心から接近しているのか、はたまた道を間違えそうな後輩を見ていられない善人なのか。
ここら辺はあこの物語を展開していく中で、同時に見えていくところなんだろうなぁ。
あこを見守る時の『しょーがねーなーアイツは』って感じが甘酸っぱくて、自分の中では好感度高いですこの人。

生活空間を共有していないからか、M4はS4に比べると存在感と影響力が薄く、いまいち物語の軸に噛めていない印象があります。
物語の中心であるゆめが現状恋より夢と友情重視なので、すばるが物語の真ん中に来ることが少なく、その同僚であるM4も引き込めない……という感じかな。
すばるへの慕情がキャラの根っこにあるあこは、そういう恋愛方面へのカンフル剤として機能すると思うので、あこの話を掘っていくことで恋愛の話が深まり、すばると吉良を巻き込んだ四角関係が加速していくのが、今後予測できる構成か。

今回吉良の正論おせっかいキャラが立ったのは、スターズ独自の軸になるだろう恋愛ネタが広がる足場としても、彼個人がこの物語に存在する意味としても、とても良かった気がします。
スターズはキャラの多さをどう捌くかが勝負どころだと思うので、あこと小春と吉良、間接的にすばるとゆめまで美味しい見せ場を用意し、キャラクターの価値観や行動理念が見える話に仕上がったのは、なかなかに素晴らしかった。
一足飛びにキャラを完成させない『普通』のドラマづくりもスターズの特徴なので、あくまで足場作りに徹した運び方も良かったな。


というわけで、早乙女あこのスタートラインという感じのお話でした。
ゆめの重力圏から離れていること、恋愛という要素を強く背負っていることなど、色々他のキャラとは違う切り口を持つあこ。
その初個別エピソードとして文句のないスタートを切らせつつ、小春と吉良のキャラも立てるという、仕上がったエピソードでした。

美味しいスタートは切れたので、今後あこというキャラがどうアイドル活動に向かい合っていくか、そしてあこが成長する過程で恋愛とM4という要素をどう料理していくかが、今後大事になってくると思います。
恋の相手であると同時にアイドルの先輩でもあるM4の特異性を活かし、スターズ独特の物語を積み上げていってくれると、とても面白くなるのではないか。
そんな期待が高まる、良いスタートラインだったと思います。