イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

SHOW BY ROCK!!#:第1話『旋律-Schlehit Melodie-』感想

天下のサンリオが満を持して送り出した、ロックンロール青春ケモノ群像劇がついに帰ってきた!!
間に『しょ~と』なんぞも挟みつつ、SB69待望の二期スタートであります。
一期がかなり綺麗に青春音楽物語/異世界救世主召喚物語としてまとまっていたので、一体どういう角度から攻めてくるのかと気になっていましたが、破滅の未来を音楽で救うクエストをドデンと打ち立てる、柱の太い展開に。
元々の強みであるキャラの魅力、ドタバタハイテンションな楽しい感じも冴え渡っていて、欲しい所に欲しい球が来た、良いファーストストライクとなりました。

トンチキなネタを大量に盛り込みつつ、基本的には真っ直ぐが強いこのアニメ。
二期になってもその魅力は損なわれておらず、『未来世界を救う』という大きな目的と、『ぴゅ~るランド完成記念ライブの成功』という小さな目的を最初に見せてくる、骨格のしっかりした展開でした。
小さな人格的衝突や和解を丁寧に描き、そこで培った成長が大きな目的につながっていく流れが気持ちのよいアニメなので、時空移動や宇宙人侵略といった大きいネタだけではなく、バンド達が精一杯頑張る小さなネタを忽せにしない描写は、見ていて安心感があります。
こういう小さな足場に体温があればこそ、大きい話もあんま上滑りしないのだ。

何より女の子たちの弾ける可愛さが一切損なわれておらず、どこ切り取っても素直に可愛いのが力強い。
仕草や表情をよく磨いてから出しているからなのか、SB69のキャラクターたちは一切緩みなくどの瞬間も可愛いよね……キメ所だけではなく、何気ない日常の1カットが可愛さに満ちている。
この好きのなさが特徴であり強みでもあると思うのですが、二期でもそれが失われておらず、むしろ加速しているのがイイなぁと思います。
女の子たちだけではなく、おバカボーイズ三人組と苦労人のロム兄さんたちも可愛らしくて、好きになれるキャラばっかなのはやっぱ最高に良い。


前回のお話はシアンが去ったところで終わっており、『その先』に位置する今回『シアンがいないプラズマジカ』『シアンがいないミディシティ』をちゃんと描いてくれたのは、二期で見たかったものがキッチリ入った感じがあります。
一期で積み上げた冒険の結果として、クリティクリスタはBRR所属の仲間になり、プラズマジカもシンガンクリムゾンズもそれなりのファンを持つ中堅バンドに育った。
平和な日々を穏やかに、賑やかに描きつつも、そこに主役がいない寂しさをしっかり混ぜ込んで見せてくれたのは、二期の第一話として見事な捌き方でした。
13話の物語をしっかり支えて走りきってくれたシアンに、視聴者は一種の信頼と期待を当然抱いているわけで、シアンが守りきった世界の尊さを大事にしつつも、そこに主役がいない寂しさというのを忘れず描くのは、作品内部の描写と視聴者の気持ちがシンクロする、大事な部分だと思います。

世界だけではなく、バンドメンバーとして、青春の戦友として、強く繋がったプラズマジカのメンバーの心情もリリカルに描いたのは、『シアンが帰ってこなければいけない理由』として良い見せ方でした。
名曲"流星ドリームライン"の溢れる叙情性にも助けられて、チュチュが、モアが、レトリーがどれだけシアンを求めているのか感じ取らせるハミングのリレーは、『直球の強さ』というこのアニメの強さを、出だしから思い出させてくれました。
特にレトリーは相変わらずのシアキチっぷりで、『そうだ……お前はそうじゃなきゃいけない……ッ!』と拳を強く握りしめてしまった……一期で成長した部分はちゃんと見せつつ、むせ返るような純情が溢れちまっている所が、二期レトリーが最高な部分だな。

シアンはシアンで新しい生活を大事にしつつ、異世界の冒険(と、それを見守った視聴者の経験)を強く想う気持ちがしっかりあります。
ハミングが重なっていく演出は、『青春と音楽』という題材を、キャラ萌えやギャグと同じくらいに大事にしていることを強く感じさせ、『世界を超えて繋がる心』というありふれた題目に、きっちり血液通しているシーンでしたね。
『シアンの帰還』という視聴者が一番望むイベントを、最後の最後まで引っ張った焦らし方も良かったな。

音楽を大事にしているという意味では、3Dモデルによるミューモンライブも仕上がった作り込みで素晴らしかったです。
演奏自体の表現も良いんだけど、ライブ中のアイコンタクトを積極的に切り取ってその場の『空気』を見せてくるのが、いかにも音楽をやってるという感じが出て良い。
影の付け方が少し変わって、全体的にパキッとした色合いになった印象を受けたけど、実際の所どうなのかなぁ。
EDはシアンとチュチュがむっちゃ見つめ合っていて、レトリーがいつ爆発するか気が気じゃないね(爆発を待つ男特有の婉曲表現)。


一期から引き継いだ感情の細やかさ、血の通った生命力だけではなく、二期の展開を引っ張る要素もガンガン投げつけてきたのも、非常に良かったです。
未来忍者による破滅の未来改変とか、沢城先輩声のエイリアン・クイーン襲撃とか、いかにも意味ありげな中二病ガールズバンドの登場とか、ダガー社長の復活とか、デカいネタが釣瓶撃ちだったなぁ。
こういうデカいネタを振り回しすぎると、実感がわかなくて上滑りするもんだけど、彼らが破壊する『ミディシティの平和』がどれだけ暖かいかをじっくり確認しているおかげで、『未来を守る』という大きな目標にも乗っかれるのよね。

一期ではライバル枠だったクリティクリスタ、特にロージアにグッとカメラを寄せていたのは面白いところで、ダガー社長によるアレコレ(+暴力達磨による殴打)で受けたトラウマが、かなり強調されていました。
この段階でああいう描写をするってことは、一期ではイヤなライバル兼無力なヒロインだったロージアがトラウマを乗り越え、自分なりの答えにたどり着く物語をやるよ、というサインだと思うわけです。
プラズマジカの四人は一期でスゲーしっかり青春した分、あんま関係を回して物語をメインで引っ張るパワーにかけているので、ロージアちゃんのトラウマ克服大作戦をしっかり取り上げ、そこにクリクリの仲間が絡むことで物語を加速させていくのは、良いチョイスではなかろうか。
脇に至るまでキャラが立っているサンリオ力がSB69の武器なので、どのバンドを軸に据えてもお話が潰れないし、面白くなりそうだと思えるのは強いなぁ。

エイリアン・クイーンが全面に出てくると、アバンでやったような成層圏ビームでド派手なドンパチをやらざるをえないので、しばらくはBUD VIRGIN LOGICと対峙する展開が続くのかなぁ。
アイレーンちゃん様はもうヴィジュアルの時点で『強い』ので、バンド対決したり、中二病の仮面が剥がれて可愛い所が見れたりという今後の展開に、期待しかない。
復活なったダガー社長が闇のマスコット担当している所とか、ちょっと魔法少女対決的なムードもあって、二期を支えるライバルとして良い登場だったと思います。
バトル漫画のキャラが戦闘力でキャラを見せるように、喋るより早く曲を歌わせ、バンドとしての強さをまず見せてくる所とか、音楽アニメらしくてすっごく良かったです。

『シアンが帰ってこなければいけない理由』を味方サイドに伝えてくれたサイバー忍者バンド・忍迅雷音ですが、あくまで危機的状況を主人公サイドに伝えるメッセンジャー的ポジションなのかなぁ。
メタ的な読み方をすると、吉野さんと佐倉さんが兼役なんで、軸に据えようと思えば出来るんだろうけど。
一期でメインに近い位置に霧幻庵とトライクロニカが、一旦舞台から遠い場所に飛ばされてるので、二期では別のバンドを使って話を作っていくのだとは思うけども……ここら辺は先を見ないと何とも言えないですな。
とりあえずお師匠は徳が高すぎて(『いざとなったら、圧倒的暴力で押し切る』を意味する婉曲的な罵倒表現)出ると主役をもぎ取りすぎるので、砂漠にぶっ飛ばしておくのは正しい選択だと思う……巻き添え食らった阿吽はご愁傷様。


そんなわけで、色んな連中が賑やかに暴れまわりつつ、彼らを支える軸はしっかり据え付ける、SB69らしい立ち上がりでした。
やっぱこー、トンチキでドタバタで、でも奴らなりに一生懸命なミディシティを堪能させてくれると、『ああ、帰ってきたなぁ……』という実感がじわっと湧いてきますね。
そういう地味な部分をしっかり作り込みつつ、未来改変だの宇宙人襲来だの、派手めでデカいエンジンをちゃんと用意して視聴者をフックするのを忘れないあたり、隙のない作りだ。
『自分たちの強さを理解し使いこなし、期待と信頼に答えて上を行く』という、二期がやんなきゃいけないけど難しいことをしっかり映像に仕上げたのは、まさに感服です。

『シアンが帰ってこなければいけない理由』を一話かけてしっかり積み上げ、主役を舞台に帰還させて続いた次回は、一期で個別の見せ場が少なかったモア軸の話っぽいです。
一期で使い切れなかった物語的燃料をどう使いどう飛ぶかも見れるだろうし、シアンが入った世界をどれだけ気持ち良く見せるかも判るだろうし、スゲー期待が高まる。
はー……やっぱSB69、マジおもしれぇなぁ……。