イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

刀剣乱舞 花丸:第4話『強さって、なんだろうな』感想

麗しき戦士たちにプリマヴェーラがくれた潤いの記録、今週は新撰組回想録と酒! 飲まずにはいられない!!
前回と同じように、大人数を束で捌くバラエティ豊かなパートと、数を絞って1テーマを掘り下げていくパートにきっちりと別れた構成となりました。
この形式は楽しいファンサービスを大量に詰め込みつつ、作品の焦点をボヤけさせない狙いも達成できて、なかなかに優秀ですね。

今回は共通の時間軸で起こった出来事を、Aパート新撰組、Bパート桜班と時間を巻き戻しながら見せる形式。
前回はAパートがバラエティ・Bパートがテーマ性という割り振りだったのを入れ替えてあるのも含めて、基本的構成はそのまま微妙にスパイスを効かせ、飽きが来ないようにしてくれています。
こういう細かい気配りしてくれることで、『この話楽しいけど、どっかで見たなぁ……』という既視感を遠ざけ、一回一回の話をフレッシュに楽しめるわけで、ありがたい限りです。

というわけでAパート、花丸の主軸である沖田組と関係の深い、土方歳三の佩刀ふた振りが真ん中に来るお話でした。
これまでのお話もそうですが、刀剣男子が付喪神であり、長命種であり、戦争の道具であるという事実から目を背けず、まっすぐ切り込んでくれるのは、ほぼアニメだけを頼りにこの作品に切り込んでいる身としてはありがたい。
提示されている設定を見るだに、いかにゆるふわ美青年バイキングとはいえそういう部分を切り捨てるのは不自然であり、むしろ日常の描写を裏打ちするように、過去の記憶や戦士の覚悟を問い続けることは、作品に芯が通って見やすくなります。

安定が沖田に抱く思慕、史実と異なる夢の記憶はシリーズ全体使って掘り下げていくネタっぽいので、今回兼定が真正面から切り込んだのは、『頼れる副長』のキャラを背負う彼の描写としても、非常に良かったと思います。
池田屋襲撃を『撤退』という形で終わらせたのも、安定の中で何らかの答えが出た後再挑戦させるためだろうしね。
真剣を用いた2VS2のチャンバラもなかなか切れ味鋭く、『強さ』を問う展開に重さを与えてくれてました。

刀剣男子は戦士であると同時にタイムパトロールでもあって、歴史改変という甘い蜜の誘惑に耐え、主の死を含む正史を維持する必要があります。
なので、今回兼定が物理的な『強さ』を飛び越し、安定が求める『沖田くんみたいな強さ』の本質、精神的・社会的・倫理的な『強さ』まで問いを深めていったのは、メンターとして優れた動きでした。
刀剣男子に必要な『強さ』を問うことは、『刀剣男子は、なぜ刀剣男子なのか』という根本的な問題に花丸なりの答えを出すことでもあるし、超越種独自の倫理を描き出すことでもある。
悩める(不)安定を主役にそういう方向性に飛び込んでいったのは、お話の1/3が終わるタイミングに投げ込むには、良いストレートだったと思います。

キャラの描き方としては、爽やかで靭やかな兼定の兄貴力が印象的。
あと堀川くんはいい感じに優しげな美ショタなのに、中身の方は超カネキチであり、コンビ打ちはキャラ立ってええな! という気分になった。
加州くんが安定の唐突なラブコールを受けて慌てるところは、普段の余裕が崩れる可愛げがあって好きなシーンでしたね……キャラを維持しつつ、ちょっと崩れる楽しさ見せるの巧いよね、このアニメ。


んでBパートは"♪4月は花見で酒が飲めるぞ~"という内容を、時間を巻き戻し並列で展開。
新撰組が『強さ』を掘り下げる中、チラホラ映る花見組が色々気になることになってて、そのタネ明かしという要素を足していたのが、なかなかに面白い。
燭台切さんがグラサンかけてるの見た時、『!?』ってなったもんな……時間巻き戻しというギミックを使うなら、そういう興味を掻き立てるのは大事よね。

話の構造としては前回Aパート、『わらしべ長者』という箱に次々キャラを入れて数を捌いていく構図とほぼ同じで、箱が『万屋』に変わった感じですね。
モノボケネタやらレトロネタやらで細かくクスグリつつ、色んなキャラの色んな表情で楽しませてくれる構成は、朗らかで良い。
普段はツンツン自己卑下系な山姥切くんが、『フラワーロック』という動く無機物に彼なりの優しさを示したところは、非常にホッコリした。
小夜くんもそうだが、ネガティブで孤立しがちなキャラに小さな花を持たせて、共同体から受け入れられる様子を見せてくれるのは、救いを感じられてありがたい。

婆娑羅者な次郎太刀を巧く使って、花見で騒いで酒が切れ、みんなが万屋に足を運んでは大ボケかまして帰ってくる状況を仕上げてもいました。
次郎ちゃんの女形めいた艶は堪能できたので、そのうち大太刀特有の荒武者なところとかも見たいが、戦闘シーンは特別サービスだからなぁ、このアニメ。
二面性の見せ方が全体的に気持ちいいので、一回出番が終わった後も細かく顔を見せ、『意外な一面』を楽しませるチャンスをたくさん用意してくれるのも、なかなかグッドだ、
やっぱ落差というのはキャラクターを引き立てるし、それを活かすためには最初の出番でキャラクターを明瞭に描くのが大事なんだろうな。


というわけで、安定感のある構造を活かしつつ、新キャラとの科学反応で既存キャラの魅力を引き出していくお話でした。
『そうそう、こういうのでいいんだよ』という安定感ですが、それを生み出すためにはどれだけの工夫とフレッシュな発想が必要か。
気楽な楽しさの裏から様々な配慮を感じることが出来て、ありがたさが増し続ける第4話でした。

桜も盛りを越え、来週は青葉と緑風の季節が舞台。
僕は本丸のおかーさんとしてみんなを見守ってくれている燭台切さんが大好きなので、伊達組がクローズアップされるのは嬉しいなぁ。
久々の出撃任務も描写されそうで、可愛げあるキャラの魅力を別角度から照らすお話になりそうですね。