ACCAを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月29日
高めに高めた緊張感を開放する、運命の記念式典。
騙さえていたものが騙し、仕組まれた爽快なる陰謀が決着を生み出す。
オサレでのどかなこのアニメに相応しい、見事な幕引きであり、濃厚な余韻を楽しませてくれる素晴らしい最終回でした。
王子だけが蚊帳の外で展開するクーデタだが、視聴者の率直な感想としては『バカだけど、そこまでされるほどか?』ってところ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月29日
むしろいけすかねぇ褐色陰謀野郎共のほうが反感買っているところで、リーリウム家だけを囲いから外す最後の一手がズバンと刺さり、凄く納得の行くどんでん返しであった。
蓋を開けてみるとこの一手しかないのだが、やられるまでは思いつかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月29日
サスペンスの最後の一手に要求される難しい手業を、綺麗にこなす一撃で、すごく気持ちが良かった。意外性もあるし、納得も出来るし、感情の流れにも沿っているし、誰も不幸せにはならない。見事だ。
クーデターというリアルを、演習というフィクションで覆い隠し、リーりう向けの野望を無化した上で、王子とACCAの対立構造を無効化する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月29日
これはACCAの正義を信じ、真摯さで人を変えうるモーヴ本部長あっての計画であり、ホンマかっこよかった。王子もジーンと同じく、失恋かなぁ。
この話は嫌いなキャラが基本いないのだが、王子も根本的には悪人ではないと描かれ、僕もそう受け取った。好きなやつである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月29日
なので、意固地で幼い部分を強力な一撃で崩し、真摯な助言がスッと入る解決は、話全体だけではなく王子にとっても善いものだと思う。親衛隊が忠義を見せたのも良かった。
食パンを食わない王子は、各地を回り文化に溶け込むジーンと鏡合わせになったキャラだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月29日
そんな彼が最後の舞台で己を改め、ロッタちゃんとの新しい出会いを受け入れ、少し変わる。小さな変化は大きな成長に繋がり、彼は結構良い王になるだろう。クーデターで地面に落としていたら、そうはならない。
『食パン』をフェティッシュに使うことで、王子が何にこだわり、なにが問題なのかを無言で可視化する演出は、この作品の中でも特に冴えた仕掛けだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月29日
ジーンが代表する寛大な多様性が、王子にとっては食パンで、それを受け止め食べることが、彼のエンドマークになる。作中、一番変化したキャラだ
あと妹ちゃんの圧倒的な『器』が示されたのも凄く良くて、あそこで叔母の殺意を許してしまうあたり、圧倒的な王器だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月29日
そういう鷹揚さはずっと彼女の美徳として生まれたもので、急に今回生えたわけではない。日常描写がクライマックスに接合されていて、無理がない。素晴らしい。
ジーンが玉座に座らなかったことで、ロッタちゃんとの日常もまた維持され、大きな変化は起きない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月29日
僕は二人が過ごす穏やかな日々がとても好きなので、それが損なわれることなく維持されたのは、非常に良かった。"鬼平"といい、
飯作画に力入れて展開の中で機能させるアニメは、やっぱ良い。
変わらないものもあれば、穏やかに変化するものもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月29日
フラワウは国になり、スイツは区になる。五長官は廃止され、ジーンは失恋する。
みんなが努力した結果手に入れた、少しだけ苦くて、でも幸せな結末。あれだけ大規模な陰謀を扱って、この爽やかさで駆け抜けてくれたのが、ACCAっぽくて好き
そしてニーノ大勝利なエンディング。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月29日
『ギャルゲーで攻略失敗したエンドみたーい』とか思ったりもしたが、彼が愛と勇気の人であるのは間違いないので、報われてよかった。
最後のライター拾うところに凄いエロティシズムが漂っていて、女性作家は大きな手が好きだなぁ、などと思う。
クーデターという大きなものを扱いつつ、主人公ジーンは常に、手と唇の届くものを愛し続けた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月29日
食事、服、目に見える各区の景色と文化、親友と家族。
それだけを大事にするのではなく、それを包む大きな存在、ACCAと国の大義も同じくらい尊重した結果、こういう始末になった。納得がいく。
終わってみると、バランスの良さが目立つ作品だったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月29日
過剰にオシャレだと思われていた美術とデザインは、スマートな話が真相に近づくに連れ、ドラマを彩るために欠かせない照明になった。世界がオシャレだからこそ、クレバーな陰謀撃に前のめりに飛び込んでいけた。
大義と日常、聡明と愚かさ、情と義。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月29日
いろんなものの輝きを切り取りつつ、何かひとつだけを無条件の善と飾り立てるのではなく、多様性と連帯を大事に物語を作ってくれた。
その姿勢が、13の区が連立して成り立つ不思議な世界、そこで起こる分離と融合の物語に重なっていたことは、とても的確だった
サスペンスとしても、その中心から離れた地点から開始して、穏やかな喜ばしさでたっぷり酔わせつつ、ジリジリとシリアスな地金を見せていった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月29日
ジーンの人となりと、不思議な世界と、クーデターの全容。3つの霧がストーリー進行とともに晴れ、理解が深まっていく快楽が、グッと視聴者を掴む。
やっぱ主人公ジーンの彫り込みが見事で、『なんかぼんやりしたやつだなぁ』という第一印象から、『思いの外優しいやつだな』と思うようになり、『正義の人でもあるし、これは幸せにならないとダメだ』と自然と願うようになる、見事な主役だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月29日
独特なテイストなのに、普遍的な魅力がある。
彼のことを好きになり、彼の始点とシンクロすることで、あの世界の美しさと問題点を、親身に感じることが出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月29日
視聴者の代理人としても、1キャラクターとしても優れた存在がいたからこそ、ちょっと特殊な作品世界と話運びを、存分に楽しめた。ありがとうジーン、ニーノと幸せに。
他のキャラクター、世界を彩る様々なアイテムも魅力的だったし、『区』『国』自体がキャラ立ちして面白かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月29日
色んな角度から作品を楽しめる豊かさは、溢れ出るセンスと豊かな色彩、緊張感と意図のあるレイアウトという、アニメの力に支えられたものだったと思う。
ぶっちゃけ最終話はかなりヘロヘロだったが、それでも置かれた色彩の鮮明さ、ズパッと大胆に切り取る配置の妙味で、画面が持ってしまうのだから凄いことだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月29日
息が切れかけた最後の最後で、一番強い武器が仕事をして作品が壊れなかったのは、むしろ誇るべきことな気もする。
クールでクレバーな物語を、クールでクレバーな画面でしっかり伝え、それで終わらず愛着とぬくもりを感じさせてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月29日
ACCA、いい作品でした。面白かった、ありがとう。
追記
ACCA追記。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月29日
『寸劇』という遊戯性がリアルで死人が出るクーデターを包み込んで、より望ましい方向に捻じ曲げていく展開は、『タバコ集め』というジーンの遊びと響き合うし、ゲームや楽しみが持っている強さをリスペクトした展開で、非常に好きだった。
遊びは無力なものだが、時折現実より強い。
あと、不遇なプラネッタが見事星を掘り当て、フラワウが抜けた不安を補う展開はあの区が一番好きボーイとしては嬉しい限りだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月29日
去っていくフラワウを悪役にするのではなく、しっかり愛情込めて見送る視点が感じられたのも、マジ最高だったなぁ。素晴らしい。