3月のライオンを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月18日
最終回ッ! というわけで、零くんの新しく憂鬱で素晴らしい新学期と、戦士の軌跡の二本立て。
どう〆るかなーとずっと楽しみだったのだが、"ファイター"からの"ファイター"という最強コンボがビシっと決まり、二期に繋がる素敵な終わり方だった。
将棋と青春。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月18日
絡み合う二本柱で進んできたこの話にふさわしく、AパートとBパートを明瞭に分けてきた今回。
零くんの実りある現在(から繋がる未来)と、世知辛く厳しくも真剣な過去を呼応させ、将棋がある世界とない世界、両方をしっかり描いて奥行きを出していた。
Aパートは二年生になった零くんがぼっちに悩む話であり、過去編で明らかになる孤独と同じものを、今でも抱えていることが示される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月18日
しかしそれはあくまでコメディ調に笑い飛ばせる深刻さで、向かい合う対局相手だけではなく、手を引いてくれる先達も隣り合う仲間も、今の零くんにはいる。
将棋の列車に乗って、もしくはそこから降りて飯食ったり三姉妹と遊んだり香子とイチャイチャした結果、零くんは別のものを手に入れた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月18日
兄者の背中を見て、みんなの中に入っていって何かを為すことに、切なるあこがれを抱くようになった。その過程を、22話僕たちは見てきた。
2クールじっくりと、派手な話も地味な話も、痛い話も優しい話もひっくりめで進めてきた構成がこういう他イミングで生きる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月18日
零くんが勝ち取ったものも、そこに至る歩みも、色んな色彩で彩られた、とても大事なものだ。ありがたいものだ。そういう気持ちにシンクロできるよう話数が積み上げられている
ナイーブな零くんを受け止め導いてくれる、野口先輩と先生の圧倒的人間力がじんわりと刺さる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月18日
俺やっぱ野口先輩好きだなぁ…大人の風格があるよ、高校3年生なのに。まぁ零くん面倒くさすぎて、精神年齢チートさせないと問題解決できなかったて話だと思うが。でも好き。
何もないからしがみついた将棋。それで他人の家を壊し、冷たい街に彷徨いい出ることにもなったが、それが連れてきてくれたのは哀しいことばっかりじゃない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月18日
一つの結末として、なんだか不思議で暖かい『将科部』を置いたのは、凄くいいなぁと思う。『女の子じゃないんかい!!』って感じもあるが。
Bパートはキタノブルーめいたフィルターが印象的な、過去回想のお話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月18日
学校という場を同じくすることで、Aパートと面白い対照が生まれている。
伸びた背、やっぱ理科が好きな零くん、『お前は頑張ってるから、頑張れとは言わない』林田先生と、『あ、そっか』の先生。変わったもの、変わらないもの
零くんがお辛い人間だというのは22話見てきた視聴者は重々承知の上だが、すごーく日常的なハブりの風景が、逆に生々しさを加速させるというか、これあmでの深刻な冷たさとはまた違うしんどさを巧く出していた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月18日
溶け込めない不器用さと、社会と擦れ合う痛み。覚えがあるだろ! 俺も、あんたもッ!
さておき、『普通』に生きていく方法がわからなかった零くんは、将棋においては『普通』どころではなかったため、収入としても社会的生物としてもなんとか、生きる道を見つけられた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月18日
しかし、形だけ整えば生きていけないのは、序盤の溺死寸前の弱り方を思い出せばすぐに納得行くところだ。
そんな彼が『普通』の川本三姉妹と出会い、飯と家のある『普通』の幸せを体験し、(実はそれが『普通』でもなんでもない痛みを伴っていることも学習しつつ)自分が案外『普通』に取り巻かれていることに気づく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月18日
あの青い風景の先には、いい景色が広がっていることを、最終話まで見た僕らは知っている
そこまでたどり着けたのはやっぱり、必死に将棋にしがみついて、呻きつつ指し続けていたからなのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月18日
将棋だけが世の中の救いではないが、少なくとも零くん(とこの作品)を構成する上で絶対に欠かせないパーツでもある。そこら辺をバランスよく称揚する、良いまとめだったと思う。
かくして、零くんの物語は全然終わらない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月18日
二年生は始まったばかり、将棋だって全然途中、三姉妹との関係もいい塩梅に宙ぶらりんだ。
二季があるのは本当に嬉しいが、しかしみっしりと零くんの人生を描いてくれたおかげで、一期単品でも十分以上の充実感がある。
全体を思い返してみると、個人的には『水』を見つけたことが大きかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月18日
今回もラストで小さく主張する、気泡がごぽりと音を立てる水。乾きを癒し、喉を締め付け溺死させ、雪になったり雨になったり、様々に変容する穏やかで激しい致死性のフェティッシュを、このアニメは演出の軸に入れていた。
静かで冷たく湿っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月18日
主人公たる零くんの精神性を見事に反映したこのモチーフは、流れて変容していく物語全体も見事に照射し、様々なシーンで様々な役割を果たしていた。
人生の多様性を写し取る『水』を見事に使い切ったことで、零くんを取り巻く世界の複雑さを、綺麗に伝えられたのではないか
自分が見つけたものに固着しすぎているきらいもあるが、しかし実際の映像に息づく『水』の多様を見るだに、あながち的外れでもないと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月18日
音と色がつき、動きがあるアニメーション・メディア。その利点を活かす意味でも、『水』を常時画面に捉え続けてきたのは、発明だし勝因だったと感じている。
話全体としてみると、シビアで冷たい部分、暖かで楽しい部分、アップテンポなコメディと、胃がキリキリする人生の勝負。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月18日
様々な色彩を多彩な演出方法で見せてくれて、毎週面白かった。原作を大事にした語り口はどっしり分厚くて、亜に目で見たい部分を見たい方法で見せてくれていた。
シャフトという制作集団のエゴは、早々抑えられるものではない。様々な『アニメーション』に挑戦するアバンギャルドさを、荒れ狂う零くんの世界を切り取る筆として活用することで、そのエゴは巧く方向付けられ、作品の土台になっていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月18日
俗っぽい言い方をすると『いいシャフト』だった気がする。
22話という長丁場の中でも、エッジの効いた演出を毎回入れて、単純な『動く絵』としての驚きを新鮮に供給してくれたのは、楽しい体験だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月18日
三月町と六月町、2つの『街』の美術を見事に対応させていたのも、切れ味鋭かったな。あのシャガールの月をみるたび、ホームに帰ってきた気分になった。
川本家が代表する『普通』の暖かさと、将棋が代表する『普通ではない』厳しさ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月18日
この両方を大事にして、お互いが価値を高めていく両輪なのだ、という姿勢を崩さなかったことも、バランスが良かった。どっちかだけを高めて描いてしまいがちなところなので、原作のテーマをよく汲み取って走り抜けた感じ
キャラの描写も良かったなー、ひなちゃん可愛かったし(ペド野郎逮捕)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月18日
(釈放)
シャフト演出と麻里奈声がつくと、香子の存在感とエロティシズムがぐんと際立って、『あ、この子こんなにイキイキしてたんだ』という感想が出てきた。エロかったなーアニメの香子。零くんが義姉好きすぎなのが善い。
ポップで元気なシャフト演出がキャラの生気を強調してくれることで、群像劇としての広がりと味わいが出たのも素晴らしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月18日
島田八段は零くんのメンターとして、一勝負師として、後半のエピソードをガッチリ背負う良い働きぶりでした。あとニカな。お前は最高のマイ・ボーイだよ本当に…。
何より一番巧く描けていたのが、ナイーブな戦士である主人公・零くんだというのが、とても良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月18日
彼の目を通して僕らは、この複雑で暖かく厳しい作品世界を見るし、彼が物語の展開を一番大きく背負う。屋台骨であり、世界の窓でもある彼の描画は、そのまま作品のキメに直結する。
モノローグと幻想的で自由な画風を多用し、零くんの内面世界を巧くアニメーとしたこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月18日
その外側にある世界を描く時は、感情を込めつつも客観的な描画を心かけたこと。
演出の線引が巧く行っていたことは、零くんとその周囲の世界を活写する上でも、非常に良い手筋だった。
孤独で、冷たい水に溺死しかかっていた少年が、暖かな桜の季節の中で、陸に上がって息ができるようになるまで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月18日
最終話Aパートの描写と繋いでいくと、一少年が人生の泳ぎ方を不器用に学習していく一年間が、しみじみ浮かび上がってくる。そのじっくりとした歩み方が、僕はとても愛おしい。
非常に良い原作を、非常にいいアニメにしていただいて、とても嬉しく思っています。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月18日
半年間お疲れ様でした。またすぐさま二期が来ます。そこに期待を高めつつ、今はしっかりと走ってくれた2クールを思い出し、幸せな余韻に浸りたい気持ちです。
3月のライオン、いいアニメでした。ありがとう。