イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ドリフェス!:第4話『3人ユニット結成!!!』感想

アイドルに描けた青春ロードど真ん中を突っ切る王道芸能アニメ、今週は凸凹トライアングル。
これまでも良いトス上げを見せてくれた純哉くんを真ん中に据え、彼のキャラを掘り下げつつ三人ユニット"トラフィックライツ"の魅力を輝かせる回でした。
アイドル活動にかける思い故に衝突し、その熱さ故に判り合うことが出来る少年たちの純粋さが真っ直ぐ話を牽引していて、非常にパワフルで気持ちが良い展開。
男子アイドルアニメ最強の優等生という感じで、やっぱ俺ドリフェス好きだなァ。

第2話・第3話でヒロインを務めた慎くんが、謎めいた魅力を武器に『追いかけさせるアイドル』だとすると、今回掘り下げられた純哉くんは圧倒的なやる気を全面に打ち出し、強引に手を掴んで『引っ張り込むアイドル』だといえます。
奏とバチバチぶつかり合い、時には取っ組み合いまで行きつつアイドルに賭ける思いを確認していく流れは、彼の個性がよく感じられ、パワーの有る流れでした。
思いの先が三神さん一人に集中しているのもモチベーションの源泉が具体的で分かりやすいし、同じように三神さんに引っ張り上げられた奏との共通点もよく見えるし、シンプルで強い軸。
キャラクターの憧れを強く背負わせることで、メンターの株が上がる造りは製作者が見せたいものに納得がいくので、やっぱ良いですね。

『無理っしょ』『やれるっしょ』という殺しゼリフを巧く活かし、バチバチぶつかり合うライバルの距離感を魅力的にかけていたのは、今回一番胸に届いた部分でした。
慎くんは実力も熱意もドラマも持っているけども、キャラ的にこういう激しいぶつかり合いは出来ないわけで、純哉メインの回に純哉にしか出来ない尊さを真ん中に据え、奏とより良い関係を築くまでが丁寧に見れたのは、物語における純哉の存在意義を巧く確立する手管でした。
『色んなやつがいて、色んな関係があって、それが凄く良いことなんだ』という綺麗事を、真正面からちゃんとお話にして整えてくれるのは、見ていてとにかく気持ちが良いね。

『2032』のエピソードもそうですが、キャラクターの行動の源泉にすごく詩的でパワフルなネタをちゃんと配置するのは、ドリフェスのいいところだと思います。
三神さんのアイドル力に惹きつけられ『最高だと思った』というところで止まらず、『サイコーを超えろ!』というメッセージに導かれるままガムシャラに前進する純哉の姿は、視聴者の予測を半歩越えてお話を展開させる驚きに満ちていて、良い刺し方だなぁと感じた。
三神さんの『サイコー超えてる』はこれまでも推されてきたフレーズなんだけど、純哉の憧れとして間接的に掘る今回、言葉の別の意味がストーリー進行の中で浮かび上がってくるのは、ちょっとテクニカルで巧い。

一本太い軸を取りつつ、細やかに色々なテーマを触っていくのも、ドリフェスの流儀。
今回はアイドル一本中卒上等な純哉と、学園生活も大事にしたい奏との食い違いを掘っていました。
ガチりすぎな純哉の情熱をしっかり描きつつ、二重生活を送る奏を軟弱なキャラとして否定はせず、出来る最大限のパワーを引っ張り出しているシーンをちゃんと入れたのは、誰かを悪者にする気がなくて良かったです。
純哉のミカキチっぷりは当然危ういものなんだけども、その情熱が他のメンバーにも伝播し、アイドル活動を加速させていくパワーをちゃんと感じ取れたのも、非常にグッド。
キャラが持つ個性のいろんな側面をちゃんと掘り下げつつ、最終的にはポジティブな方向に気持ちがまとまっていくことは、夢を追う行為への信頼感を製作者サイドがしっかり持っていると感じさせられて、視聴者としても作品を信頼できる足場になってくれますね。


バチバチぶつかり合う主人公とヒロイン、その間を取り持ち助け舟を出す3人目として、慎もいい存在感を出していました。
前回のエピソードをしっかり自分の糧に変えて、『思いを言葉にする意味』を当の奏に返すところなど、お話の積み重ねがキャラを変え、世界との向き合い方を変えている、まさに成長の醍醐味でした。
問題を抱えてたやつが他人の手助けでそれを克服し、今度は他人の問題を助ける側に回る善因善果のドラマは、オーソドックスであるがゆえに暖かく楽しいですね。

基本赤と黄色が熱さで引っ張り、赤と黄色がヒートアップすれば青が水を指すという、三人の関係性の基本形が結成エピソードでしっかり見えたのは、今後彼らを見守る上でありがたかったな。
基本の関係がしっかり把握できていればこそ、それが崩れて『らしくない』ことをする楽しさも生まれてくると思うので、赤・青・黄色のデコボコした関係を楽しく飲み込めて、非常に良かった。
現段階でかなり完成度高いトライアングルだと思うけど、緑と紫はどういうポジションでここに食い込んでくるのかなぁ……そういう意味でも、今後も楽しみ。

三神さんは純哉の憧れとして無茶苦茶なアイカツを引っ張るエンジンになり、若い三人を見守る保護者になり、話を下支えしてくれました。
一見直感だけで行動しているように見えて、『奏を取り込むことで、化学反応を起こしたかった』という目的はかなりクリアに見せて、不用意に引っ張らないのが信頼感を生む足場かなぁ。
社長とのおやつ芸も僕は好きなんで、今後もああいう細かいクスグリ適度に入れ込んで欲しいところです……慎が見せた寿司屋のエンガワ芸とか。


というわけで、違っているからこそ刺激を受け高め合える、"トラフィックライツ"初のエピソードとなりました。
アツくぶつかり合う奏と純哉だけではなく、その間を取り持つ慎も、憧れられ見守る三神さんの株も順当に上がって、関わった人全員が前に進む良いエピソードでした。
なんにも考えない能天気とはまた違う、世界のネガティブさを把握した上であえてとびきりポジティブな結論を豪腕で切り開いていく感じが、オリジナルな魅力で素晴らしい。

アイドル活動に飛び込む中で、色んな関係性、色んな可能性に目覚めている奏が次回飛び込むのは、人生初のバラエティー番組。
これまで歌と踊りのステージを描いてきたドリフェスが、別の表現方法をどう描いてくるかも気になるところです。
どっしり腰を落とした青春横綱相撲で話を進めるドリフェス、ここから先の景色も楽しみですね。