イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

プリパラ:第118話『姉と妹と姫と野獣』感想

神様だってアイドルがしたい! 欲望と情熱が世界を揺るがす歌姫喜劇、今週は超設定回収回。
女神ジュリーがなぜ赤ん坊ジュルルとなりらぁらと出会ったのか、その背景には誰がいるのか、一気に説明するエピソードとなりました。
欲望に忠実過ぎる姉に振り回される秩序派女神ジャニスも本格参戦し、ノンシュガー結成も軌道に乗り、話が一気に加速してきた感じはあります。
解決事態は『SAKIOKURI』だけども、あと半年走りきるだけの材料はちゃんと揃っていると感じられる、いい感じの後半戦スタートだったと思います。

というわけで、前半を引っ張った子育て奮戦記の舞台裏が明らかになる今回。
アイドルが好き過ぎる女神様が、自分自身にオールリセットをかけ、システムにアイドルとしての自分を登録させるための策が『赤ん坊になる』でしたね。
嫌がってる妹はノーモーションで巻き込んでるし、運良く善人に拾われたからいいものの、ネグったり虐待するような子に拾われたらどうするつもりだったんだろうか……。
後先考えないというか、『やりたい!』という気持ちに素直な神なのだろう……ジュリー、邪神じゃん。

『世界がどうなってもいいから、とにかくアイドルが好き! アイドルしたい!!』という熱い情熱は、プリパラが『み~んなアイドル』の物語である以上、結構大事なものだと思います。
そういう強い気持ちがあればこそ、主役たちは神アイドル目前のところまで自力で這い上がって、憧れの視線を受ける立場になれた。
ジュリーは『神』という圧倒的存在なんだけども、アイドルとしては『新人』で、らぁらに対しては『娘』で、上でありながら下でもあるという不思議な立場にいるなぁ。
あの成熟した肢体で小学生を『ママ』呼びしていると、なんか凄い……凄い荒れ狂うものがある。
素晴らしい。

我欲でシステム管理権限を振り回し、世界のルールも自分のあり方も自在に変えてしまったジュリーの行動は、行き当たりばったりで危うい感じがします。
らぁらが『何があっても、ママはジュルルの味方だよ……』と言ってることも含めて、そのうち高いツケを払うことになりそうだ……丁寧にサパンナ崩壊の伏線も拾ってたしな。
世界を危機に晒してでも叶えたかったジュリーの願いを、今回らぁらは掘り下げることができなかったわけで、ここらへんに踏み込むのはクライマックスが始まってからなんでしょうね。
将来ヒドイことになる予兆も込めて、『先送り』というネガティブな結論を笑いのオブラートで包んで出してきたんかね、今回は。


そんな姉に振り回されるジャニスは、女神の責務に無自覚な姉にキレて下克上を狙う。
『予定通り』を強調しまくっていることから、楽しいサプライズ重点のジュリー(と、その保護者であるらぁら)に対比されるキャラだとは思うんですが、そこまで悪人に見えないのは良いのか悪いのか。
王権の象徴であるタクトを奪おうと画策してたりするけど、行動の自由はないし、システムを的確に運営しなければ不幸が訪れるのは事実だし、ジャニスの秩序路線はそこまで間違っていない気がします。
プリパラが『み~んなトモダチ』を世界是とする以上、ジャニスも否定されるだけの悪役にはしないだろうから、今見えている『一部の理』は今後芽を出させるための前フリなんだろうな。

『ダメダメな姉に振り回される妹』という共通点で、ジャニスとのんを繋ぎ、ノンシュガー結成物語の端緒にキャラを配置する流れは、非常に上手かったです。
やっぱ新キャラが何処かに既存キャラとの共通点を持っていると、そこを足場にして共感を作りやすく、話がスムーズに流れていきますね。
『人間に憧れる機械』という意味では、ジュリーとファルルも重ね合わされてんだな……ということは、ジュリーを『機械』に押し込めようとするジャニスは、一期におけるユニコンか。

今回は各キャラが自分らしさを存分に発揮し、発揮しすぎて話が破綻する寸前まで加速していたんですが、巧いこと収める仕掛けもたっぷり用意されていました。
プリパラは毒のあるキャラが自分を抑えず暴れまわるのが楽しいので、キャラを活かして細かくクスグる今回のトーンは、作品の魅力が生きた良い運び方だと思います……ドロシーの冴え渡る毒舌とか、最高だったね。。
しかしそれだけでは話が大迷走するだけなので、強引でもシメるところをシメて、今後お話がどういう形に積み上がっていくかの青写真を見せるシーンに移行させてもいて、折り返しの回に相応しい展開でした。

姉たるジュリーだけではなく、ノンシュガー関係のエピソードにもジャニスがきっちり絡んで存在感を出していたのは、初登場エピソードに相応しい目立ち方でしたね。
ペッパーが食肉ネタで大暴れしそれに反応してちりが暴走する中、うさちゃのヴィジョンと献身を認め上げ、ちりにトス上げしてノンシュガー結成の方向に話を持っていくあたり、ジャニスは場をよく見たキャラだ。
まぁあそこで大人っぽいこと言えるの、秩序属性のジャニスだけだからな……外見は赤ん坊だけども。

ペッパーはとにかく人の話を聞かないキャラなんだけども、『校長の遺髪』という『とりあえず黙るアイテム』を巧く設定できたお陰で、話が破綻しそうになったら初期位置に戻す動きが取れて、あじみより制御しやすそうだった。
ココらへん、濃い味付けのキャラを大暴走させて盛り上げつつ、制御装置をしっかり付けて本筋も進める欲張りさを感じて、なかなか巧妙だなと思う。
話がまとまりそうになったら『食う』というキャラ記号を引っ込めて、『チームが結成するまでのお楽しみにとっておくぞ!』と身を引かせている所とか、場をよく見た運び方でした。
濃いキャラが記号を全面に押し出して本気で暴れると、一切収集がつかなくなるってのはあじみで証明済みだからな……ここら辺の押し引きがしっかりしているのは、見ていて安心だ。

ノンシュガーは本当にまとまる気配がないんですが、個別のキャラクターはみんな魅力的だし、バラバラだからこそ個性が一つにまとまったときの魅力を期待できるユニットでもあります。
『なぜノンシュガーを結成しなければいけないのか』『どうすればまとまるのか』というヴィジョンを、マネージャーという三人を導く立場にあるうさちゃの口を借りて語らせているのは、ネタの温度を殺すことなく話の方向を示唆できていて、上手い見せ方ですね。
結成までの方向づけは今回巧く出来たと思うので、今後具体的なエピソードを積み上げて、ユニット結成に説得力と体温を宿すことが出来るとなお良し、って感じですね。
ユニット内部の整理だけではなく、プリパラ内外のちりを和解させ、アイデンティティを再統合する試練も待っているのは、なかなか面白いところだ。


というわけで、賑やかなカオスを思いっきり加速させつつ、今後展開する物語の青写真をしっかり感じさせ、お話の形を整える回でした。
女神ジュリーの危うい情熱、その妹であるジャニスの登場と下克上の予感、個性派ユニット・ノンシュガー結成前夜。
色んな要素をぶち込みつつ、キャラの魅力とネタの勢いを存分に引き出す、プリパラらしいエピソードでした。
『SAKIOKURI』の爽やかなダメダメ感で終わっても、『まぁ、プリパラだし……』と納得できてしまうのは、強いシリーズだなぁと思う。

色んな物語の種子がバラまかれた話でしたが、それに続く次回は一年ぶりのハロウィン。
年一回のらんたんの出番を今年受け取るのは、ゴシックユニット・ガァルマゲドンですが、どういう化学反応を見せるのか。
ガァルマゲはいまん所主役話全部が名エピソードなので、賑やかで楽しくてほっこり出来るいい話を期待します。