ケモノフレンズを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
フレンズの能力を遥かに超えた大災害、巨大セルリアン。それに立ち向かうハンターたちと、独自の道を征くかばんたち。2つの道が交錯する時、背中合わせの希望と絶望が牙を向く。
物語のすべての要素が一気に集約し、クライマックスの高みに押し上げるエピソードだった。
今回の話は非常にシビアな難易度設定で、これまでなんとかなっていたフレンズのほんわかルールがあまり通用しない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
犠牲を前提とした現状判断。戦闘がゲームではなく状況解決手段になり得る状況。これまでとは違うゲームが展開されるが、『急にシリアスになった』とは感じなかった。
それはサンドスターやセルリアン絡みの設定をこまめに見せ、世界の輪郭がシビアなものでもあると見せてきたからだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
楽しくも厳しい小さなシレンをしっかり描き、楽しいだけではなく試される物語のルールを視聴者に体感させられたからだろう。
別のものになったのではなく、角度を変えたのだ。
そう思えるのは人類のいない不思議な楽園に、しっかり死と破滅の匂いを漂わせていたからでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
ポスト・ヒューマン世界の静寂と清潔は、あるべきものが消え去ってしまった空白を前提とする。その空白があってこそ、理を捻じ曲げた美少女動物園は存在しうる。
これが徹底して描写されてきたからこそ、死と破滅の権化と言える巨大セルリアンが暴れまわっても、世界が変わってしまったのではなく、これまでは画面の端っこで切り取られてきたものが、いよいよ表に出てきたという感覚になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
けものフレンズの強力な武器である多様性が、展開で活きた形だ。
その上で、これまで僕らが見守り、とても好いものだと思えてきた『いつものけものフレンズ』もまた、角度を変えて大事にされる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
友を受け入れる気持ち。難局を打破する知恵。友愛、協調、勇気はむき出しの『死』を前にしても萎えることなく、奮い立ち吠える。『私はこういう物語を歩んできたのだ』と
セルリアンの攻撃を前に、サーバルちゃんがかばんちゃんを身を挺して守ったこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
征くか逃げるかの選択を前にして、友の命を助けることを決断したかばんちゃん。
それはこれまでの楽しい大騒ぎと何も変わらない、彼女たちの美しさだ。涙がでるほど切な、命の決断だ。
今回のお話は、かばんちゃんに幾度も決断を突きつける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
ヒグマと現場に向かうか、山に行って原因を究明するか。
これから先の大きな犠牲か、友の小さな、しかしかけがえのない犠牲か。
決断を生み出す圧力は『死』あってのものだし、そのことでかばんちゃんの成長、これまでの物語も試されている。
悩み、考えつつ、かばんちゃんは選ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
それはサバンナで出会い、様々な場所を通って『すごいこと』をたくさんしてきたからこそ可能な、たったひとつの決断だ。
それをちゃんとやってくれることで、僕らは一体何を見てきたのか、しっかり確認できる。終盤まさにかくあるべしという展開だ。
これまでこのアニメは、時間軸を乗り越えて想像できる特権を、ヒトのフレンズたるかばんちゃんの特権としてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
目の前に立ちふさがる現実を少し避けて、一体何が原因で問題が起きているのか、過去と未来に目を向けること。そして想像を実現し現実を変化させること。これは主人公限定の能力だった。
状況がおバカコントを許さないので、ヒグマとフェネックは非常に賢く立ち回る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
アライさんの近視眼的暴走を巧く操り、シビアな『死』を前にしてかばんちゃん達の手を取らない選択肢を初めて選ぶ。
ヒグマは正しく、『これ以上の犠牲者』というハードな未来を想像し、回避するべく行動していた。
その上で、ヒグマの『近い現実』を見た決断ではなく、これまで共有してきた過去と、その行動によって手に入れる未来と希望を鑑みて、かばんちゃんはたった一人を守るために、木を登り、縄を編む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
かつてサバンナで、ジャングルで発揮された能力が、別の形で顔を出す。
サンドスターの力を吸い取り、無限に再生・巨大化するセルリアンはヒグマ的知恵では対応しきれない災害だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
それを生み出す過去をしっかり把握し、『ミライさんのメッセージ』という蓄積された知恵を活用し、協力しながら行動することで、四神の封印は復活した。状況打破へのロードマップが見えた。
ヒグマは勇壮で、知的だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
戦うことで守れるものをしっかり把握し、自分にできることを最大限発揮する戦士だ。
因果関係を把握した上で、最大の結果を出すために決断を続ける彼女の偉大さを、主人公と対比しつつ貶めなかった。非常に良かった、そういうリスペクトがキャラにあることがありがたい。
かばんちゃんは『大のために小を諦める』ヒグマの叡智を飲み込めきれなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
甘いし、愚かなのかもしれない。
でもそれが僕らが見てきたかばんちゃんで、けものフレンズだったと思う。それを文字通り土足で踏みにじることは、このアニメ自体が許さないだろう。
だから、あの結末は未来に繋がる。
記憶を失った客人としてアニメに現れたかばんちゃんは、サーバルちゃんに信頼され、支えられ、守られながら、フレンズになった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
『私はお客さんじゃない、フレンズでガイドなんだ』と己を規定するシーンが刺さるのは、異物としてのかばんちゃんを巧く描けていた証拠でもある。阻害を乗り越えたのだ。
その決意に支えられて、『食べないでください!』と怯えていたかばんちゃんは、己を捨てて道を手に入れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
『寄る辺ない少女が己を見つける』という、非常にオーソドックスなジュブナイルの骨格を、本気で丁寧になぞったことが、猛烈に感情を揺さぶる結果を産んでいる。
かばんちゃんだけではなく、サーバルちゃんも常にかばんちゃんを信頼し、『この子はすごいんだよ!』と吠えたける『らしさ』を発揮していた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
アライさんを前にしての対応とか非常に優しく信頼感のあるもので、ここで確認しておいたからこそ、ラストの台詞が際立ちもする。よく考えられてるなぁ。
長々とかばんちゃんを追いかけてきたアライさん&フェネックが合流したこと含めて、今回のお話はこれまでのお話の土台に支えられ、同じものを描いている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
そういう信頼感、安心感、充実感は、11話的確に物語を積み上げてきたからこそ生まれる、かけがえのない喜びだ。ありがたい。
いつだって、かばんちゃんとフレンズは難局を打破してきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
だから最終話は、道のりの厳しさにふさわしく、何か大きなものを回収して終わると思う。
王道をトンチキな手法でまっすぐ歩いてきたこのアニメが、最後にどういう景色を見せてくれるのか。とんでもなく期待が高まる。楽しみだ。
追記
けもフレ追記。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
サーバルちゃんの死を目の前にして、かばんちゃんの想像力が暴走し、ヒグマの現実的認識がこれを正す一連の流れは、非常に精密だった。
目の前の現象に集中しきれない人間の迷いが、不要なパニックを生む。不動心にて対応するヒグマの一言が、これを断ち切る。
まさしく喝破である。
ヒグマの選びとった選択はちゃんと意味のあるもので、かばんちゃんには出来ないことをやってのけている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
それと同じように、かばんちゃんの想像力に満ちた選択肢にも意味がある。そこにたどり着けたのは、想像力を押さえ込んだヒグマの助けがあってのことだ。対立ではなく対照を描く筆が冴えていた。
追記の追記
けもフレ追記の追記。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
物語の角度が変わり、シビアさがグンと濃くなる今回の空気をちゃんと反映して、次回予告をビッと締めたのは、地味ながら大事なところだと思う。
あの終わり方から『ぺぱぷよこく~』ってやられてたら、正直オイオイってなってたけんな。目が良くて自制が出来るのはいいアニメ。
けもフレは序盤から中盤、肯定感満載のハードコアハッピーで脳みそを殴って作品に依存させておいて、図書館意向は迫り来る別れをじわじわ演出し、そこに目をひきつけておいて今週予想外の角度からドーンと殴りつける作りの巧さに唸る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
今週の展開が予想外なんだけども、納得してしまう事含めて。
あとミャミャミャ言いながら木登るシーン、笑えば良いのか感動すれば良いのか泣けばいいのか難しいシーンだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
愛するもの、頼りになる記憶を模倣するミメーシスの叡智と、失われたサーバルの魂を憑依させ激戦に挑むシャーマニズムと、美少女萌え仕草が高度に融合してた。