3月のライオンを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月8日
1クールを折り返して後半戦、OP/EDも切り替わって零くんの勝負師としての側面に切り込む…前に、現状を再確認して歩きだすお話。
あまりにも暖かい川本家とどういう距離で付き合うかは、作品全体がべっとりと閉鎖していかねない問題なので、いい距離で収めたと思う。
今回の話は直近三話くらいの蓄積がよく生きた話で、白黒の乾いた生活と、暖かく彩られた川本家の景色両方を濃厚にやったからこそ、その狭間で零くんが何を選択するのか、どういう距離で歩いていくのか見せるエピソードが機能する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月8日
それはお話全体がどういうもの何かを確認する、大事な足場にもなる。
冒頭三分であっという間に漂白されていく世界を見て判るように、零くんは根本的に自己評価が低く、人間関係の構築が下手である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月8日
どれだけ暖められてもあっという間に冷えていく魂の地金を相手に、では薄暗い部分に飲み込まれて生き残れるかというと、そういう話でもない。
暖かさは大事だし救いだ。
しかし白黒の世界は零くんの原風景であり、魂の根本でもあって、色の付いた世界だけを肯定していれば、零くんが十全な存在として成長できるわけではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月8日
雪の寒い日に家族を略奪された経験から、零くんの寄る辺ない人生はスタートしているわけだが、嘆いた所で妹は帰ってこない。
具のないラーメンと、簡素だが暖かいたまごかけごはん。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月8日
雪混じりの冷たい世界と、こたつのあるカラフルな世界。
どちらかが唯一正しいというものではなく、お互いが侵犯しあい入り混じりつつ今の零くんを作っている以上、『このままホームの暖かさに潜ってて良いのかな?』と問う今回は、大事な回だ
そんな逡巡を経て今回出した答えは、ホームを足場に孤独な戦いも頑張るという、とてもバランスの良いものだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月8日
モノトーンとカラフルの対比はあまりに鮮明なので、ついカラフルな世界だけを肯定したくなるけども、白黒の世界にだって当然価値がある。それは色のある世界を知ればこそ見えるものだ。
孤独に悩み、勝負に挑み、気づいていないけど心配してくれる優しい大人たちに囲まれ、義姉を貶されてキレて、新たなるホームに帰る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月8日
今回のお話は、そんな風に零くんを取り巻く『今』をじっくり歩き直して、迷った末に今たどり着ける一番前向きな答えを捕まえる話として、どっしり腰がオチていた。
オチとして話を支える川本家が大事にされているのは当然なんだが、将棋の世界とか、そこに宿っているヌケた空気とか、それ以外の部分も結構冷静に『良い物』として持ち上げているのは良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月8日
零くん、気付いてないけどかなり人間には恵まれてるよなぁ…スミスの仕上がりっぷりとかヤバイよ。
零くんは将棋の世界を基本モノトーンで捉えていて、そこからカラフルな優しさが差し出されていることに気づけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月8日
しかし、ようやく見つけたホームを足場に、幸せに向かって一歩ずつ進んでいくことで、ふと己を取り巻く人情に目をやる瞬間が、かならずあるだろう
そういう未来に繋ぐ話でもあったな
話を収めるにあたり、モモちゃんがマジヒロイン力高く立ち回っていたのだが、手のサイズさをむっちゃ強調するあざとい演出が良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月8日
あれは妹の死んだ小さな手と、モモちゃんの血の通った手を対比して、死者の領域からようやく零くんが脱却しかけていることを、巧く見せたと思う。
あとやっぱ、零くんは香子好きすぎ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月8日
実際の話し香子はくっそ面倒なストーカーなので、後藤さんが煙たがるのも道理だし、あの人はあの人で筋の違わない人なんだが、おねえたむしゅきしゅき病の狂犬には、そういうの通じねぇマジ。素晴らしい。
川本家とはまた別の角度でねじれた付き合いよな、義姉弟
今回は特にAパートがむっちゃシャフシャフしてて、例の角度とか脂っぽいテンポとか版画調とか過剰なクローズアップとか無機物描写の挿入とか三パンとか、シャフト演出集大成だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月8日
シリーズアニメにおいては、アヴァンギャルドは差し色で使ってこそという認識なので、推されるすぎると当惑するね。
ホームの暖かさを背中に受けて、さあ後藤勝負だ! 絶対勝つる!! というムードなんだけども、期待値を上げた上でこっからの展開ああするのが、まさに3月のライオン。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月8日
原作を読んでいた時に感じた心地よい裏切りを、どうアニメに乗せてくるのか。
非常に楽しみです。