スタミュを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月29日
最終局面を前に、正直影が薄かった那雪&卯川を真ん中に据えて展開するお話。サポータ気質の脆さと寂しさ、そこから抜け出していく小さな一歩、清廉な競争が生み出したハングリー精神。
これまで積んだ描写も活かしつつ、いい具合にキャラを掘り下げる展開となった。
主役が元気に暴れまわるために、色々状況を整え、優しく見守ってくれる脇役。那雪はそういう仕事を期待され、実際控え目で出過ぎない、サポーター気質の少年として物語を走ってきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月29日
その立場に甘えて終わらせても良いんだが、そこに潜んでいる歪みや惨めさをちゃんと掘り返すのが、スタミュらしい。
那雪が自分を疑い、このままで良いのか揺らぐ展開が、合宿でチーム制を廃した展開の上に成立しているのが良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月29日
アレは競争心を煽り、選抜を健全化し、出来レースを防ぐ妙手であったが、チームであることにアイデンティティの大半を預けていた那雪には、たしかに厳しい展開でもあった。
出来ないが故に、未知の世界に飛び込んでいく活力を持つ。コミュニケーション能力で全てを切り開く星谷には、主役の特別性がある。(今回のヒキも、そういう特別性にブツケたものだ)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月29日
でも、みんながみんな主役ではない。出来ないことが特別さにつながらない、選ばれない存在にじゃあ価値はないのか。
そうではないよ、とスタミュは言う。那雪は結局選ばれない。結果は出ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月29日
でもだからといって、今回那雪が色々悩み、自分の弱さと向き合って生き方を少しだけ変えたこと、追いかけさせるズルさとタフさを手に入れたことは、絶対に無駄ではない。那雪は那雪である時点で、十分主役なのだ。
チーム鳳のビタミン剤、クセの強いメンバーを調整する控え目なお母さん役。物語の構造が押し付けたキャラ性にちゃんと向き合い、出来ないヤツの怯えと矜持に一話使ったこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月29日
それは、そういう奴らを踏み台にして輝くスター…主役の話に公平さをもたらす上で、絶対に必要な行為だと思う。
勝つやつが絶対に勝ち続けて、負ける役は一生負ける。そういう座組で安定させてしまう方が、裏切りがなくて色々楽だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月29日
でもそういう安楽さは、凄く大事なものを踏みつけに成立している。勝つやつにも脆さがあり、負けるやつにも独特の強みがある。影と光両方を大事にすることで、キャラに陰影もつく。
終盤戦に入る前に、スタミュが(一旦?)幕を下ろす前に、絶対にケアして置かなければいけない場所にしっかり光を当て、那雪のプライドに報いる話をちゃんと持ってきたのは、本当に素晴らしい構成だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月29日
それは哀れみではない。お話の完成度を上げ、主役の物語を走りきるために、絶対必要なのだ。
那雪が自分を見つける相手役を、チーム鳳ではなく卯川に任せたのも、非常に良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月29日
チーム枠を超えた交流と競争を軸に据えた二期にふさわしいし、似ているからこそ踏み込める領域という、星谷&揚羽のメインテーマを再演しているのも良い。他者性の鏡で初めて、自分の震えと強さが見えるのだ。
卯川と那雪を向かい合わせ、そこに踏み込めない仲間を描くことで、最終盤を前にチームの意味、その温もりをかけていたのも良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月29日
攻略完了してデレモードの揚羽に嫉妬したり、身内ゆえの気遣いがウザくもありがたかったり。ココらへんも他者性で強調される、自分たちらしさか。
卯川はツンツン意地悪野郎という記号が全面に出ていたが、今回弱さとチームの仲間への強い思いが全面に出て、一気にキャラが面白くなった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月29日
敬愛する仲間だからこそ、恥ずかしいところは見せたくない。報いたい。その思いが体を縛り、巧く動けない。ディレンマがキャラを物語の奴隷から、人間にする。
卯川の葛藤は群像劇の合間に細かく埋め込まれてきたので、ここで人間性を大放出しても意外ではなく、期待通りですらある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月29日
細かいリアクションを切り取って感情の機微を見せる巧さは、例えば揚羽の保護者役から離れつつある蜂矢とか、ボーッとしてる空閑が一番最初に以上に気づくシーンからも見える。
大人数を捌き、絡み合わせてドラマを作る中で、本筋からこぼれた尺を有効に使って、キャラの人間味を作っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月29日
本筋に関わるシンプルな役柄から溢れてしまう、弱さや強さや脆さや優しさを貪欲に拾っていくことで、勝ち負けを扱いつつそこに留まらない広範な価値を切り取っていく。
スタミュは横幅広く物語を作っていく技量が、人数多めの形式を見事に御していると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月29日
二期の難しさも、今回那雪の影を掘ったように、一期で取りこぼした、しかし非常に大事なテーマを再発掘することで見事に走った。
横を広げていくことで、縦の深さが確保される。理想的なシナジーだ。
今回、選抜枠が決まった。勝つものと負けるものは、残忍に別れる。でも、それだけが大事ではない…という綺麗事に血を通すためには、やはり時間を使い、注意をはらい、血肉の通った物語を積み上げる必要がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月29日
そういうことを思い知らされる、縁の下の力持ちのプライドにまつわるお話でした。
やっぱ僕は、勝つやつが思いっきり勝つのと同じくらい、負けるやつをちゃんと扱ってくれる話が好きだな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月29日
シンプルに切り分けちゃったほうが安定はするけども、その時捨てられるものは勝つ物語が拾い上げるものよりも、時に大切だ。そのうえで、勝敗の軸を蔑ろにはしない所が良い。
選抜には引っかからないが、主役にはなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月29日
星谷らしい結論で本番に話が続いたが、さて、どうなるか。星谷に背中を任せた柊の内面、舞台で相手取ることになる鳳、憧れとガチンコ正面衝突することになった星谷と、見ごたえのある要素が山ほど積まれている。
スタミュ二期終盤戦、非常に楽しみです。
しかし、ここで鳳とステージに立たない決断をする辺り、柊のブラザー・コンプレックスは非常に良い方向に昇華されたんだなぁ…一期の面倒くさいネトネトは無駄ではなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月29日
まぁあの兄弟の話は一期でやりきってはいるので、星谷の憧れ超え一本で最終決戦するのは正しいと思う。おもしれーなスタミュ
追記
スタミュ追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月29日
『鏡合わせの他者性と向かい合うことで、自分を知る』というテーマ性が、少年たちの『現実』と、彼らが追い求める『舞台』両方に共通し、軸になっているのは面白い。
那雪と卯川、星谷と揚羽が向かい合いで自分を見つけたように、アレクシスも影や他者と向かい合っているわけだ。
『現実』と『劇』という道具立て自体が、嘘を本気でやり抜くことで自分が磨かれていく鏡合わせでもあり、『劇』では嘘こそが真実となっても行く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月29日
そういうメタフィクショナルな照応関係は、実はこのアニメから僕らが何を受け取り、どう感じるかというもう一枚上のレイヤーとも響き合っている。
『俺達は鏡を見て、こうやって成長したけども、あんたはどうだい?』と、モニターの奥から問いかけられているかのような危うい錯覚、越境性。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月29日
そういう妄想が加速するほどに、スタミュ二期の構造は複雑だし、よく考えられていると思う。共通する構図が立体感を生むし、奥行きが響きを豊かにもすると。