バンドリを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月25日
ヤッター! 沙綾を倒した!! つうわけで新章開幕、去りゆく憧れの星が、どれだけ少女の心に光を宿すかをじっくり描く回。
バンドリ力の高い会話を堪能しつつ、スペースとオーナー、音楽を提供できる場所それ自体へのリスペクトがガンッガン高まっていく、良い回だった。
今回は土台作りの回で、何かがぐいっと前進したり、秘密が明らかになる回ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月25日
しかしこういうところでちゃんと気持ちを作ってくれると、作中の『現実』へのシンクロ率はアガるし、展開に納得もできる。それが可能かは『楽しい』かどうかだが、繊細な筆が足場固め回に熱を入れてくれた。
スペースへの愛情を視聴者に掻き立てる前に、沙綾を手に入れたポピパの日常を、まずじっくり流す。新しい機材との出会いがあり、みんなと一緒の時間があり、くだらねーお喋りが何よりも楽しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月25日
そういう時間をじっくり見せてくれたことで、乗り越えたものの値段も後付で上がる。
周りのことばかり見ていた沙綾は、迷わず自分のためにドラムを買う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月25日
おたえはいつも通りの魔球を投げ、りみりんはふわふわしていて、有咲は蔵弁慶でかわいい。
これらの状況の受け手として、主人公たる香澄を使うことで、狙った感情を視聴者に流し込む水路を作る描写がうまい。
視聴者は文字通り、展開される物語を『視て、聴く』受け身の存在であり、一歩引いたところから状況を見る香澄の立場は、これと重なっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月25日
このシンクロ率の高さは後半まで引いていて、香澄は基本的に能動的に何かを為せない。なので、『視て、聴く』。それが霞の今回の仕事の一つだ。
香澄の目を通して見えてくるスペースは、まるで夢の国だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月25日
キラキラのステージで夢を奏でるだけではなく、音響を準備し、ドリンクを出す下働きですら輝く場所と時代。
女の子のリアクションが独特で新鮮だから、その光にも血が通っている。トンチキであることの強みを、最大限活かしている。
今回は本当に、バンドリ式会話術が炸裂しまくる展開で、グリグリの一番やべーやつと、常識人のふりしてやべーやつが大暴れしていた。ミルホじゃん!!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月25日
賑やかで楽しいトンチキ人間たちが、それぞれ個性爆裂で好き勝手にいられる場所。揺りかごとしてのスペースの暖かさが、笑いと一緒に見えてくる。
無論、トンチキに駆け抜けているだけだと足場がなくなるので、そこはオーナーが担当する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月25日
厳しく欠点を指摘してくるけども、それは筋が通ったもので、しっかり育ててくれる年長者。夢見る頃を過ぎても、青春の輝きに目を開いてくれる理解者。
背筋のビッと伸びた『大人』の書き方は、子供たちがふわふわで自由なだけに際立つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月25日
オーナーが杖に頼る描写がさり気なく、しかし印象的に使われていて、彼女がどんなに優秀でも、ステージに立てる『主役』である時間は終わっていることを教えてくれる。それはガールズバンドの、主役の仕事だ。
一番後ろでしっかり視て、女の子の心の声を聴いて、声をかけてくれれるオーナーがいればこそ、夢の舞台で羽ばたける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月25日
縁の下の力持ちをしっかりやる展開、ババァが好きになっちまう展開を積んだ上で、ロゼリアの涙を拭ってやる運び方は、よく計算されていて火力が高い。ババァが好きになっちまうー!
今週は(作画的には決死の努力でカロリーを抑えつつ)楽器に触るシーンが多くて、そういう意味でも作品内部の価値観を下支えする回だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月25日
ゆるふわトンチキ女子トークもいいが、やっぱ音に触っているシーンで世界が満たされると、本当にロックが世界を支配しているんだなって実感が積もる。
そういう世界の中では、魔法は簡単にかからない。わざとヘッタクソに仕上げたオーディションの曲は、ポピパの現状を巧く伝えてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月25日
夢まで遠い状況の中で、しかし香澄はためらわず『やりきってる』という。それが香澄がただ『聴いて、見る』存在ではない証明だ。抑えて、最後に主役。良いメリハリ
ここまで付いてきた視聴者(ていうか俺)は、普通からはちょっとズレていて、ロックの鼓動が満ちたバンドリ世界が、結構好きになっていると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月25日
だから、香澄の胸を張った背伸びのことは認めてほしいし、それをしっかりやってくれるババァを更に好きになっちまうー!! 見事な運びだ。
魔法に手が届く『いつか』は、やってこない。スペースは閉店する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月25日
実は今週ラストのおたえの言葉は先週のヒキと同じ、つまり今週、物語の実質は先に進んではいない。
しかし、さんざんおたえ語の魔球をぶつけてきた彼女がシリアスな直球を投げる落差含めて、今回のお話は異常に仕事をしている。
視聴者を世界の中に引き込み、キャラクターと物語を好きにさせるという仕事。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月25日
それを達成するために、描写と展開を巧妙に積み上げ、独特の空気と価値観を生み出し、キラキラとドキドキで24分間を埋め尽くすこと。
クライマックス出だしに必要な要素を、見事にクリアしたエピソードでした。
とにっかくババァが好きになっちまう回で、彼女への香澄とパピポへの信頼と愛情が大事になるだろうクライマックスには、絶対必要な展開だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月25日
これで香澄も俺も、『絶対スペースに立たなきゃいけねぇぜ!』って気持ちになったし、それが重なるなら、物語は自分のものとして楽しくなるってことだ。
バンドメンバーや他のバンド、オーナーやお客さんの中にいることで、何かと自分を貫きすぎる香澄の身勝手さが和らぎ、優しさが強調される会にもなったかな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月25日
これは優しさだけでは前に進めなかった、沙綾回をやった副産物だとも思う。優しさと強さが相まって、ロックガールは無敵になるのだ。
これからポピパはステージでのライブに向けて、一直線に走り抜けるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月25日
それがどれだけ遠くて、暖かくて、大事なものなのか。最も共有されるべきものがしっかり視聴者の中に入った。ここからさらに、バンドリは楽しく、盛り上がっていくという確信がもらえる、切れ味鋭い一撃でした。面白かった!