前回沙綾の人間力の高さ、便利さを掘り下げた分、今回はその難しさをじっくり描く回だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月5日
優しいからこそ心が痛くて、後悔にがんじがらめにされて動けない。いい子ってのは良いことばっかりじゃないなあ…としみじみ思いいる展開は、なかなかに奥行きがあっていい。
今回はとにかく紗綾の前に壁がある回で、ベランダの洗濯物からバンドをやってる体育館の扉、心情を吐露し合う私室のフローリングまで、あらゆる状況で彼女をレイアウトが隔離する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月5日
周りの人の愛情に、何も考えずに飛び込む訳にはいかない常識人の悲しさと優しさを、映像で強調する作りだ。
壁とはつまり葛藤で、バンドをやりたい気持ち、音楽への胸の高鳴りは沙綾はずっと持っている。しかし、それに従って走り出すには彼女は周囲が見えすぎているし、優しすぎるし、荷物を抱えすぎている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月5日
パンクスどもが大暴走するのとは正反対の悩みで、なかなかに対比が面白い。
障壁の描写としては、部屋に上がり込んだ時沙綾が一回も目を合わせようとしないところと、いざ文化祭お店開店! となったときに、人の輪から離れて一人で立っている姿もそうか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月5日
『みんな』に優しい『いい子』であるためには、自分を見つめていては出来ないことがある。それは優しいけど寂しくもある
そんなパンクス代表の香澄が今回よく泣いたのは、僕は良かったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月5日
お話のエンジンになるべく常時アクセル全開で、一緒に乗っている輩がぶっ飛んでも気にしない無神経さがある香澄も、他人のために泣くし、今は踏み越えられない一線を前に躊躇もする。
そういう震えがあると見せるのは、大事だ。
前のバンドの子たちがとにかくいい子で、優しくて、だからこそ沙綾を開放してあげられない様子も、今回丁寧に切り取られていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月5日
悪役を作らず乗り越えるべき障壁を納得させる、うまい運び方だなと思う。『重そう』『見るからに面倒くさいレズ』とかほざいて、マジすいませんでした。(土下座)
『他人のために気を使って、それで楽しいって言えるの?』という沙綾の告発は、そのまま優しすぎる彼女の生き方に跳ね返ってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月5日
何が問題なのか、いい子で都合のいい子で頭の良い子である彼女には全部分かっているけど、どうしても踏み出せない。優しい人たちも、踏み出させてあげられない。
そこで状況を打破するのが、主人公にしてパンクス、ロックンロールのアヴァタールたる香澄であるというのは、唯一性があっていい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月5日
思い込んだら一直線、他人の痛みを知りつつも気にしない突破力だけが、『いい子』の檻をぶち壊し、沙綾の胸に鳴り響くロックンロールを開放しうるのだ。
優しさよりも、荒々しい強さが問題を解決することもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月5日
強い主人公の唯一性を示しつつ、強さの裏にちゃんと優しさもあると示して、うまいこと解決への道を舗装していく話だった。
いい子だからこそ厄介な沙綾の重たさ、面倒くささもちゃんと取りこぼしなく拾っていて、いいエピソードだったと思う
他のメンバーも『らしく』て、『アタシはこれが食いたかったんだよ』と言いつつパピコ半分あげたり、香澄以外の前ではなんとか自分を取り繕ってたり(つまり香澄とバンドメンバーの前だけは素の自分でいられる)、めんどくせーツンデレで沙綾に『来いよ』って言ったり、有咲は最高に有咲だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月5日
香澄は自分の気持ちを真正面から叩きつけて、その余波で妹を泣かすやり方しか知らないけども、有咲はいい子でありつつも悪い子でもあるので、一旦場をお開きにする選択肢も取れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月5日
ここら辺の役割分担が気持ちよかったな。マイペースながらトスあげるおたえも、引っ込み思案だけど優しいりみりんも。
沙綾の問題は『みんな』が先行しすぎて『わたし』がどこにもない、意識して消滅させているってことなんだろう。そのくせ勘所では『みんな』を一切頼らず、『わたし』一人で決めてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月5日
『わたし』を暴走させた結果『みんな』を巻き込んだ香澄とは、正しく正反対なんだな。面白い。
香澄と顔を合わせないのは、真っ直ぐな瞳で見つめられたら本心を隠せないことが、沙綾自身も分かっているからだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月5日
バンドがしたい、でもできない。このジレンマを突破するには今回一話では足らなかったが、地ならしは出来たし、本当にやりたいことの輪郭もちゃんと見えた。
あとは真っ直ぐに走るだけなんだけども、思わず周りを見ちゃう優しい『いい子』にはそれが何よりも難しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月5日
『いい子』を『悪い子』に変えてくれる最後のトスを誰が上げるか。受け取った後どう走るか。来週も非常に楽しみです。沙綾の中で鳴り止まないロックンロールは、どういう音なんだろうな。