鬼平を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月7日
アニメ鬼平唯一の前後編、その前編。これまで薄っすらと描写され作品に陰影をつけてきた鬼平の過去にグッと切り込み、盗賊と火盗改メ、ギリギリの境界線を守ってくれた偉大なる盗人の思い出話がじんわりと染みてくる、趣深いお話。
こういう経験をしていたら、そら盗人に夢も見る。
鬼平のお話の軸は『良いことをしつつ悪いこともすれば、悪いことと一緒にいいこともする。それが人間だ』という言葉に集約すると思うが、盗人でありながら剣の達人、人生の先達でありながら未来の敵でもある松岡は、濃厚にそういう生き方を体現するキャラクターである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月7日
良くも悪くも若さ迸る銕三郎に鮮烈な印象を与え、人生をまっすぐに整えてくれた恩人でありながら(だからこそ)、自分の人生はまっすぐには出来ない。デカいことを言いつつ盗人で、でも最後の一線を殴りつけて守ってくれもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月7日
分かれ道を間違えた大人と、間違えなかった子供。二人の妾腹の対比。
『本所の銕』自体が飲む打つ買う、ついでにケンカで大暴れと放蕩を極めつつ、その温羅には妾腹と蔑まれる辛さ、親父が自分を守ってくれない悲しさがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月7日
いろんなものが背中合わせのまま、複雑に渦を巻いている人生に、決定的な転機というものがやってくる。それに乗れる運、乗り遅れる不運。
苛烈な火盗改メであり、良き父、良き夫、良き上司である平蔵をしっかり描いてきたからこそ、まったくもってそうは見えない放蕩野郎の鐵の姿が妙に痛快で、でも痛ましくて、不思議な味わいを持っていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月7日
松岡先生の言葉を、同じく放蕩してる(むしろおとなしい方)の息子にしっかり繋げるオチも快い。
時間が巻き戻ったことで、とんでも核弾頭の鐵に振り回される左馬の人の良さとか、まだ髪が黒い彦十とか、キャラクターの意外な顔を見れたのも面白かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月7日
悪いことたくさんしつつも、寂しい鐵さんに常に付き従って見捨てない左馬は、良いやつだなぁ…松岡先生の微妙な目のかけ方の差も面白かった。
切なさと人生の不思議さがたっぷりつまりつつ、どっかひょうきんなのも今回の良いところで、『出会え、出会え!』からの『出会うな、出会うな』とか、突っかかってボコボコにされる鐵とか、気持ちのいい笑いだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月7日
イイ話成分と同じくらい、笑いのセンスは鬼平にいい味をツケてくれる強みだなあ。
思い出は空蝉のように儚く過去に置いてけぼりにされ、そこから抜け出した八月の蝉の行方は知れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月7日
世をひねくれた鐵の殻を破って、火盗改メ・長谷川平蔵を生み出した恩師の現在は、後編で語られることになる。個別の過去編として鋭く、非常に期待を煽る前編でもあって、来週が楽しみになる。
長谷川平蔵誕生秘話をじっくり、印象的に描き、主役のバックボーンに何があったのか、しっかり理解させ楽しませる。良い過去編だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月7日
この助走を受けての後編、どういう人生の不思議さに向かってお話が飛び込んでいくのか、非常に期待が強くなる。鬼平アニメは本当に面白いなぁ。