鬼平を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月7日
一話から拷問! 殺人! 強盗!! 取り返しのつかない無情な時の流れ!! と、お辛い話がラッシュをかけてきたアニメ鬼平。
そんな空気に風穴を開ける艶笑コメディが見事に突き刺さり、楽しい30分となった。最後の最後でひっくり返すオチが秀逸で、良い笑いを堪能できた。
開幕一秒でセックスシーンから入るあたり、鬼平アニメには『覚悟』を感じるが、女の肉と優しさに溺れることがこのお話の根っこにあるので、そこを怠けないのはとても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月7日
お松がちゃんとかわいくていい女で、狂っちまうのも無理はねぇかな…という気で見れるのが、お話にのめり込ませる。
これは先週おまさを襲った『セックスの嫌な側面』を巧く中和する結果にもつながっていて、この話が捉えようとしている人間諸相の複雑な色合いを、コメディの中にしっかり宿す構図になったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月7日
先週のように暴力として機能することもあれば、今週のように柔らかく危ういものにもなる。性は不思議だ
今週はうさ忠の愛嬌、コメディアンとしての資質を最大限活かし、それがお話を支える形になった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月7日
繰り返される「あっ…❤️」のタイミング、なんとも言えない顔芸、ズブズブと零落していく仕草のおかしみ。コメディとしての粒が立っていて、とにかく面白い。テンポも天丼の使い方も良かった。
無論笑わせるだけではなく、死んでしまった父への申し訳無さ、鬼平の背中に親父を感じるシーンのむせ返る『イイハナシダナー』感と、人情味もたっぷり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月7日
残酷だけではなく、笑いや情けなさも人間の百の表情の一つであり、いろんなことが起こるからこのお話も人生も面白いのだ。
ここらへんの醍醐味を『人間、悪いことをしながら良いこともするし、良いことをしながら悪いこともする』というパワーのあるセンテンスでまとめ上げ、大悪党と鬼の平蔵、正反対の二人に口にさせるのは、話にビッと芯が入り強い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月7日
やっぱこういう、コアになるフレーズがあるとアニメは強い。
うさ忠の窮地を救ってくれつつも、職務としては許しておけない外道でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月7日
墓火の周五郎の複雑なキャラは、お松の肉体を介して主人公たちと繋がり、離れていく。盗賊といえども情があり、善行をし、しかし悪党でもある。テーマが上手くキャラに凝集されていて、物語に彼がいる理由が太いのだ。
艶笑で話を彩りつつも、火盗改メは正義のために殺人を厭わぬ明王の群れであり、うさ忠もまた鉄火場からは逃れられない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月7日
しかし今回の鉄火場は、これまでのお話とはまた違った色合いを受けて、血生臭さの奥にやるせなさだけではなく、不思議な開放感のようなものを覚えた。
性への欲望を共有する二人が、名前も事情も知らないまま血みどろに絡み合い、すれ違っていく無常。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月7日
股間を執拗に狙う笑いを取り入れつつも、生死の現場をなまなかには扱わないスタンスが見えて、好きな殺陣だった。結局周五郎が死んじゃうところ、それがうさ忠の手柄ではないところが良い。
そして艶笑から人情、アクションと揺れ動いた話をコメディに一気に引き戻す、豪腕のオチ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月7日
思わず吹き出してしまうひっどい展開だが、そういう色合いがまた人生の妙味であり、作品の楽しさにもなる。親父で止めずに。『女将お前まだ現役かよ!』と、ツッコミどころがWで襲ってくるのがヒドい。
思わず『真っ直ぐってそういう…』と呟いてしまう良いオチがついて、今回の話はお仕舞い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月7日
血生臭く世知辛い顔だけではなく、可笑しくてやがて哀しい愚かさもまた、作品が切り取る人生の表情である。そう高らかに宣言できる、名作コメディだった。いやーヒドい、ヒドくて面白い。素晴らしい。
鬼平追記。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月7日
大オチのひっくり返しが今回機能しているのは、親父の遺産が少なかったり、うさ忠の狂いっぷりが印象的だったり、オチにつながる筋道を巧妙に組み立てているからである。
意外性と納得の同居が、猛烈な火力のオチを生むのである。笑いは難しいが、決まると効果抜群であるな。