幼女戦記を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月3日
最精鋭航空集団をダシに無茶振りしてノロノロ教導やってようかなと思ったら、思いの外やる気と実力がある連中だったので地獄の兵団に育ってしまったでござるの巻。
シャクルトンの募集チラシめいたあのコピーで釣れる連中なんだから、そら優秀なキチガイだよね。
そんなわけで前編は幼女ブートキャンプ・雪山編。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月3日
むちゃくちゃな選考基準でふるいにかけ、軍隊基準でも理不尽な鍛錬で脱落させようという主人公の魂胆とは裏腹に、優秀なマゾヒストたちは一ヶ月で一気に錬成され、チート集団が生成される。
それは無双の足がかりであり、破滅の序曲でもある。
主人公の怠け根性がどうであれ、クソみたいなすりつぶし戦争のための兵隊だとはいえ、試練を乗り越え絆が深まる描写はなんだかんだと面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月3日
中佐殿の本心はさておき、ハードコアな試練が部下を鍛え上げ、帝国最強の空兵集団が生まれたこと、そこに戦友意識があることは間違いないのだ。
チート天性の事実と、願わくば楽したい杏ちゃんみたいな精神を隠している主人公にとって、戦場ですりつぶす敵と、その道連れになる戦友だけが真実を吐露できる相手だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月3日
内面がどうあれ、神の思惑が関わっていたとしても、死体とその生産はこれ以上無いほどリアルなモノだからだ。
主人公の芝居がかった弁舌(ハートマンの卒業演説丸パクリなのはどうかと思うが)は、そういうリアルから空爆のように距離を作るけども、バンバン死人が出て、死人作成のエキスパートとして尊敬を集めている事自体は、嘘でも偽りでもない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月3日
そういう剥き出しのリアルだけが、主人公の真実になる。
Aパートはそういう存在規定しか不可能な主人公とこの物語において、『仲間』を作るパートだったのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月3日
異世界チートに付き合うだけの資格を、ハードコアな試練で試し、錬成パートは手際よく矢継ぎ早に演出する。早回しの進行が心地よい。インチキを許されるだけの準備がちゃんとされている。
そしてBパート、せっかく新技能に目覚めたのだから使ってみたい! ということで、用意されたのはナポレオン時代のルーマニア兵。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月3日
一次大戦における機関銃、コルテス侵攻における馬と鉄器なみの虐殺のアドバンテージを手に入れて、はるか高空から雑魚どもをなぶり殺しである。
整然と陣形を組み、効率的に殺戮成果を稼いでいく精鋭集団に比べ、地上に張り付いた虫のような歩兵たちは無様だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月3日
そこにはターシャの、そして視聴者の薄暗い優越感が、これ以上無いほどヴィジュアルに示されている。奴らは虫で俺達は神。死体を証明とした、究極的差別構造である。
クソ雑魚どもを安全圏からぶっ散らかしまくる、底意地の悪い快楽。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月3日
ひっそりと前世知識を活かしつつ、ターシャは無双を追体験する楽しさを視聴者に提供してくれる。爆撃で舞う人体は、上空千メートル級の距離を置いてもはや道化であり、距離をおいた殺戮劇は喜劇でしかない。
ここら辺は第1話の塹壕戦のシャドウでもあって、自陣にカメラを置いた時は地獄めいた現実だったものが、反撃能力と時代感覚を喪失した瞬間遠いフィクションになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月3日
そういう『距離』が、死体の匂いを遠ざけ無双に酔っ払うためには大事なのだ。あそこで死んでいるのは俺達ではないという認識。
共感能力が欠如していると再三強調されているターシャは、思う存分己の力に酔う。大仰でカッコいい戦言葉を、ケレンたっぷりに吐き出し、腰抜けの仲間を叱咤し、先陣を切って選考を上げ、戦時のモラルに小便をかけて愚弄する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月3日
暴力の渦のようにかき回し、暴れまわり、悦に入る。
しこうしてそれは、すでに二正面作戦でヒーヒー言ってる帝国の東側に先端が開き、ダキアを入り口にしてソ連(に当たる国家)が参戦してくるという、戦略レベルでの破滅を確定させる行為でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月3日
ダキアはすりつぶせるだろう。航空戦力も持たない、暗号への意識もない、石器時代の軍隊だ。
しかし先週自身が考察していたように、この戦争の勝利は消極的講和しかないわけで、政治レベルでの決着を用意しないまま、国境侵犯を実力で蹂躙した今回の無双は、そこから遠のく1手だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月3日
まぁ中佐が軍全体の使い方、国家レベルの意思決定に噛めるわけではないので、やれることをやっただけではあるが
とまれ、主人公は正しく現場の快楽、殺戮の喜びで思考を止め、持ち場で為すべきチート無双をしっかり果たし、帝国は破滅への歩みを加速させる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月3日
勝てない総力戦の中の、勝てる局地戦。目の前の快楽で全体を見る目を曇らされているのは、当然主人公だけではない。視聴者を誠実にハメてくる姿勢が好きだ
クソ石器時代人は神の視点からミンチにして、ダキアの首都にクソを塗りつけることには成功した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月3日
戦争は続く。あらゆる戦線で精鋭部隊が無双できるわけではない以上、作中示されていた『国力の比べあい』としての総力戦が、三正面で続く。
その局面において、今回の爽快な蹂躙は案外無価値だ。
局地から総力へ。戦争の想像力が主人公の中で拡大しないのは、彼女の個人的な人格が強く影響している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月3日
他人がどうでも良いトカゲ人間が、帝国全体のこと、世界全体のことを思いやり、少しは機能する手筋を打とうとわざわざ考えることは無いからだ。
共感は個人だけではなく、事象においても重要だ。
総力戦の中の特別なコマとしての自分、様々なアクターの連関の中で存在する無力な自分を客観視しない(出来ない)ターシャは、これからもエースに相応しい、転生無双チート主人公らしい虐殺を繰り返すだろう。勝つだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月3日
そうするたびに、帝国の生存、より善い生は遠のいていく。
主人公自身がそんなものは望んでいない、というか、『善い』ということへの理解と共感が根本的に欠けている存在なのだから、その結末は必然であるし、必然だと思わせるようにこのアニメは、各要素を手抜きせずしっかり作っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月3日
仲間との連帯も、溢れる蹂躙の力も、神の如き遠い快楽も。
チート無双で思考を止めるツケがいつ払われるかは、僕には判らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月3日
放送の範囲では勝ちまくりモテまくりで終わるかもしれないし、敗戦まで描ききるかもしれない。
しかし主人公が『他人の痛みがわかるやつ』に成長しない限り、破滅は確定である。そうなるように描いている。
神の視点から、見えている破滅に突き進む愚者(それはターシャだけではない。作中の全キャラクターがそうである)をあざ笑うのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月3日
そこから舵を変えて、地獄の中で人間の証明を少しするお話になるのか。
どっちに転んでも面白いものが見れそうで、今後の運びが楽しみである。