この素晴らしい世界に祝福を! 第1話を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月2日
近い内に始まる二期に備え、非常に好評な作品を齧っておこう、新年だし というわりと生臭い動機で見たのだが、ペーソスと批評眼があって面白い話だった。
自分がどんだけこのお話の文脈を抑えられてるか自身がないが、好きな空気の話な気がする。
僕はいわゆる『なろう系』に造詣が一切ない人で、このお話がパロディにしている『冴えない僕が異世界に転生してチートでうわーい!』というお話はほぼ摂取していない。("オーバーロード"くらいだけど、あれもニヒルなパロディだし)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月2日
ので、そこに対するカウンター要素だけでは食える部分がほぼない
消費者のニーズを傑作がすくい上げ、先行作の要素が定形と化し、ジャンルのお約束を後追いし新鮮さが蒸発してく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月2日
どんなジャンルにも起こるこのサイクルが、このアニメが皮肉っている場所では相当早かったんだろうなぁという推測はするが、本当の意味で『あー、あるねぇ』と頷けるほど食ってないのだ
さてはて、お約束を外してトラックに轢かれずに死んだ主人公は、ファンタジックな異世界に脱出していくことに特に疑問も覚えず、サクサクと話を進め、チートな欲望充足を求めて冒険者しようとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月2日
しかしそんな夢はパラメーターの壁と世知辛い異世界事情に阻まれ、あっという間にアウツである。
冒険を一緒に楽しむはずの美少女女神も、性格ネジ曲がったバカであり、虹色のゲロは吐くわ変顔はするわトンチキな声は出すわ(雨宮さんの新境地って感じで素晴らしい)、定形から一歩外した感じのスタンス。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月2日
門外漢の僕が考える『なろう系』のお約束は、キレイに外されている。
お約束を外したところに何が転がっていくかというと、性格の悪いトンチキ人間の正面衝突コメディであり、サクセスとパワーに満ちた元気な物語から半歩外した、ダウナーでヘンテコな充実感である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月2日
この部分の日常感と笑いの巧さ、土臭いファンタジー風味がかなり好みの匂いを漂わせていて、かなり良い
カズマさんがゲームオタクのメタ視点を巧く活かしてツッコミ役を担当しつつ、超残念ヒロインであるアクアのバカさ加減に振り回され、ボケを共有し、テンポよく回す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月2日
笑いを生むための役割分担と、パロディゆえのヨゴレを恐れない覚悟が良い科学反応をしていて、素直に楽しい笑いだ。ヒドイのが良いね
もう一つ楽しかったのは、モンスター殴って女にモテて社会でサクセス! という欲望からは外れつつ、なんかいい具合に足場を手に入れていく充実感だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月2日
ダイジェストで描かれるドカ仕事の演出が非常に冴えていて、アクアとの関係が良くなっていく様子、異世界に足場を手に入れていく様子がよく見えた
カズマさんの異世界生活第一歩は、彼が望んでいたような超チートではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月2日
が、しかし、汗水たらして労働し、風呂に入って一杯やる。そういう地道でホコリ臭い喜びは、ちゃんと獲得できている。そういうずらし方が半周回って、門外漢にはひどく真っ当に見えたのだ。キャラに体温があるというか。
なんかキラキラしたスタイリッシュ・サクセス街道は別の人に任せて、性格最悪のゴミ人間たちの煽り合いと笑いと地味な成功をじっくり積み重ねていこうじゃないの! 手のひらに入るサイズの異世界の幸せをやろうじゃないの! という気持ちが、ゆるっと伝わってくる感じがあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月2日
この手触りは好きだ
無論これは予感なので、どうずらしてくるかわかんないし、ただただ地味なだけでは視聴者のリビドーを刺激し、あっという間に二期が決まるほどの波にはならない気もする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月2日
どっかで都合よくサクセスする瞬間が来ると思うのだが、それをどう書くか(もしくは書かないか)も楽しみである。
ここまで書いて気づいたが"灰と幻想のグリムガル"も文脈的には『なろう系』の延長線上にあるのかな? ココらへんでなんか言うためには、もうちっと勉強せんとだめだな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月2日
予断はさておき、今後が楽しみになる第1話だった。地に足の着いた描写がいい感じなので、今後も地味に行って欲しい。