イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

美男高校地球防衛部LOVE! LOVE!:第5話『愛を受け止めろ!』感想

風呂と学校を行ったり来たりしながら日常とか守っちゃうアニメ、今週はエースをねらってサインはNO1。
ピーターパンシンドロームに罹患した腐れ26歳と、そんな彼に憧れるホモの嫉妬痴話喧嘩に防衛部が巻き込まれるお話でした。
前回は兄弟和解していい話で終わったけど、クソコーチのクソみたいな性格は一切治っていないので、あのカップルまたやらかしそうで怖いな……。

シナリオゲストの暴走に防衛部が付き合わされ、有基だけが彼らを真面目に受け止めつつ、シナリオゲストが別府兄弟の鏡になるって構造は、前回と同じでした。
今回のネタはピーターパンシンドロームであり、永遠に学園の檻に囚われ、他人を受け入れない堅牢で歪んだ関係を維持し続けるコーチと岡の間柄は、常にお互いの身体に触れ続けている別府兄弟とよく似ています。
銭湯という『学園の外』に踏み出して、独自の生活圏と価値観を持っている強羅あんちゃんとコーチが対比されているのも、前回と同じく。

コーチは凄く身勝手な存在で、開幕五秒で自分の期待に沿わない岡は切り捨てるし、有基を受け入れたのも自分の役に立つからです。
前回サルヴァトーレ兄弟には有基が寄り添うことで人格が変わり、横たわっていた問題も解決されたのですが、岡に吹き溜まった嫉妬を解決した所で、その根本原因であるコーチのクソっぷりは治らないまま、有基は防衛部に戻ってきてしまう。
『二人が幸せなんだから、それでいいじゃん』と言わればそのままなんですが、このアニメパロディとはいえヒーローもの、つまりより広範な倫理にアクセスし体現するジャンルなわけで、もっと根源的な解決に踏み込んでくれるとスッキリ終わったかなと思いました。
『道を踏み外したらこうなっちゃう、ダメな大人』の代表として、コーチ(26歳)をあえて治さないまま終わらせ別府兄弟と対照させたた、というのは判るんだが。

26歳にもなって『ボール』を受ける、つまり自分を叩きつけて受け止められる相手しか価値のある他者と認めない、あまりにも腐りきった価値観で生きているコーチと、ピーマンも人参も食べられない別府兄弟は、同じ幼さでも意味合いは違います。
外に出れるくらい成熟しておいて檻に自ら閉じこもるのと、まだ未成熟で世界の果てを見ていない成長期の子供では、更生の可能性において大きな違いがある。
コーチは手遅れのままピーターパンシンドロームに腰までつかって治りませんが、思春期真っ最中である別府兄弟は大人にも子供にもなれる、可能性の塊なわけです。
それをより良い方向に引っ張っていくのが今後の見通しであり、連続するモブ主役のエピソードは本筋の方向性を示す話かなと思っていますが、さてはて。

今回別府兄弟が明確に強羅に憧れている描写があったことで、有基への嫉妬の理由も見えてきました。
元々ヒーローに憧れ、それをこじらせたかダダチャに利用されたのか、憧れがねじ曲がってしまったという、現状にたどり着くまでの道筋がだいたい見えたのは、とても良かったです。
『こじれた過去は、それを解せばより良い未来に通じる』というのはサルヴァトーレ兄弟が示したところなので、別府兄弟もそんな感じでヒーローへのあこがれを取り戻すんでしょう。
そういう意味でも、今回コーチと岡はより健康な場所にたどり着いて終わったほうが、話数を貫通する一貫性が出た気もするが……ここら辺はシリーズ全体で見るところかな。

より良い方向に引っ張り上げるのが防衛部なら、悪い方向に引張る存在もいます。
ご飯を用意してくれるダダチャは、別府兄弟が望んでもいなければ必要でもない『鍋』しか出してくれない、自分の都合だけを考える悪しき『母』なわけで、この影響下から脱して『ピーマンや人参』も受け入れられるよう成長するのが、今後の別府兄弟の物語だろうね。
食事に絡んで別府兄弟の内面や、ダダチャの立ち位置を説明するシーンは切れ味鋭くて良かったです。


今回の話しも有基だけが主体性を持って物語に飛び込み、解決の糸口を掴む展開でした。
防衛部残り四人は美味しそうなキャラしているのに、全然物語で活躍する様子がなく、正直もったいないなぁと思います。
二期から見始めた自分としては推測するしかないのですが、一期で全員ある程度以上自分のクエストを終え、キャラクターとして完成してしまった結果、物語の中でやることがない状態なのかしら。
だとしたら、因縁のあるゲストを放り込んで新しい要素を掘るなり、物語燃料を継ぎ足しキャラクターを輝かせる展開がほしくなるなぁ。(シリーズの重みを全然分かっていないまま、口から願望だけ垂れ流しにするマン)

別府兄弟の動機が判明したことで、思っていたより素直に心理的問題が解決しそうな構図なので、残り8話か7話一体何をするんだろうかというのは、正直気になるところ。
別府兄弟の問題解決がかなりシンプルにすみそうなので、もうちょっと密度を上げて欲張りに話を展開してくれても良いかなぁと、個人的には思う。
多人数な賑やかさを活かしてワイワイ騒ぐ話を展開するのか、はたまた個別に掘り下げるエピソードを積み上げていくのか、別府兄弟と交流を深めるのか。
作り方としてはいろいろあると思うけど、本筋に必要な要素を積み上げ、エピソードゲストとシリーズヒロインを対比させて構図を見せるだけではない、一種の『語りへの欲と色気』みたいのが感じられると、満足度が高くて嬉しいんだけどね。
現状展開が淡白というか、噛み付いて膨らまして欲しいポイントでスーッと話が進んでいくというか……このスムースな感じが作品のテイスト……なのか?
当然だけど、やっぱ一期ちゃんと見たほうが良いなぁこれ。

湯布院くんが言っていたように、拗らせたホモの痴話げんかにみんなが巻き込まれるお話でした。
全体的に悪くはないんだけど、お話し単品として気持ち良く収まっていないのと、もうちょいガッツいて色んな要素を描写して欲しいってところが、正直ちと不満でした。
前回のサルバトーレ兄弟の話が、単品のエピソードとしてもシリーズ内部での立ち位置としてもよく出来ていたので、似た構図の粗が目立った感じだろうか。

別府兄弟が思っていたより幼く素直な子供だったので、攻略が始まったらわりとあっという間に終わるだろうってのは分かります。
それでも物語に存在している以上、主役たちとは顔を突き合わせ言葉をかわして交流して欲しいし、感情や価値観をお互い交換して変化を見せて欲しい。
その中でこそ、主役たちもそのキャラクターを磨き上げ、魅力が出てくるものだと思うので。
あえてタメているのか、はたまたそういう起伏では魅力を作らない方針なのか。
そこら辺も、今後見えてくるんでしょうかね。