幼女戦記を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月17日
総集編だったが各話要素の繋ぎがスムーズで、主役視点から戦況の推移を振り替えれる、良いまとめであった。
空間的に色んな場所に行くし、第1話で時系列シャッフルをやったんで、『想像してたより俺混乱してたんだな』と、見終わって思った。スッキリである。
こうしてまとめて見ると、とにかく政治レベルの衝突や調整を飛ばし、軍事の現場にカメラを限定して進めているのが理解る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月17日
撃って殺して出世して、部下ができて殺して勝って。
殺傷と快楽のループを俯瞰してみると、では闘いはどこに行って、『出血を強いた先の有利な講和』をどう実現するかは不明だ
状況全体は政治の一手段としての戦争を切り取りつつ、一人称的視座では戦争それ自体しか描かない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月17日
主人公の興味は常に近視眼的だし、立場的にも政治にかかわらないのでそれは正しい。現場レベルの超絶チートで血が沸き立つし、俯瞰して盲目の愚者をバカにする快楽も獲得できる。
一極集中で描き続けるので、どこに目をやれば良いのかそんなに迷わないし、一貫性が出てきて比較的嘘が少なくなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月17日
作者達は常に冷静に、政治の一手段でしかない戦争を忘れないことで、主人公のトカゲ人間っぷりもいい具合に浮き彫りになる。よく出来た配置だ。
これを飲み込めるのは、主人公が『どうしてこうなった…』と言いつつ、流された(もしくは選び取った)状況に対しては一生懸命に、実力の限りを尽くして頑張っているからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月17日
クソみたいな世界の幼女に押し込まれたら、軍学校に入って幹部を目指してトップを取り、部下を押し付けられたら鍛える。
エースを期待されている時はエースを、戦争を長引かせる転生者を期待されている時はそれを。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月17日
作品と読者が望む仕事を、ターニャはグダグダ文句垂れつつ頑張ってやってくれる。本意ではなくとも、状況に対して手抜かりなく、必死にやってくれる。
そこに人情がないとしても、その態度は気持ち良いのだ
無論、ターニャの願いはかなわない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月17日
後方でグダグダ出来ると願った自爆やら過剰な訓練やらは評価対象になり、あっという間に地獄に帰る。
その巧く行かなさは、彼女の人格の悪さへのある種の『お仕置き』としてカタルシスを生むし、何がどうなっても戦争の現場からカメラが離れない構造を強化する。
共感能力が欠如した彼女は、人殺しをいとわない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月17日
自分の出世、自分の安楽のために他国民が死ぬことは、帝国軍人としては倫理的にも正しい行動であり、歯車はミクロでは噛み合っている。
人間としてどうか、その結果国家全体がどこに流れていくかというマクロの視点からはズレるが、それも楽しい。
今回モノローグを多用した総集編で、クローズアップ基軸の一人称的視座、ミクロの物語が再構築された。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月17日
そのことで逆に、国家全体のマクロな物語に強く関与しつつ、価値観や直接的影響範囲がそこに触っていない矛盾もよく見えた。
極小の喜劇と極大の悲劇は、連環しつつ交わらない。
作中のミクロ/マクロだけではなく、異世界というフラスコの中で、愚者が生きたり死んだりを安全圏からあざ笑う、底意地の悪いメタレイヤーもまた、相当に意識されているし操作されているのだな、という気にもなった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月17日
チート人間の根本的な間違いを笑うのは、正直気持ちが良いものだ。
幾重にも重なった、有限と微小のパンセ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月17日
巧く再構築されたターニャ個人の物語を追いかけることで、戦場全体、政治全体、作品と作品の外部全体がぼんやり見えてくる、面白い総集編だった。
戦域レベルではムテキングなチート大隊であるが、こっから状況が転び、戦闘が推移していくのか。楽しみだ。