イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

B-PROJECT 鼓動*アンビシャス:第9話『浮気なPLAY BOY』感想

トンチキボーイズのキャリアアップストーリー、今週はフランスからやって来た怪物が荒らしを巻き起こす回。
第2話以来のTHRIVE回でして、メインはタレ目のスカシたプレイボーイ・愛染さん。
自分に自身がないからこそ他人も信用しないニヒルな青年が、クソ映画撮影から大事なものを学び取って成長するまでのお話でした。
相変わらずBプロは奇妙な深度で心の闇をエグるな……幼少期と親子関係に障害がある子多すぎだろ……。
ここ最近『おう、男は男と仲良くしておけや!!』とばかりにケンに徹していたつばさちゃんも、プレイボーイ属性を巧く拾って目立ってましたね。

と言うわけで今回も、面白エピソードゲストが壁となり足場となり、アイドルを一歩前に進ませる話でした。
Bプロは伊福部さん脚本にかぎらず、メインに出来ない仕事を各話ゲストに背負わせて、そっからキャラに切り込んでいく構成が多いね。
第2話のにゃんにゃん編集長も、第4話の仮面さんも、濃い目の味付けで一気に印象づけて、展開自体はオーソドックスに取り回してました。
今回の監督&通訳も『お前、それ絶対言ってないだろ』という通訳コントを挟みつつ、役者に圧を掛けて羽化させる、良いメンターしてました。

やってることは段取り無視のめちゃくちゃだし、なんでフランス人監督が"HiGH&LOW"とか"マジすか学園"みたいなアイドル不良映画とってるのかとかはさっぱり分からんがな!
そういう破天荒な所をボケっぱなしに流して、視聴者が思わずツッコミ入れることで作品との対話を成立させる手法も、非常にプリリズっぽいと思うのね。(亡霊に取り憑かれた男の寝言)
『お前らアイドルは顔がいいだけの男芸者なんだから、とっとと脱げよ』というメッセージの込め方とか、Bプロは全体的にトンチキかつ鋭くて好きだなぁやっぱ。


んで、愛染さんはママンに捨てられたトラウマから一気にひねくれ、女を使い捨てにすることで過去と自分に復讐する厄介な人でした。
わりと誰も幸せにしないタイプのプレイボーイでどうなることかと思いましたが、今回はつばさちゃんが頑張って心に踏み入り、良い方向に変わる交通整理をやってくれました。
ピュアガールとひねくれボーイの組み合わせは、超定番だがやはり良い……完全にいのs寝とってわけではなく、なんかヤバゲな空気感じ取って仕事モードに切り替えようとするつばさちゃんがなおグッド。
なんだかんだ、男女の胸キュンシーンもしっかり仕上げられるのだから、もっとつばさちゃん推していいとは思うんだけど……ここらへんもトンチキよね。(褒め言葉)

しかし結局大事なのはアイドル同士の繋がりなのか、最後の人教はTHRIVEの二人がやってました。
第2話で見せた『金城さんと愛染さんがゴツゴツぶつかって、阿修くんが潤滑油をやる』THRIVEの型は今回も健在だったけど、状況が最悪になったら阿修くんがマジ顔になるのは、これまで見せなかった一面で素晴らしい。
……普段は温和だけどマジになると圧力があるってキャラ造形、三面で表情が違うの阿修羅から拾ってんのかな。
BプロのBUKKYOU要素は基本飾りなんだけど、こんな感じでたまーにガチるから油断ならんなぁ。

Bプロの子らは基本素直なバカばっかであり、こじらせるにしても愛ゆえにひん曲がっている人ばっかりだったため、ナチュラルに性格悪い愛染さんの掘り下げは結構新鮮でした。
他のメンバーのトラウマもそうだけど、基本的に過去はほのめかす形で描写して、直接的に過去回想やらないのは特徴的だなと思う。
じっくり触りすぎると泥が漏れてきて、キラ☆キラ☆アイドルストーリーを続けられなくなってくるわけで、苦さを匂わせてリアリティが出る程度に扱いを抑えるのは、うまいやり方だな。
さらっと扱うおかげで、どんなにこじれた性格も基本一話で真っ直ぐになって、いらないストレス溜まらんしね。

同時にバカ一本の脳天気ではなく、どっかに陰りを入れてキャラを造形するのは、比較的リアルよりお仕事ストーリー混じりのBプロにとっては、結構大事だとも思う。
ある程度以上裏があったほうがキャラに人間味が出てくるし、ぶっ飛んだネタで笑いを取りつつも、『辛いことがあっても、真面目にアイドルをやってファンを笑顔にするんだ!』という根っこが浮かない程度には、世界に陰影が浮くしね。
ここら辺のバランス感覚も含めて、俺Bプロって安定感あるお話だと思うんだよね、やっぱ。


つーわけで、タレ目のプレイボーイが心の闇を切開し、少しだけ綺麗事と自分を信じられるようになるお話でした。
クソドラマのクソっぷりとか、監督のトンチキ力とか、突っ込みどころは山盛りあっても、キャラの成長に関しては王道をしっかりやる。
つばさちゃんが主人公の面目躍如な活躍を見せたこと含めて、Bプロの真っ直ぐで早い部分が見られる回だったなと思います。