ACCAを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月21日
折り返しの七話、クーデターの輪郭をなぞりつつジーンのゆったりとした日常は続く。ニーノとデートとかもする。王様とお話も。
と思ってたら、超特大の秘密爆弾が炸裂し、いろいろ考えてた視聴者としては動揺せざるを得ない勝負の回だった。おいおい、聞いてないよ(満面の笑顔)
冒頭、ジーンは自分の置かれた状況と、クーデターを巡る区・国・ACCAの状況を沈思黙考、まとめ上げてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月21日
ゆったりと雰囲気の良い日常描写の中に、かなりの情報量とアクターを詰め込んでいるアニメなので、このタイミングでまとめが来るのは嬉しい配慮だ。
ジーンは『クーデターの橋渡し役』というロールを押し付けられ、各区の反応を拾い集め、伝達する密使として機能してしまっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月21日
自覚がないのに重要なピースになってしまっているのは、王族に連なる出生の秘密と同じだ。過去と現在、王家とACCAの結節点としての、ジーン・オータス。
流される状況の中でも、ジーンは自分なりにクーデターの総体を考え、ACCAの責務を考え、自分のモーブ本部長への恋心を考え、自分なりの立ち回りを崩さない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月21日
ぼんやりと眠そうな目の奥で、ジーンは冷静に川の流れを見据え、自分をどこに行き着かせるかよく考えている。頼れる主役だ。
しかしジーンを押し流す謀略の川は、一個人が抵抗できる分を超えて分厚く太い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月21日
ジーンがクーデター(とその背後にある、王室の過去)に追いつきそうになるたび、国家や区やACCAという巨大なものがジーンを追い越していく。この追いかけっこのタイミングが絶妙で、サスペンスの面白さを与えている
ジーンは人間を遥かに超える謀略の装置であると同時に、食と家族を愛する良き市民でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月21日
これまでも描写されてきたことだが、ニーノとイチャコラしたり、ロッタちゃんの無垢さが強調されたりする今回は、特にその色合いが強く出ていたと思う。
ほんま今週のロッタちゃんは天下一品やった。最高。
魔法のように可愛らしいお菓子を夢に見て、子供のように喜ぶロッタ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月21日
薄暗い陰謀のなかで必死にジーンが自分を保とうとするのは、彼女(が象徴する甘い平和)を守りたいからだ。
大義名分や理想ではなく、血の通った、味のする『私』を守るために、彼は『公』に、過去に向かい合うことになる。
『ひどく薄ぼんやりした主人公だな』という第1話の印象から、7話付き合って『なるほど、ジーンはそういうつもりで物語に挑んでいるのか』と納得し、信頼できる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月21日
こういう変化があるので、お話を読むのは楽しい。物語が進むごとに、キャラクターを知り、お話を知り、好きになっていく変化。
そんなジーンに落ちてきた、メガトン級の爆弾。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月21日
33年前の第二皇女の死、忘れ形見としてのオータス兄妹。
クーデターの背景に王子の即位があることを考えると、これはとんでもない情報であり、全てがひっくり返るネタだ。
同時に、これまで不鮮明だったところに色々納得も行く、いい暴露でもある。
色々と要素はあるが、個別に見ていこう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月21日
作品の柱であるクーデターは、区ごとの格差を国がまとめきれないこと、その仲介役になるACCAに次期国王である王子が好意的ではないことが理由にある。
王子は唯一の王位継承者なので、その意向は無視できない。即位すれば、国は乱れる。
ジーンが第一皇位継承者であることがわかったことで、この前提がずれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月21日
ACCAに所属し、区の現状をその目で見て、暖かく個別の視線を向けているジーンが国の舵取りを担うとなると、クーデターで区の立場をあげる必要がなくなってくる。『国』への『区』のクーデターは不要になるのだ。
それと同時に、王子の代わりにジーンを王室にねじ込む、別のクーデターが発生しかねない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月21日
この時、ジーンはクーデターの仲介役どころか、その中心に祭り上げられることになる。陰謀の見取り図は見事に回転する。
これに対抗する形で、王子が強権を発動するもう一つのクーデターも、また在りうる。
このように真実が一つ明らかになることで、ジーンは傍観者から仲介役へ、そして陰謀の中心へと、ドラスティックに立場を変えた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月21日
ACCAの各長、王室の各アクターがこの状況を前にどう動くかで、ジーンの立ち回りもまた変わってくるだろう。陰謀のチェス盤はまた別の局面へと動いたのだ。
同時に、ニーノが抱え込んでいるもう一つの影も明らかになり、そして深まった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月21日
ニーノがグロッシェラー長官の秘密スパイであるという一枚目の秘密は、それを受け入れた上で変わらぬ友情を維持してくれるジーンの対応で、巧く収まった。スパイでも友達は友達だ。
しかし王子を守る騎士としてはどうか
ニーノがグロッシェラーに報告した後、全く違う口調で報告していた存在。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月21日
橋の上での通話の相手も同じであると考えると、それは王室枢機院長クヴァルムとつながりがあり、ジーンとロッタを守り続けてきた存在、ということになる。
その命を受けて、ニーノはジーンを見守り続けてきた。Wスパイだ。
これに対応するもう一つの真実が、33年前の事件なのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月21日
その事件で死んだとされる第二王女がジーンとロッタの母親だとすると、一回目の事故で死を装い、王室から開放されて『オータス』になった、とかんがえられる。
これは大規模な偽装工作であり、協力者がいるのは間違いなだろう。
ニーノ→仲介者(アーベント?)→クヴァルムというラインが33年前の偽装を担当したのは間違いないと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月22日
問題は、その事実がクヴァルムで止まるか、王まで上がっているか、だ。
クヴァルムの独断で王女を王室から開放したのか、王の決断をくヴァルムが支えたのか。現王の器に関わる差異だ。
偶然にしては出来すぎた、ケーキ屋での王とジーンの邂逅。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月22日
もしかすると第3話のパーティでの遭遇まで引っくるめて、王が望み、クヴァルムがお膳立てした必然だとすると、王とクヴァルムはお飾りどころではない、とんでもない知恵モノということになる。クーデターの中枢に刺さりかねない。
王子と第二王女、現在と過去が並ぶ肖像画を前に、王は『両方良いと思う』と答えた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月22日
様々な因縁と利害、欲望が絡み、ギリギリのところで成立している王国。
その全てを幸せな形に収めたいと王が願っているのならば、そしてそれが可能な知恵と長い腕があるなら、話全体の見取り図が変わってくる。
不満を募らせる区と機能不全な国家、それを仲介するACCAと、敵対的で狭量な王子。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月22日
この対立の構図を包み込むように、どうにか現状を維持しようとする王、その長い手であるクヴァルム、彼が守ろうとしている第一王位継承者ジーンというポジションに、主人公の立場がズレていくのだ。
物語の辺境から結節点、中心へと移り変わってきたジーンの立場は、33年前の事故、秘められた第二王女の存在が暴露されたことで、お話の大枠であるクーデターの構造自体を引っ切り返しかねない、特異点へと変化してきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月22日
非常に面白い変化だと思う。ジーンのことが判るたびに、物語自体が変化する。
ジーンはぼんやりした男なので、辺境、結節点、中心、特異点、どの立場にも成りうる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月22日
そのあやふやさがクーデターの行方と巧く重なって、先が読めない、だからこそ読みたいサスペンスの魅力を増幅している。
複雑化し加速する状況の中で、ジーンは何を選ぶのか。とてもドキドキする。面白い。
かくして、ぼんやり男のジーンは物語の行方を左右するアクターの一人となったわけだが、その行動に大きな影響を及ぼしているのが、モーブ本部長への純愛だというのはとても面白いし、素敵だし、好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月22日
ACCAへの忠誠も、日常への愛着もあるけども、好きな女の守りたいものを守りたい気持ちも強い
そこら辺の純情が明らかになりつつ、モーブの足場や価値観、望みが見えてくるのが彼女の『故郷』だというのは、非常にこのアニメらしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月22日
パスティスにしろグロッシュラーにしろリーリウムにしろ、みな『故郷』をジーンが訪れることで、仮面の奥の本音が見えてきた。モーブも同じなのだ。
ロッタがさり気なく告げたように、『みんな自分の区が一番』なのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月22日
それぞれの風土と文化が表現する価値観を、その土地から生まれたアクター達は背負っている。
実直誠実なロックスの気風、閉鎖的で貴族的なスイツ、王と国家を尊ぶドーワー、強い女たちのコロレー。
『各地区を巡る監察役』という職務を、上手いこと世界観の構築、キャラクターの特徴づけ、物語の構造に活かした運び方だなぁと感心する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月22日
ジーンが訪れた場所に紐付けられたキャラクターの真実がめくれることで、物語と陰謀は新しい局面に入り、勢いを増していくわけだ。フラワウ訪問が楽しみだな。
そしてジーンの訪問には、必ず帰還するべき中枢がある。それはロッタが日常を送る場所であり、同時にACCA本部が存在する陰謀の中心でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月22日
来週ニーノはどういう札を明らかにするのか。それを受けて、ジーンはどう動き、それが周囲にどう波及するのか。とても楽しみだ。
最初は結構のんびりと、中枢と辺境がダンスを踊り、そこを主人公が防寒してきたこのアニメ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月22日
徐々に主人公の重要性がまして、今回一つの真実が明らかになったことで、ダンスの主役が一気に変わった印象がある。しかし、踊っているのは同じダンスだ。語り口も、じっくり作り上げてきたものだ。
心地よい急旋回でショックを楽しませつつも、話が滑り落ちたり、キャラクターが豹変するような激変は置きないという安心感も同時に確保する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月22日
語り口の見事さ、世界観を積み上げる筆の確かさ。
このアニメの強みを再確認しつつ、新しい展開に期待が膨らむ、非常に面白い回だった。来週が楽しみ。