イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ブブキ・ブランキ 星の巨人:第13話『黒い王舞』感想

トンチキながら魅力的なデザインと、五人の力が一つになるロボットチームのドラマ、そして欠片も魅力を感じない優等生主人公の合わせ技でお送りする新世代3Dロボアニメの二期第一話。
いやー、どうなることかと思ってましたが……面白かった!
エキゾチックな台湾の美術も、より自然になった3Dキャラクター表現も、ハイテンションでおバカだけど仲間と世界のことを思っている妹ちゃんのキャラも、グッと心臓鷲掴みなパワーにあふれていて、とにかくグッドでした。
フツーのアニメの枠に収まらないパワーが色んな所にあるんだから、主役たちもこんぐらい勢い重点で突っ走ったほうが面白いんだな、多分。

というわけで、話数リセットも特になくセカンドシーズンに繋がった今回。
宝島騒動で礼央子チームとは一応決着を付け、東がいない間に台湾編が開始と言った塩梅ですが、第三の主人公となった薫子ちゃんが牽引役になって、おバカな感じで進みました。
アッパーテンションで元気に台湾観光する子供たちにはいい意味で影がなくて、見てて元気になれる楽しい展開でしたね。
ブブキの特徴であるヴィヴィッドな色彩と、台湾の街が持つ猥雑なカオスの相性が良かったのか、非常に独特で美しい情景が演出できていたと思います。

妹ちゃんはクソうざテンションのおバカちゃんと思いきや、借り物のアジアチームと結構いい関係を作れているし、台湾の街を守るという強い志もあるし、特別な力に相応しい良いキャラしています。
バカキャラ推すのも良いんだけど、世界を左右できる特別な力を持っている以上、それを預けるに足る人格があるのかないのか、一話の間にはっきりさせて欲しいと思ってしまうわけで。
さんざんアホな掛け合いと気負わない関係性を楽しんだ後に、一瞬引いたカメラで台湾の夜景を捉えて、薫子が戦う原風景をしっかり説明してくれたのは、ネタとマジのバランスが絶妙でした。

アジアチームも抑えめながらいい人っぽいし、ラクシュミさんはオッパイだし、アメリカチームに並ぶ好感度高め良い奴チーム……と思わせておいて、心臓がロシアのお兄様級のゴミクズだった。
あんだけのゴミクズ人間が出てくると、近いうちに道化の仮面を投げ捨てた薫子が一発ぶちかまし、アジアチームをトラウマから解消する見せ場が約束されたようなもんなので、なかなか良いと思います。
説明されている間はダルかったが、『心臓と手足の繋がりが、そのままブランキの力になる』という設定は、ドラマをそのまま強さに変換できる良い設定よな。
喋る前にドガンとブブキを使わせて、異形の武器と戦闘法で一気にキャラを飲み込ませてくる演出とかも、勢いを殺さない見せ方で非常に良かったですね。

かなり強引にでも東を置いてけぼりにしたことで、日本チームが合体できない理由=アジアチームが戦わないといけない理由がしっかり生まれており、それが薫子第二の故郷台湾を守るという公益に繋がっているのは、気持ち良く戦えそうで良い。
礼央子チームと並列して描いたことで、日本チーム個々人のドラマは結構分かりにくい構図になっちゃったけど、薫子のバカさとアジアチームのまとめ方がいい方向に働いていて、台湾編は全体的に判りやすいですね。
ヒネったデザインのパワーと気持ちよさが、まっすぐな話運びに後押しされてグンと胸に迫る感じがして、コメディとしてだけではなく、ヒーロー物語としても面白い出だしになったと思います。


んで、薫子のテンションに引っ張られる形で、日本チーム(東除く)もいい具合にキャラが生き生きしていました。
ダルい設定説明も、本来なら引きずらなくてよかった親世代の因縁も、なんで対立したかいまいち飲み込めなかった礼央子陣営とのにらみ合いもぜ~んぶ一期で済ましてるんで、活力に満ちた台湾を存分に楽しみ、年相応のおバカで仲良くヒーロー集団してる彼らが、凄く魅力的だった。
女の子三人がかしましくキャイキャイしてる姿は可愛かったし、柊も一期のヒスっぷりがいい具合に丸くなってたし、良い所に落ち着いたなぁ。
ラクシュミさんのおっぱいに惹きつけられつつも、ヒーローに必要な『虐げられた者のために立ち上がる』という動きをキッチリやっていて、薫子と同じくマジに為るべき時にちゃんとマジになってたの、凄く良かったですね。

今回の話が面白く感じたのは、やはりお話が停滞することなくドシドシと進み、関係性がポジティブに構築されていく『動く気持ちよさ』が強かったからだと思います。
やれブブキ戦だの過去の因縁だの、足を止めて状況を説明(描写ではなく)する展開が一期は多かったわけですが、それではこのアニメの魅力である異形のデザインやテンションの高さ、ヒーロー物語の熱は軒並み死んでしまうわけです。
キャラの描写としても、話の展開としても、ハイテンション・コメディとしても、今回のようにグイグイと話が進み、展開に後押しされる形でキャラの感情や行動も加速していく方が、強みを活かせているように感じます。
礼央子サイドの話が面白かったのは、既に覚悟が決まり答えが見えているので、悩んで足を止めたり後退したりってシーンが少ないからなんだろうなぁ。

ここら辺の『動く気持ちよさ』を感じた裏には、確実に表現力を増した3Dの進歩があると思います。
シェードも重心もモデリングもより『自然』になり、一期の頃から特徴的だった漫画っぽい表現もイヤな浮かび上がり方をせず、スッと受け入れられました。
一期の頃から『3Dアニメなのに、飯が美味そう』という偉業を成し遂げていたわけですが、今回の中華料理はさらに美味そう度合いが上がっていて、今後の表現にも期待が持てます。
ブブキの巨大感や街の存在感も、良い所を殺さず更に磨き上げた感じが強く出ていて、凄く良かったです。


というわけで、新展開のための土台作りとキャラ紹介を手際よくこなしつつ、少年少女の活力と台湾の猥雑な魅力をたっぷり詰め込んで加速するエピソードでした。
みんながワイワイ元気におバカに暮らしている楽しさを見せた上で、それをぶち壊しに来る『ブブキ』と『アジアの心臓使い』を突きつけて、『ああ、こいつらぶっ飛ばして気持ちよくなる話なのね』と解らせる運び方は、説明ではなく描写を信じて使いこなしていて、凄く良かったです。
そういうパワー重視の運びを許してくれる力が、美術とデザインとモデリングにしっかりあることも確認できましたし。
日本と台湾の子供たちだけで回すことで、『礼央子様だけがいいアニメ』という汚名も綺麗に跳ね返せた感じあるしね。

今後は台湾の騒動を片付けつつ、世界のブブキ使いを裏から操ってるっぽいギーに対峙していく感じなんすかねぇ。
冒頭でイギリスチームの圧倒的力を描写したのも、今後話しが世界に広がる布石だろうし、色々楽しみです。
『今回は東がいねーから面白かったな』と言われないように、イマイチ味にかける主人公・東にも一皮むけて欲しいところだけどね。
ブブキ二期、かなり良いスタートを切ったと思いますよ!