イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ジョジョの奇妙な冒険:第19話『「重ちー」の収穫ハーヴェスト その2』感想

愛と正義と友情と! 日常の闇に潜む悪を超常の力で裁くサイキックアクション、今週は醜いゼニゲバ。
仗助くんと億泰くんに新しく出来たお友達、重ちーくんとの友情を、薄ら汚い拾い銭が完膚なきまでに破壊し、血肉くらい合うクソみたいなスタンド内ゲバが暴れ狂う回でした。
銭の魔力に目がくらんだ重ちーの醜さと愚かな鋭さを、かっぺーさんが思う存分怪演しており、いやーマジでヒドすぎるほどにヒドかった。(褒め言葉)
ぶっちゃけ重ちーの改心はむっちゃ唐突なんだけど、あそこで綺麗にして収めないともう殺しあうところまで行くしかないからな……収まって良かった……。

スタンドバトルの前座として、妙に切れ味の良い銀行員とのコン・ゲームが展開されていました。
スタンド能力がなければエリート銀行員の鋭い勘がクソ中高生の悪事をシャットアウトしてゲームセット!! だったわけですが、わりかし何でもありになってきた"クレイジー・ダイヤモンド"でインチキぶっこんで、三人のワルガキが笑う展開に。
これまで人を守るために使われてきたスタンド能力が私利私欲のために暴走する姿は、情けなくもあり哀しくもあり、『超えてはいけない一線』をついに越えてしまった堕落の快楽ありで、複雑な感じを受けます。

もともと小銭をギッたりスタンプを集めることは、法律を犯しているわけじゃないけど小悪ではあって、それがじわじわと積み重なって黄金の魂が溶かされていく過程を、前回ジックリ積み上げていました。
今回顔が見れ名前があって言葉を喋る銀行員さんを相手取り、自分の意志で不正と不法を行うことで、小悪が大悪となり、ほのぼの仲良しグループが血みどろの闘争に落ち込んでいく展開に説得力が出てきます。
やっぱキャラの感情がねじれるときには、しっかりキャラクターに行動させたほうがストンと収まるな。

不思議な『圧』のある銀行員のデザインといい、疑いを表に出した瞬間反転する色彩といい、場に漂ってる精神的圧迫感が巧く絵になっていたのも、物理的闘争の準備としてなかなか良かったです。
先週はあんなに仲良くお昼ごはんを食べていたのに、重ちーは札束で顔面ひっぱたく最悪人間になっちゃうし、億泰は殴るし、仗助はカツアゲするし、すべての歯車がろくでもない方向に噛み合って地獄に真っ逆さまな今回。
出だしのクズい重ちーで『あ、これマジろくでもないことになるな』と予感させ、銀行員との精神バトルで緊張感とそこからの開放、そしてさらなる緊張感を与える話運びは、場がダレずに展開して素晴らしかったですね。


人間を狂わせるマモンの呪札(『500万円』の詩的な言い回し)をゲットしたクソバカ中高生は、ついに身内で喰らい合う醜い闘争を開始します。
かっぺーさんの達者な演技もあって、重ちーのクソっぷりが目立ちますが、億泰はノータイムでぶん殴るし、仗助も冷静なフリして銭に目がくらんでいるし、みんなクソですよクソホント!
しかし"ザ・ハンド"ではなく素手で殴ったり、仗助をパワーで引き上げたり、『削りとって殺す』という方向に能力が発現しないように、最後の一線はちゃんと守ってんのよね億泰。
まぁたかだか銭で人間の尊厳ドブに捨てたんじゃあ、形兆兄貴も浮かばれないとは思うけど。

一応手加減して殴ってる億泰&仗助に比べ、重ちーはノータイムで眼球エグるし、後遺症考えずアルコール血管に直接投与してくるし、一線を越えかねない危うさをビンビン見せてきます。
この無邪気な殺意が、先週見せていた純朴さの背中にあると考えると、『マジで銭おっかねぇ!』って感じですが、高校生コンビの情け容赦のない暴力は酒でストッパーが無くなったのが理由の一つだと考えると、あんま同情もできねぇな。
今回みんな金銭欲と暴力と酒に我を見失っているので、億泰の目の治療より重ちーを殴るほうが途中まで優先されてんのよね……やっぱ今回みんなダメだなホント。

スタンドバトルの方は群体ゆえの強みをフルに発揮し、生々しい手段で攻め立てる"ハーヴェスト"が恐ろしい展開でした。
素直な暴力の比べ合いから策の弄し合い、そして暴力の次元を飛び越えて協力体制を作らないと解決しない段階へと階段上にバトルが進んでいくのは、気持ち良く興奮が高められる上手い進行だなぁと思う。
重ちーの浅知恵をスーパークールな仗助の知略が上回る展開はキャラを生かしてて良いんだが、やってることは高校生のガチ不良が頭弱い中坊カツアゲしてるだけだからなぁ……。
"ハーヴェスト"と"クレイジー・ダイヤモンド"両方の力を合わせないと金が戻ってこない策を考えたのは、仗助も心の底では仲直りしたかったからか、はたまた数が多すぎてうぜー"ハーヴェスト"を重ちーの欲を利用して追い払っただけなのか、俺には分からない……でも仗助を信じたい……。


と言うわけで、普段は名も無きヒーローをやっている高校生たちにも、人間らしい欲望があるんだよ! とイヤってほど見せつける回でした。
人間の一番どす汚れた部分を主役に背負わせても、それを上回る魂の気高さを見せるシーンが後々来るから、汚点が人間らしい魅力に変わってしまうのは凄い構成だなぁと思う。
『いろいろあるから面白い』ってのは、キャラクター個人の描写だけではなく、杜王町という街自体が主役で、そこに生きる人々の群像劇っていう側面が強い四部だと、より強調されている部分な気もするね。

そんな感じで来週は、ゴミクズ不良軍団の話が続いて出番がなかった康一くんメインのお話し。
アニメでシーンを足され、能登声が付いて存在感があの人とのラブロマンスだよ!!(嘘は言っていない)
原作とエピソードの順番が入れ替わりましたが、これは重ちーエピを連続させないことで余情を持たせるってことでしょうかね。
そこら辺の効果がどう出るかも引っくるめて、今後のジョジョアニメも楽しみであります。