セイレンを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月20日
常木編起承転結の転! というわけで、密室で距離が近づいたり、地雷を踏んで離れたり、行ったり来たりしながら夏期講習という特殊な時間は終わり、日常がやってくる。
素直になれない小悪魔と、目のつけどころがシャープすぎる主人公の恋はどこに転がっていくの? という回。
三話まで進んでみると、夏合宿というスペシャルな状況が二人の気持ちを接近させているのがよく分かる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月20日
講師の目を盗んで部屋で二人きりになリ、風呂に忍び込み、簡勁が深くなっていく。
しかしそれはあくまで特別な状況の特別な感情であり、深夜に出会うシカみたいなもんである。
バスがホテルを離れるのに比例するように、常木さんの気持ちは主人公から離れていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月20日
それは主人公が地雷を踏んだからであるし、夜と昼が入り交じる特別な夏が終わったからでもある。前回危惧していたとおり、常木さんの気持ちは一時の気まぐれで、主人公の冴えない日常とは交錯しないのだ。
とは終わらないのが恋の物語であり、高遠さんに茶化されていたように、常木さんは主人公を『ちょっといい感じの男の子』と感じてくれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月20日
アツい砂浜ではないけれども、空っぽのプールを代用品に、彼女は夏の恋に出会っている。奇妙な形でも、それは多分本当のことだ。
『他人と自分を比べないようにしている』自由な常木さんは、しかし『砂浜で荒木先輩と恋をする』という枠に囚われたままで、トンチキな変態紳士のことを自分が好きなのだと、認められないままだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月20日
そこで立ち止まっている間に、荒木先輩は高遠さんにかっさらわれてしまった。友人が敵でもある構図。
小悪魔的な誘惑をかけてくる時、一瞬だけ映る『アグレッシヴ英和辞典』のように攻め気に見えて、その実周りを見て出遅れてしまう面ももっている常木さん。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月20日
主人公はそんな彼女を理解しないまま、同じ食事を食べ、同じ水に入り、匂いと触感を共有していく。より体温に近い場所に一気に潜り込む。
今回のお話は、そんな感じで行ったり来たりする少年と少女の甘酸っぱい恋の凹んだ部分を、丁寧に追いかける話だったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月20日
クソビッチに見える常木さんの揺れる乙女心がちゃんと見えて、彼女のことを好きになれるのはとてもいい。弱くて強い、よく分からない存在は、正一が見ているものと同じだろう
常木さんの不思議さを乗り越えて、その奥で揺れている柔らかな感触をつかめるか。常木編最終話となる次回、正一くんの真心が試される正念場である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月20日
恋の進行が非常にゆっくりで、不思議な女の子をだんだん好きになり、不思議な男の子をだんだん好きになる過程が共有できるのは、やっぱ凄く良い。
それはさておき、正一くんの紳士力はとどまるところを知らず、常人のありきたりなエロスなど異次元に蹴っ飛ばす興奮ポイントをビシバシ見つけていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月20日
ジャージーで出来た轍を『地平線』と形容するポエジーは、作品と主人公にトンチキな魅力を間違えなく付与している。エロ表現に関して頭が良すぎる。
屹立したファルスという、普通はネガティブなアイコンになってしまう器官を窮地を脱する秘策に使ったり、それを隠すものが『パレオ』という異性装のアイテムだったり、とにかく正一くんは『他の人と自分を比べ』る以前の領域に、エロスのロケットでぶち抜けている
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月20日
普通に見えて、全く普通ではないのだ
では、そんな超高校級の変態には共感できないかというと、そうではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月20日
不思議な女の子を、その不可思議さゆえに好きになっていく、内側を見たくなっていく感情の流れは凄くオーソドックスに、嘘なく描写されているので、正一の変態性は壁ではなく魅力として機能する。見ててオモロイトンチキなのだ
そこら辺は非常に自由な(ふりを頑張ってやっている)常木さんも同じで、男も女もみな可愛らしく、恋を見守りたくなるキャラクター、話運び、鋭い演出をちゃんとやっているということだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月20日
足場がしっかりしているからこそ、奇矯な展開を飲み込めるのだろう。
先に述べた『アグレッシブ』のチラ見せとか、砂浜の代替品としてのかれたプールとか、臆病な異邦人たちの象徴としての鹿とか、トンチキでサービス満点の運びの中で、このアニメの演出の筆は繊細だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月20日
それが溢れるエロスから油っ気を抜いて、不思議に爽やかな感じを受けるのだと思う。
エロスと変態性と青春と感情のうねりをたっぷり詰め込んだ、常木さんと正一のワンダーランドもそろそろ幕を迎える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月20日
お互い好きあってんだから、素直になれば恋は形になるとは言え、彼らの捻くれた人格はこっちも知っている。願わくば、彼ららしい恋に、彼ららしくたどり着いてほしいものだ。