ACCAを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
13本のタバコが集まり、クーデターはいよいよ実行に向けて加速する。凶弾に倒れた友を前に、神輿になることを決意するジーン。支配と県営機を狙う本音をむき出しにしたリーリウム。未だ裸の王子。
様々な人を向け、船は運命の記念式典へと突き進む。
まさに! クライマックス!
最終回に向けて内圧をパンッパンにし続ける回だったが、まずは暗殺事件の顛末。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
身内が的にかけられた結果、ジーンの決断が決定的になるというイベントなんだけども、ニーノはほんと純愛だな…。それに報いるべく、クグツを覚悟で表に起つジーンからも、覚悟と侠気を感じる。
逃げる算段をしていた暗殺者達が『命を絶った』として処理されているのは、ニーノの負傷を内々で処理していたのと同じ動きだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
ここはフラワウ、花咲き誇る欲望の地獄である。リーリウム家の長い手が、小さな障害をまとめて握りつぶした、というところか。
プラネッタとフワラウ、地下資源を狙う2つの区が連続しているのが非常に効果的で、持たざるが故に心からの笑顔を浮かべる区と、持つがゆえに野心で嗤う区が、見事に対比されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
フラワウの野望はリーリウムの野望であり、クーデターの源泉でもあるから、この終盤に見せるのは最善手だろう。
『ACCA存続、公益の維持』というクーデターの大義は、あくまで看板である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
リーリウムが狙うのは『区』を国家中枢に据え、隠然と権力を振るうこと。正義のためのクーデターは、最初から実益のためのクーデターだったわけだ。フラワウ以外の『区』も、ACCAも、リーリウムの手から出れない。
この状況に手早く感づき、意義を申し立てつつ状況をまとめてくれる役なのが、スイツのウォーブラーなのが面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
彼が閉鎖された『区』で体験したクーデターもまた、空疎な看板を掲げつつガス抜きという実益を体現するための、仕組まれた陰謀だった。そんな彼だけが、仕組まれた絵の異常さに気づく。
ACCAや『国』、『区』という現実でアクターを絡め取り、全体像が見えたとしてもクーデターを止められない状況に追い込むのが、リーリウムの手筋だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
スイツは閉鎖され、現実から隔離された『区』であるが故に、ういォーブラーはこの構図から出て全体を見る目を持っている。面白い逆説だ。
ウォーブラーの看取った違和感があればこそ、ラストのリーリウムの暴露が見事に機能する。前兆としてフワラウの美しき腐敗を描いていたこと含めて、今回はエピソード単体での構成も、シリーズ全体での効かせ方も素晴らしく良かった。やっぱ巧妙に積み重ねられたクライマックスは、最高に盛り上がるなぁ
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
一方クーデターのもう一方の局、力なき王室の盲目の王子は、マジで人望なかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
キャラクターが軒並み『アイツよりジーンのほうがぜってぇマシ』と言い続ける辺り、ホント愛されてないキャラで、だからこそ閉じこもっちゃってる部分もあるのかなぁ、とか思う。
暗殺事件のスイッチを押したり、頑なに自分に閉じこもったり、王子は確かに愚物ではある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
しかし賢ければ善人ってわけでもないことは、リーリウムがゲップが出るほど思い知らせてくれているわけで、彼の愚かさがそのまま、クーデターでひっくり返される理由には繋がらないのだ。
身勝手でバカだけど悪いやつではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
難しいバランスを上手く保って王子は演出されていて、宮野真守もその危うさを見事に演じている。
『(リーリウムとは違って)完全にダメってわけじゃない』というメッセージが明瞭なので、彼の運命が『倒されるべき悪役』で決まらない心地よい不安が残る。
忠臣たるマギーが王子に欠けている視野を持っていること、それが巧く伝われば、ACCA廃止というクーデターの焦点が崩れそうなこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
食パンを巡るコントを丁寧に追いかけてきた結果、シリアスな場面で不思議な希望が生まれているのは、このアニメらしい妙味だと思う。笑いが現実に接続されている。
この『これまで見えていたものが、事態の変化に伴い一気に様相を変える』快楽は、クライマックスの醍醐味でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
ジーンが渡り歩いた13の世界が一気に集まり、賑やかで楽しい同窓会の様相を呈していたのも、総まとめの気持ちよさを強く味わった理由なのだろう。みんないるのは良いことだ。
ACCAはクーデターに強く関係するアクター達の描写も楽しいが、そこから離れた、どーでもいい日常を送る人々も素敵だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
陰謀の中心にいる人達は、そういうどーでもいい場所を守るために奮戦してもいる。それとは関係なく、日常は日常として輝いてもいる。光と影を描く筆は、多層的で豊かだ。
そういうものが全て混じり合う焦点として、記念式典とクーデターの行方がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
リーリウムの描いた絵のまま進んでいくのは良くないが、それをひっくり返す方法がうまく見えない。最後のピースを握っているのは、玉座に座る資格を唯一持っている主人公、ジーンだ。
ぼんやり顔で辺境をめぐり、事態の中心にはいなかったように思えた主人公が、気づけば全てのカギを握る立場にいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
この転倒の快楽も非常に見事なサスペンスで、来週が楽しみでしょうがない。マジであの遊佐ボイスの思いのままってのも面白くねーから、一発頼んますよジーンさ~ん。
この『ひっくり返してくれ! 俺には方法思いつかないけど!!』感は、リーリウムの絵の通りジーンが即位してしまうと、ロッタとの穏やかな日々も壊れてしまう、という認識が強化している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
あれはとっても良いものなので、自分の意志ではなく誰かの欲望のために踏みにじってはダメなのだ。
だから、ジーンは第3の答えを選び取らなければいけない。提示された絵から飛び出し、全てを解決する魔法をもぎ取らなければならない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
それが達成された時、彼は最高の主人公になるし、このお話も最高の日常サスペンスになるだろう。こういう期待感をキッチリ仕上げられると、感心するしかないな。
キャラが集合すると言うだけではなく、物語の要素、積み上げてきた伏線が一気にすぼまって、クライマックスへの道を作っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月21日
物語の醍醐味というべき興奮を存分に盛り上げてくれる、素晴らしい最終話一個前でした。
さー、滑走路は最高の状態だ。思いっきり飛んでくれ、ACCAの鳥よ!