終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか? を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月2日
兆しに導かれるように、ヴィレムくんが外に出ていく回。トカゲのラブロマンスが普通になった、最後の人間にとっては異郷。死にたくないと願う妖精兵器を使い潰すのが当たり前の世界で、青年は本気で喜び、怒り、泣く。
ヴィレムくんは生物種として最後の人類なわけだが、人類絶滅と同時にその価値観も滅んでしまったのだろうか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月2日
『人間』らしい情や尊厳というのが、この滅びゆく世界にも残っているか、否か。それを確認するためには『外』に出ていかなければならないので、兆しシステムの解説がてら場面が移る。
映画を作り、恋をし、メシを食ってモノも壊す。良くも悪くも獣人達は人間的で、ヴィレムとそこまで代わりがあるようには思えない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月2日
それでも旧世界の価値観が抜けないヴィレムにとっては、トカゲのラブロマンスは質の悪いコメディでしかない。妖精特攻と同じ、悪い夢だ。
妖精が『人間にしか見えないが、人間以外である』というアンドロイドの文法で動いているのは、なかなか面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月2日
兆しも、死の宿命も、トカゲのラブロマンスも、新人類たるティアットにとっては普通のことだ。世界が回転していくためのシステムは、そこに組み込まれているものには異質性を感知されない
あくまで異邦人として、人類最後の生き残りとして、ヴィレムくんはシステムに馴染めない。兆し検査の付き添いに来るのも珍しいし、まるで明るい未来が待っているかのように、振り始めた雨に『空気読めよ』などと文句を言う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月2日
死地のどんよりとした空気を読んだのは、曇天の方だろうに。
戦って死ぬ『当たり前』も、世界が滅んでいく『当たり前』も、兆しに運命が支配される『当たり前』も、女の子が生きて死んでいく『当たり前』も、ヴィレムくんは飲み込めない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月2日
世界をひっくり返す力はないけども、世界に飲み込まれ同化することも出来ない。トカゲの世界の人間はどうあっても孤立する
しかしその孤独が、捻くれてしまった世界の『当たり前』に楔を打ち込んで、小さな『何か』を変えうる異質性になりうるかもしれないということが、三人の少女の帰還で上手く示されていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月2日
陰鬱な雨が降っても、不吉な夢を見ても、妖精ならざるヴィレムにとっては思い過ごし。少なくとも、今のところは
ヴィレムくんの猛ダッシュ&抱擁は、彼が世界を両肩に背負った元勇者だったことを思い出させてくれて、面白いシーンだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月2日
戦える体なら強いんだろうなぁ…それだけに歯がゆかろうし、過剰に妖精に肩入れもする。その無様な真っ直ぐさが、僕には眩しく、嬉しく思えた。
少女たちは死んでいく。そういうのが『当たり前』の世界で、もう一度絶望を洗い直し、自分なりの希望を掴まなければいけないのは妖精だけではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月2日
所詮こんなもんだと諦めたふりをしつつ、運命のクソっぷりにも、この世界の『当たり前』にも、無力な自分にも絶望しきれないヴィレムくんも同じなのだ
今回は幸運にも(多分トカゲの上司さんが頑張ってくれて)三人は生き延びた。冗談も言えるし抱き合うことも出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月2日
でも次は? その次は?
本当に妖精たちが失われた時、ヴィレムくんが世界に立ち続ける足場を、なんとか見つける歩み。クトリたちと触れ合う痛みと喜びが、その道を舗装していく。
去っていくものの満足と、取り残されるものの希望。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月2日
捕まえるのがあまりに難しい青い鳥を、少女も青年も手に入れなければいけない。システムに取り残された孤児として、死ぬために生き、生きるために死ぬ理由を見つける旅路は、ヒロインではなく主人公にも重くのしかかっている。
そういうことが判る回だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月2日
ぶっちゃけこのお話は泣きゲーの文脈に深く体重を預けていて、つまりは男性が特権的な立場で保護されがちってことなんだが、ヴィレムくんが超越的救済者(『あしながおじさん』)であると同時に、痛みと弱さを持ったただの人間だと思えたのは、とても良かった。
人生悟った顔で少女に色々教えていたヴィレムくんも、体内に泥のような不安と孤立を隠し持っていた。そういう黒いのをちゃんと見せないと、ちゃんと乗り越えることも出来ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月2日
痛みと喜びの相互交換が、ヒロインと主人公の間で成り立ちそうな運びになってきて、今後に期待が高まった。
追記
終末追記。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月2日
今回のサブタイトル『dice in pot』は、妖精の生死があくまで偶然と幸不幸に乗っかっている残酷さを見せていてとても良い。
さいの目がいい方向に転がって、今回は帰還した。でもダイスを振り続ける以上(そしてその主体がヴィレムでない以上)、いつか最悪の目が出る。
約束された破滅がいつやってくるかは、ツボの中のサイコロのように見通せない。いかさまできるほど、ヴィレムくんは強くない。そもそも過去に運命を変えることに失敗している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月2日
生死のサイコロは振られ続ける。出目に一喜一憂するか、サイコロを振る行為自体を慈しむか。ゲームと物語は続く。