神撃のバハムート VIRGIN SOULを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日
人にとっては戦勝の祝祭、悪魔にとっては屈辱の痛み。光と闇が交錯する祭りの中で、女と男の運命が交錯する。
光に満ちたロマンティック・コメディを全力で描きつつ、端っこの薄暗さを見逃さない、丁寧な話でした。繊細で大胆、VSらしい。
今週はとにかくニーナとシャリオスのデートがデートでデートな回だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日
一話じっくりと乙女のトキメキを食い尽くさせてくれたおかげで、ニーナのキュンキュンな気持ちにオレの心もシンクロ率400% シャリオスの値段も、ニーナの恋心というフィルターを通してガンッガンアガる。
少女と王様がお互い正体を知らないまま出会い、恋をする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日
スジだけ書くと二兆回くらい使い古された展開だが、食事や出し物、町並み、踊りといった細部のクオリティが圧倒的なおかげで、『これがニーナが手に入れた、唯一の恋なのだ!』という説得力が半端なかった
質の暴力で的確に殴る。素晴らしい
ロマンスだけだと甘くなりすぎる展開だが、ニーナの発情顔芸がとにかく面白く、賞金稼ぎ家族の助演もいい塩梅にヌケていて、笑いで甘さを抜いていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日
ヒロインであることをやめない程度に愉快で、ロマンス全開で主役をちゃんとやる。今回のニーナの味付け方はベストだったなぁ。
シャリオスも薄暗い玉座の血生臭さを捨てて、穏やかに少女をエスコートできる紳士力全開。一緒に心から楽しんでくれる心意気がグッド。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日
一回市場で軽く接触して、夜にもう一回ディープにコンタクトする流れが良いんだよなぁ…なんというか、二度起こることが運命的なのだ。一回は偶然、二回目は必然。
一回目の接触はニーナの変化を書くのにも役立っていて、メシは踏みにじる女は蹴り飛ばす、極悪非道のイケメン軍団にも発情していたニーナは、黄金の夜を過ごすことで恋心を制御し、シャリオスの目を見ることが可能になっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日
それはニーナが恋と出会うことで、自分の運命をねじ伏せる前触れだ。
ニーナの発情はコメディ要素であると同時に、向かい合うべきものから目を背けてしまう悲しさの発露でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日
不当な暴力を振るわれているのに、相手がイケメンだから対処できない。殴られるままである。
そういう状況を、ニーナは乗り越えなければいけない。誤作動した恋を乗りこなす必要がある。
イケメンをシステマっぽい動きで投げ飛ばしたシャリオスは、ちゃんと食材を整え、ニーナが恋、そして自分自身と向き合うチャンスを作ってくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日
りんご飴を食べ、射的に興じ、狂った作画力でダンスをする。ごく普通の喜びが心を照らし道を開いていくのは、先週のムガロと同じだったりする。
ニーナが初めて見つけた、自分を制御できる恋。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日
それは覇道の機械として血と闇の中にあったシャリオスにとっても初恋で、多分唯一の恋だ。
血の赤とは違う、唐辛子のスパイシーで美味しい赤。差し出された恋の予感がニーナの前で跳ねる。ヴィヴィッドでロマンティックな演出だ。
ニーナ(を通してあらゆる人)を守ってくれるシャリオスは、昼間の青い空、夜を金色に彩るエロティックな灯火の中で輝いている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日
その合間、皇帝として城に戻った時、光はむしろ闇を輝かせるために使われている。この対比は、合間合間に挟まれる悪魔の描写と共通だ。
ニーナが身を置く人間の幸福は、常に悪魔の不幸を踏みつけにして成立している。無邪気な喜びの背景には、怨嗟と憎悪が渦を巻いている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日
ルサンチマンの影を背負うアザゼルは、ニーナに向き合わないまま計画を進め、赤いドラゴンが破滅の踊りを踊ってくれることを前提に、テロルを計画する。
それはニーナ個人に向かい合い、またニーナが個人に向かい合う足場を丁寧に作ってくれたシャリオスの踊りとは、全く正反対のものだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日
ダンスシーンにカロリーかけたことは、まったくもって無駄ではない。
シャリオスは丁寧で生の喜びに満ちたステップを踏める男なのだと、一発で分る。
しかし一度市場から離れ、城の宵闇の中に戻れば、シャリオスは相手の顔を見ない(正確には見つつ踏みにじる)暴君に変じてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日
白いシャリオスと黒いシャリオスの間には、どういうブリッジがあるのか。そこに人格の統一性はあるのか。ニーナの恋を描くことで、シャリオスの覇道も陰影を濃くする。
ニーナとシャリオスのロマンスを彩る、賞金稼ぎ家族の描写も最高に良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日
バッファローウイングという、一風変わった『おふくろの味』を使いこなすリタのオカン力。
思春期ニーナに不潔と嫌われ、心に傷を負いつつシャリオスとの縁を結んでくれるバッカス。
くわっくわ喧しいハンサ。
龍に鳥に死人に神。血も繋がっていないし、人間でもないけども、あいつらの絆は凄くいい雰囲気で、楽しそうだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日
ニーナを思いやっていることが描写の端々から感じられるし、それがいい結果を連れてくる充実感もある。多様性の結合、その喜び。
それはカイザルが皇帝に言い放った『皆が手を取り合える未来』の一つの形であり、未来への希望だったりする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日
こういう感じで、各キャラクターが抱える要素をそいつが不在のシーンで描き、共通性と奥行きを作っていくのはとても良い。
シーンとシーン、キャラとキャラの響き合いが運命を加速させる。
希望は常に破滅と背中合わせで、楽しい祝祭の裏では悪魔のテロルが計画されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日
男と女がキラッキラにデートする青春の足元では、闇の中でネズミがヘビに飲み込まれる。共存共栄と弱肉強食。相反するルールは、どちらかを重視しながらも、世界から忘れさられることはない。
巧いのはルールが相反しているのは世界レベルだけではない、ということだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日
恋と日常を輝かせつつ、世界の薄暗さに気づき始めたニーナ。
平和の喜びを受け止めつつ、覇道の玉座から動かないシャリオス。
悪魔解放のための暴力で、人間の日常をぶち壊しにしようとするアザゼル。
光と闇、戦争と平和。2つの波は各キャラクターの中でぶつかりあい、うねりを生み出す。それがキャラクターを変化させ、また別の領域に押し流し、物語は回転し前進する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日
じっくりと帝都の明暗を描いてきたVS、そのエネルギーの溜め込みは、いい具合に温度を上げてきている。
そういう大河のうねりが楽しく感じられるのも、個人個人の人生の色彩をリッチに、目ざとく描いているからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日
今週ニーナとシャリオスのロマンスを徹底的に描ききったのは、彼らがあの世界で感じている喜びを体感し、目の前の絵空事が『ある』のだと信じられる、強靭な足場になった。
光と闇の交錯は、平穏の中のテロルという形でまずは炸裂しそうだ。ニーナがつながりを持つ二人の男が、人間と悪魔の代表として衝突する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日
戦争と平和の境界線で、ニーナは何を考えどう動くのか。カイザルの理想は。輝きを描いたからこそ、闇との接触に期待と想像が膨らむ。
来週も非常に楽しみです。
いやーしかし良かったなぁ今回…やっぱ照れなくど真ん中にロマンス投げてくる豪腕最高だな…キュンキュンしたな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日
僕はむくつけき男子であり、どっちかといえばバッカス顔ですが、それでもトキメキは甘く喜ばしい。二人には幸せになって欲しいけど、まぁ悲恋だよなぁ…頑張れ!
追記
バハ追記。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日
祝祭に浮かれる街の中に、テロ警戒と治安維持のために魔法ロボがヌッと突っ立ってる絵も、光と闇の交錯を大事にするVSらしい演出だった。
ああいう何気ない風景にも意図が感じられるのは、僕好みの緊張感だなぁ、やっぱ。
あとカイザルが人混みの中からアザゼルを見つけるシーンは、先週は弱点に見えた『理解できてしまう能力』の強さが出ていて、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日
個性は弱点であり長所でもある。キャラ描写をのっぺりさせず立たせる、丁寧な見せ場の作り方だと思いました。しかしお祭りデートの相手、お前はアザゼルかよ