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イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アイドルタイムプリパラ:第6話『ユメユメ!?男プリ潜入!』感想

虹色に輝く女の子たちの夢のステージ物語、今週は男たちの星。
アイドルタイムからの新規要素として、みんな気になっていたダンプリに切り込むお話でした。
ステージ3つを一話でこなすハードスケジュールながら、観客と興奮を共有できるダンプリの熱さ、Withのプロフェッショナリズム、思いの外排他的ではない暖かな空気と、ダンプリの良さをしっかりアピール。
夢河兄妹の話としても、いがみ合いつつ思い合う、等身大の兄妹関係が巧く描かれていました。
サブキャラクターの絡みも楽しく挟み込まれていて、ダンプリを鏡にしてプリパラが目指すべき理想も確認されて、食べごたえ十分なお話でした。

というわけで、女の子のパラダイスに突然投下された男の楽園、ダンプリ。
『女の子だけの秘密の場所』だったプリパラが勢力を失い、『男による男のためのアイドル』が全盛だという転倒は、アイドルタイムらしいなぁと思います。
『無印で女が女にキャーキャー言ってたんだから、男が男にキャーキャー言ってても別にいいだろ!』とばかりに、むくつけき男子が黄色い声援をあげる濃口空間が飛び込んでくるのは、なかなか衝撃的だった。

ここでダンプリを過度に笑い飛ばすと、『『女-女』の結びつきはシリアスに扱うべき特別大事なもので、『男-男』の結びつきはネタでしかない嘲りの対象』となってしまいますが、非常に巧く着地させていました。
男だけでワイワイ賑やかな客席は楽しそうだったし、そういう喜びをマックスまで引き上げるために、Withもプロのアクターとして頑張ってくれてたし。
安易に『男-女』の対立軸を作るのではなく、ダンプリは先行大手にあるだけの理由と価値がちゃんとあって、楽しいものなんだ! と位置づけたのは凄く良かったです。

とはいうものの、ダンプリに追いつけ追い越せする運動が未熟なプリパラを成長させるのも間違いないわけで、対立事態は必要。
ここにゆいとショーゴのライバル関係を重ねることで、あくまで個人レベルの対立がプリパラを引っ張っていく構図が生まれたのも、とても巧妙でした。
ショーゴ自体の描き方も、ゆいの身内フィルターを外してアクターとしての冷静さ、サービス精神をしっかり切り取るもので、とても良かった。
望まれないアクシデントを『ひつじマント』という舞台装置に落とし込んで、ステージを壊すことなくハプニングに変えてしまう手際は、先輩アイドルとしての貫禄を感じさせました。

ダンプリを背負うことになるWithが気持ちのいい奴らだったのは、凄く良いと思います。
『アイドルは男の子のもの』という固定観念が一般的なパパラ宿で、アイドルのど真ん中にいるのに「妹さんなんだろ? すげーじゃん、応援してやれよ!」と素直に言えるあたり、この子らもプリパラの仲間なんだと思いました。
思い込みで誰かの思いを否定したり、偏見で差別を加速させたりって描写は、笑いのオブラートにくるみつつ丁寧に扱いますからね、このアニメ。

『ダンプリはプリパラ、全面的にウェルカムです!』ってメッセージは、メガ兄が再登場したことで更に強化されていました。
システムの軛を超え、全てのアイドルの守護者としての宿命に目覚めたタフガイが、敵ともなりかねないダンプリにいてくれること。
それは懐かしさと安心感を与えてくれるし、『ダンプリは良いものだ!』というメッセージをキャラクターから発信させる源にもなります。
つーか俺タフガイ好きなんで、再登板がマジ嬉しい……いきなり男太鼓だもんなぁ、相変わらず飛ばしてんなぁ。

今回はご挨拶程度でしたが、今後話が進んでいくうちにダンプリをメインにしたエピソードも来ると思います。
パラ宿のプリパラをひっくり返した『女子禁制! 男子だけの夢の楽園!』という構図は、無印では切り取れなかった角度から性差とアイドル、夢とステージについて切り込んでくれそうで、結構楽しみです。
旧キャラを適度にリリーフ登板させているところを見ると、レオナがダンプリにやってきた時、凄くディープな話が展開できそうな予感するなぁ。
トンチキコメディとして全力で走りつつ、非常にナイーブで大事な問題を抉れるのがプリパラというアニメだと思うし、ダンプリはその血をしっかり受け継いだ面白い題材、面白い描き方をされていました。
再登場が楽しみになる、良い初個別エピソードでしたね。


さてはて、ライバルの描写を反射材にして、主役の彫りを深めていくのも今回の狙い。
ダンプリを描画する中で、ショーゴと血縁関係にあるゆめの顔もより鮮明に見えてきました。
輝くステージで堂々アイドルする兄と、日陰者の世界で夢を追いかける妹。
ショーゴのステージアクターとしての実力が描写されたことで、夢河兄妹の間にある軋轢と融和がしっかり見えました。

W主人公の片割れとして、ゆいは『未熟さ』とか『可能性』を背負っていると思います。
神アイドルとして自分の物語をかなり終えてしまっているらぁらに足らない部分を、巧く分配している形ですね。
なので、意固地になって兄のステージを見に行こうとしないゆいを、ラァラがぐいっと手を引っ張ってダンプリに導く動きは、非常にスムーズだった。

ステージアクトに、観客を楽しませることに本気ならば、個人的な感情は抜きにして最大手のエンタテインメントを肌で感じ、自分の糧に変えなければいけません。
でもゆいは個人的な好悪を乗り越えられるほど大人でもないし、都合の良い妄想に浸る快楽から、今はまだ抜け出せない。
その未熟さは成長の余地、物語の伸びしろと直結しているし、メンターとしてらぁらの出番を呼び込む足場にもなる。

ゆいの虹色夢見がちっぷりって、書き方を間違えれば『自分の都合のいいものばかり追いかける、勘違いバカ』になってしまいがちな要素。
なんですが、タッキー絡めた濃口の笑いとか、なんだかんだ根本的にはアイドル大好きな良い子だって描写とかがヤダ味を中和して、チャーミングな『個性』として受け入れられるようになっています。
プリパラは『弱点や欠点もそのキャラクターを構成する大事なパーツで、書き換えて消してしまえば『成長』というわけではない』というスタンスを貫いてきたわけで、こういう扱い方は流石に巧いですね。
根性ドブゲロな部分をブラックな笑いに変える巧さもな!

ゆいは自分も観客も客観視出来ない駆け出しアイドルなので、ショーゴの背中に乗って注目を集めた時、それが自分に向いていると勘違いする。
それはステージ全体だけではなく、アイドルとしての夢河ショーゴも見誤る、未熟な理解です。
でもそこで足を止めず、兄のステージで感じた観客重視のステージングを、真似っ子でも自分のものにする。
それを『アイドルタイム』という形でシステムが評価すること含めて、未熟さと成長をバランスよく描いていたと思います。


顔を合わせれば喧嘩ばかり、素直に相手の良さを受け入れられない兄妹ですが、なんだかんだお互い気にかけていて、だからまた衝突してしまう。
真中姉妹の仲良しっぷりとはまた違う形ですが、きょうだいの絆を夢河兄妹は凄く鮮明に切り取っていて、見ていて楽しいです。
あんだけ兄に反発しつつも、写真テロはやめるし、結局お兄ちゃんのマネしてるし、根っこには愛情があるところがマジグッドですね。
でも素直に好きとはいえないところが、小学六年生って感じで素晴らしい。

兄におぶわれてWithのステージに組み込まれたことで、ゆいが『先にある景色』を見れたのは、ステージアクターの成長にすごく大事だと思います。
寂れたパパラ宿ではあのレベルのステージはやりたくてもやれないわけで、超満員の観客を沸かせ、熱気と愛情を肌で感じる経験をしたことで、ゆいは『お客さんのためにステージをする』という意識にたどり着いた。
お兄ちゃんは意識していないかもしれないけども、結果として妹の夢を大きく前進させている辺り、この兄妹ホントは仲良しだな……トムジェリなかよくケンカしなだな……と思いました。

自分の妄想ではなく客席を向いたゆいのステージは、名前のない女の子にちゃんと届いて、ほっかむりを外させる。
ギャグ調にまとめつつも、ゆいの夢が誰かに届いて、世界が変化している様子をちゃんと切り取ってきたのは、丁寧だなぁと思いました。
白紙の状態から個人と世界両方を構築していく描写を積む辺り、やっぱソーシャルな話だよなぁアイドルタイム。

それはゆいの成長であると同時に、『アイドルは男の子のもの!』という固定観念への挑戦、プリパラの地位向上の描写でもあるからね。
そしてそれは、社会的変化であると同時にほっかむりを外し、自分の夢に素顔で向き合えるようになった少女の、個人的成長でもある。
主役を外れた部分での変化をコンパクトに纏めていて、今週の観客描写はすごく好きな見せ方でした。


というわけで、アイドルタイムの新要素、男の子の世界ダンプリに切り込んでいくお話でした。
ステージ3つもやったのに、キャラクター、世界観、作品のテーマを楽しく気楽に描写していて、見ごたえのあるエピソード。
こういう切れ味の鋭さが個別の話にあると、全体としても完成度が上がっていくなぁ、やっぱ。

また小さなあゆみを積み重ねたパパラ宿ですが、来週はついにあの女が……。
『あのそふぃが神アイドルとして、たった一人で世界を巡っている』と思うだけで、彼女のファンとしてはこみ上げてくるものがあります。
まーたただのイイハナシではなく、ネジの外れたクレイジーな笑いも元気に飛び跳ねるんだろうなぁ……来週も楽しみです!