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イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

プレイレポート 16/12/23 TNX『マシンハート・ストーリー』

昨日はSSS7二本目のシナリオを遊びました。

シナリオタイトル:マシンハート・ストーリー システム:NOVA-X RL:コバヤシ
田中くん:”バトルマシーン01”光川あきら:外見10代女性:カゲ◎クロガネ●タタラ 製作者の希望を背負い、罪なき存在として生まれた人型クロガネ。しかし過酷な運命を前に戦う力を望み、バトルマシーンとして生まれ変わる。
シェンツさん:鉄葉:ウォーカー:クロガネ◎アラシ●カブト イワサキの『死なない兵士』開発の結果生まれた、パイロットの魂を焼き付けられたウォーカー。鋼の棺桶の中で摩耗していく心身を癒やすかのように、誰かのために戦い続ける。
新米くん:”悪魔のいる天国”マクスウェル:女性格:クロガネ◎●アヤカシ、クグツ アストラルとウェブの衝突により生まれた、驚異的演算能力を持つ研究所管理AI。主を定めその意志に従うこと、嘘をつかず契約を遵守することを重んじる、道具的存在。
Braveoneさん:”好機なる行いの書”シビュラ:神:マヤカシ◎カリスマ●クロガネ 人類が文字を持たない時代、人倫をシンボルによって示した書物の古きクロガネ。ニューロエイジにまで発展した人類社会の中で、己を役目を終えた無用物と任じている。

というわけで、SSSのクロガネシナリオです。

・PC全員クロガネで新造推奨
・シナリオ内独自の設定がボンボン出て来て、それに従ってPCを作ることになる
・PC間がほぼ同一モチベーションで動き、シナリオレベルでの差異が弱い
など、非常に偏った作りの今作。昭和特撮のテイストもバリッバリに香ってきて、ネタ一本槍の超トンチキシナリオ……と思いきや、非常に太いテーマ性、『この子な理尾を、このキャラで、俺達がやる意味』に満ち溢れた、まさに傑作であります。
PC全員をクロガネにすることで、人間とクロガネの差異、『人間を人間に足らしめるものは、一体何なのか』という疑問を、自分の問題として考えることが出来ます。それはヒトとモノの境界線が物理的にあやふやになり、多国籍企業によって国境が消失しかけ、経済格差が拡大し、ミュータントや超能力者がデータとして存在しているサイバーパンク世界において、非常に根本的な問いです。
この重たい問いを、キッチュでポップでキャッチーな『いかにもな安い特撮』の側でくるんで気安く飲み込ませ、TRPGの題材として楽しくシェイプする手腕。テーマ性を強く絞るために、PC間で醸造される物語をキャラメイクを指定する段階で重視し、シナリオ本編はあくまでスマートに分かりやすく仕上げる作り。軽みと歯ごたえ、食いごたえを両立させる挑戦的なライティングは、その目的を見事に果たしていると思います。

うちの環境では、あまりにフラットな状況ではロールが回らないと考え、PC番号によってはシナリオ内設定の外側にでて、『普通のクロガネ』を出しても良い、と示唆しました。このシナリオだけで通用する特殊な設定を大事にしつつも、『普通のNOVA』が持っている世知辛さや世界設定の幅広さを取り込んだほうが、スムーズにプレイが回転するし、面白いと思ったからです。
ここら辺は非常に巧く機能して、シナリオ内部設定を拾ったあかり&マクスウェルと、外部からやってきた鉄葉&シビュラと、PC間のすみ分けが出来ました。このシナリオはPC間で価値観や思いをやり取りし、スタイルを変化させていくロールプレイが多く求められるし、醍醐味でもあります。それを促進する意味で、テイストが異なるキャラクターを提出してもらえたのは、非常に良かったと思います。
ゲストもシンプルに機能的でありながら、テーマをしっかり分担して背負う良いキャラたちでした。環境と自分の好みに合わせてリシェイプした部分も沢山ありますが、各ゲストの軸は変化させず、テーマ性をそれぞれの立場から担い、表現してくれました。

実プレイにおいては、最初は『コード:レイヤードだっけ?』とか『メタリックガーディアンだっけ?』とネタっぽく言ってたPLたちが、クロガネというスタイル、自分たちが選び取った他のスタイルについて深く考え、ロールプレイに反映していくという、非常にNOVAらしい光景が展開されていました。
自分のスタイルを再確認するにしても、新しく手に入れていくにしても、プレイを通じてキャラクターの核となる部分にしっかりアプローチし、ダイナミックに変化していく様を楽しめるのは、NOVAというシステムの強みだと思います。
参加した全てのキャストが己のスタイルをしっかり語り、共有し、影響されて変化していったこのシナリオは、非常にNOVAらしくなく、同時にNOVAでしか遊び得ない独自性を、強く持っています。挑戦的な姿勢が非常に良い方向で炸裂し、結果を出しているシナリオだと思います。
挑戦的でスマートなシナリオを基盤とし、環境と己の好みに合わせて再調整する。既成シナリオを遊ぶときはよくやる行動ですが、事前準備や通達がPLに良く伝わって、実プレイを迷いなく、強く遊べる結果がちゃんとでて、自分としても満足です。
TRPGにおいて事前にシナリオを読み、その方向性や注意点を把握できるのはGMしかいないわけで、そこら辺を過不足なく伝えて、淀みのない実プレイが流れていく水路をしっかり掘る。そういう作業の大事さを確認できるセッションでもありました。
それはもちろん、あまり時間がない中RLの提案をしっかり受け取り、他PLとの連携を取って、シナリオにマッチするキャラクターを出してくれたPLの努力のおかげでもあります。熱の入ったロールプレイといい、PLが誠実に熱心に遊んでくれればこそゲームは面白くなる。そういう当たり前の有り難さを強く再確認できて、嬉しい限りでした。

癖の強いセッティングですが、テーマ性をしっかり彫り込み、PCサイドに物語生成のかなりの部分を任せる、意欲的なシナリオです。一発で引き込むネタの強さもあるし、遊んで楽しい、満足できるシナリオであり、セッションだったと思います。いいセッションでした、同卓していただいた方、ありがとうございました。