キラキラ☆プリキュアアラモードを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月14日
個別回二週目、完璧超人あきらさん回。彼女のコアである妹・みくちゃんをゲストに迎え、完璧な人が愛すべき欠落を持っていて、守るべき弱者が一番強いという、価値転倒の楽しさに満ちた回。
一歩引いたところで補助するゆかりを筆頭に、サブの描き方も良い。
あきらさんは清廉潔白公正無私、誰かのために泥まみれになれる最高の王子様として、物語に登場した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月14日
優秀なキャラクターは往々にして一切欠点のない完璧な存在として描かれ、人間味を失っていってしまう。しかしあきらの描き方は、常にその優秀さを損なわない程度に傷があった気がする。
四つん這いになりながら、無様に指輪を探す姿は理想の王子様とは言えないが、だからこそ必死さが伝わった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月14日
身勝手な理想を押し付け、一切の血管を認めないことの歪さは、昆虫の目をした親衛隊の描写でしっかり刻まれた
あきらを描く時、必ず軽い汚しを入れて質感を出すのは、統一された演出だと思う
彼女の優しさ、強さの源泉は『病気の妹を守る』という思いだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月14日
これまでもほのめかされていたキュアショコラのパワーソースが、具体的な顔を持って登場する今回は、思い詰めてしまったり、過保護になったり、憎悪に縛られたりという、あきらの不完全さを丁寧に追いかける話になった。
『私がみくを守ってあげなくちゃ』という年長者の思い上がりは、みくが個人として持つ尊厳を押さえ込み、支配する結果にも繋がりかねない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月14日
そういう危うさによろめきつつも、ゆかりの適切な補助を受けて、あきらは『自分の力でスイーツを作れる』主体として、妹を捉え直す。
みくのなかでチョコレートが神聖化しているのは、それが甘いからでもチョコレートだからでもない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月14日
怖い犬と向き合える、新しい友達が出来る、勇気がもらえる。そういう抽象的な価値を後押しし、守る象徴だからこそ、彼女にとってチョコレートは『お守り』なのだ。
9歳になり、病院というシェルターから一時的に出たみくは、自分の手でスイーツを作る。それをキラパティ子供組が助ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月14日
出来上がったチョコレートケーキは、姉の影響を受けつつも、みくが自分で捕まえた、彼女個人の尊厳に満ちている。お守りに守られているだけではなく、新しいお守りを作る。
菓子という具象に想いを込め、思いを媒介可能なメディアとして菓子を描く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月14日
これまで何度も描かれてきたテーマの抽象化を、2つのチョコレートスイーツは巧く反復し、変化し、成長していくことの喜びをフィルムに焼き付けていた。
それを手助けするキラパティの面々も、少しお姉さんで頼もしい。
今回の話はエピソードゲストとなるみくちゃんの仕上がりがとにかく良かった。可憐で、優しく、健気で、好きになれる女の子。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月14日
そういう子が『やりたいんだけど、独力では届かない』描写を積んで、主役たちが一手助けることで望みの場所に行ける。主役の値段もガンガン上がる、一挙両得の描き方だった。
守っているつもりで守られ、守られているものが気づけば、守るものを追い越している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月14日
変化と成長の妙味に満ちた回だったが、みくの成長を描くために過度にあきらを下げず、優秀さと高貴さを維持したまま進めたのもグッド。落差を出すために、これまでの描写を裏切るのはやっぱ良くない。
身内を的にかけられた憎しみに支配された戦いが巧く運ばず、妹の思いを足場に自分の気持ちも確認することで戦いに勝つという、倫理的バトルも良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月14日
プリキュアに限らず、ほぼすべての物語における戦いは倫理的優越、精神的パワーの比べ合いだと思う。そこを捨てると、ドライになりすぎる。
ジュリオは今週も、味方サイドの価値観にカウンターを当て、怒りを煽り、正解にたどり着くためのエナジーを補給する仕事を頑張っていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月14日
ジュリオなりにこれまでの戦いから学んで、『キラキラルはイイハナシから生まれるから、姉妹で養殖すればいいじゃん!』てなってるところとか、ちょっと面白い。
しかし余裕綽々だったジュリオも尻に火がついてきて、自分が出てきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月14日
やっぱクールガイがホットになる話は温度があっていい。
あきらが熱くなった気持ちを冷やして勝ったのとは反対に、冷静ぶってた仮面が剥がれたジュリオは、負けの目が強くなってきたなぁ。
しかしまぁ、悪の敗北とは善の勝利であり、それはジュリオ内部の価値観の変化/再発見を意味する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月14日
キラキラしたものを認めないパワー主義者でありつづけることは、ジュリオ自身にとって良くないだろうから、いい塩梅のところで善堕ちしてほしいもんだ。
俺ジュリオくん結構好きなの、仕事するから。
ジュリオの人間味が強調された流れを受けて、これまでも不審がっていたゆかりに話がまわり、次回はバチバチぶつかり合いそう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月14日
エピソードゲストとしてジュリオを配置することで、それに向かい合うゆかりのキャラ性も掘り下げられるだろう。今回のあきらとゆいの照応とおんなじやね。
とまれ、あきらの魂の根っこをしっかり掘り下げ、傷も輝きも持つ一人間としての魅力が際立つ、いいエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月14日
みくちゃんはすげーナイスなキャラだったので、また再登場して欲しいもんです。プリモードは脇に気持ちがいい連中が揃い始めて、群像劇としての味も立ってきたなぁ。面白い。